頭の先から尾まで丸ごと食べることができる「ししゃも」は、カリッとした食感やホクホクの身が美味しいですよね!
そんな食卓