道産子アスリートが大活躍する冬のオリンピック。

1998年に開催された長野オリンピック以降、冬のオリンピック選手の4割超を輩出している北海道では、数多くのメダリストも誕生しています。

北海道出身の冬季オリンピックのメダリストと、道産子アスリートの強さの秘密について、まとめてみました!

冬のオリンピックに強い道産子アスリート!メダリストは何人いる?

全国最多!金メダリスト11人を輩出するウィンタースポーツ王国の北海道

■ 1998年長野オリンピックでスキージャンプラージヒル団体、悲願の金メダル獲得の舞台となった白馬ジャンプ競技場

これまでに31人の北海道出身のメダリストが誕生している冬季オリンピック。

そのうち、金メダリストはなんと11人もいて、これは全47都道府県で最多を誇ります。

道産子アスリートによる冬季オリンピックでの獲得メダル数は、これまでに金メダルが7個、銀メダルが11個、銅メダルが12個、メダル総数は30個にもなります。

冬季オリンピック北海道出身のメダリスト一覧
■ 2018年平昌オリンピックのメダル

オリンピック冬季競技大会における北海道出身のメダリストを、以下の通り大会毎に表でまとめてみました。

大会名名前出身地競技名メダル
1972年 札幌笠谷 幸生大江村(現仁木町)スキージャンプ70m級
金野 昭次札幌市スキージャンプ70m級
青地 清二小樽市スキージャンプ70m級
1980年 レークプラシッド八木 弘和小樽市スキージャンプ70m級
1984年 サラエボ北沢 欣浩釧路市スピードスケート男子500m
1992年 アルベールビル橋本 聖子早来町(現安平町)スピードスケート女子1500m
1994年 リレハンメル
阿部 雅司小平町スキーノルディック複合団体※1
岡部 孝信下川町スキージャンプラージヒル団体※2
葛西 紀明下川町
原田 雅彦上川町
堀井 学室蘭市スピードスケート男子500m
山本 宏美白老町スピードスケート女子5000m
1998年 長野清水 宏保帯広市スピードスケート男子500m
里谷 多英札幌市フリースタイルスキー女子モーグル
船木 和喜余市町スキージャンプラージヒル個人
岡部 孝信下川町スキージャンプラージヒル団体
斉藤 浩哉余市町
原田 雅彦上川町
船木 和喜余市町
船木 和喜余市町スキージャンプノーマルヒル個人
清水 宏保帯広市スピードスケート男子1000m
岡崎 朋美清里町スピードスケート女子500m
原田 雅彦上川町スキージャンプラージヒル個人
2002年 ソルトレイクシティ清水 宏保帯広市スピードスケート男子500m
里谷 多英札幌市フリースタイルスキー女子モーグル
2010年 バンクーバー
長島 圭一郎池田町スピードスケート男子500m
田畑 真紀鵡川町(現むかわ町スピードスケート女子団体パシュート※3
穂積 雅子千歳市
2014年 ソチ葛西 紀明下川町スキージャンプ男子ラージヒル個人
竹内 智香旭川市スノーボード女子パラレル大回転
伊東 大貴下川町スキージャンプ男子ラージヒル団体※4
葛西 紀明下川町
2018年 平昌佐藤 綾乃厚岸町スピードスケート女子団体パシュート※5
髙木 菜那幕別町
髙木 美帆幕別町
髙木 美帆幕別町スピードスケート女子1500m
髙梨 沙羅上川町スキージャンプ女子ノーマルヒル
髙木 美帆幕別町スピードスケート女子1000m
鈴木 夕湖常呂町(現北見市)カーリング女子
藤澤 五月網走市
本橋 麻里北見市
吉田 知那美常呂町(現北見市)
吉田 夕梨花常呂町(現北見市)

※1. 他団体メンバーに河野孝典(長野県)、荻原健司(群馬県) ※2.他団体メンバーに荻原健司(群馬県)、西方仁也(長野県) ※3. 他団体メンバーに小平奈緒(長野県) ※4. 他団体メンバーに清水礼留飛(新潟県)、竹内択(長野県) ※4. 他団体メンバーに菊池彩花(長野県) 以上、敬称略

道産子アスリート強さの秘密とは?

■ 平昌オリンピック日本代表選手団のオフィシャルスポーツウェア

なぜ、北海道はこれほど多くの優れたウィンタースポーツのアスリート達を輩出できているのでしょうか?

「雪が降る地域だから当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、1998年の長野オリンピック以降5大会の冬季オリンピック出場選手をみると、同じく雪が降る地域の長野県が85人、新潟県が38人、青森県が21人であるのに対して、北海道は235人と突出していて、これは全冬季オリンピアンの4割を超えています。

これは、北海道がウィンタースポーツに適した気候にあることに加え、幼い頃からウィンタースポーツに親しむことができるジュニア層の裾野の広さと、それを可能にする小中学生へのスポーツ教育、そして次世代アスリートの発掘/育成が可能な環境が鍵になっています。

スキージャンプ選手を数多く輩出する「上川町」と「下川町」
■ 上川町出身の女子スキージャンプの高梨沙羅選手のジャンプスーツ

たくさんの冬季オリンピック日本代表選手がいる北海道の中でも、特にスキージャンプ選手を数多く輩出してきた町があります。

それが、道北にある「上川町」と「下川町」で、両町ではこれまでに5人のメダリストが誕生しています。

この2つの町に共通しているのは、北海道でも有数の豪雪地帯にあるということ。そして、地域のジャンプ少年団など幼少期からスキーシャンプに親しみ、指導を受けることができる環境があることです。

特に下川町では、幼稚園の子供でも飛べるミニヒル(K点8m)から小学生の高学年から中学生が主に利用するミディアムヒル(K点65m)まで町内に4基のジャンプ台があり、町内の小中学校では一貫してスキージャンプに取り組むことができ、同じく町内にある下川商業高校からは4人のオリンピックスキージャンプ日本代表選手が誕生しています。

カーリングの聖地!「北見市(旧常呂町)」
■「そだねー」と「もぐもぐタイム」で一躍脚光を浴びたカーリング女子ロコソラーレメンバーのユニホーム

町ぐるみでウィンタースポーツに慣れ親しんでいるところといえば、カーリングの北見市(旧常呂町)も有名です。

北見市は2018年の平昌オリンピックで「そだねー」という掛け声と休憩時間の「もぐもぐタイム」で一躍脚光を浴びたロコソラーレの本拠地で、チームメンバーそれぞれも幼少期から同地でカーリングに親しんできたそうです。

カーリングと北見市の歴史は、2006年に現在の北見市と合併した旧常呂町で農家と漁師の冬遊びとして広められたことに始まります。やがて1989年に北海道で開催された「はまなす国体」に合わせ、旧常呂町に日本初のカーリング専用屋内施設が建設されると競技大会も多く開催されるようになりました。

2013年には国際基準を満たした通年利用ができる施設にリニューアルされ、現在では北見市は“カーリングの聖地”とも呼ばれています。

スピードスケートに強い十勝!「ナショナルトレーニングセンター」の存在とは?
■ スピードスケートのNTC競技別強化拠点に指定されている「明治北海道十勝オーバル」

北海道では冬にスキー学習かスケート学習のどちらかがある小学校がほとんどですが、どちらが行われるかには地域差があり、スケートの授業があることが多いのが比較的雪が少ない十勝地方です。

その十勝の中心都市である帯広にあるのが、スピードスケートのナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化施設に指定されている「帯広の森スピードスケート場(明治北海道十勝オーバル)」です。

このNTC競技別強化拠点はトップアスリートを育成するトレーニング施設としてはもちろん、ウインタースポーツの人口拡大や将来有望なジュニアアスリートを発掘/育成にも寄与しています。

北海道には他にもこのようなNTC競技別強化施設として、大倉山/宮の森ジャンプ競技場(スキージャンプ)、西岡バイアスロン競技場(バイアスロン)、苫小牧白鳥アリーナ(アイスホッケー)があります。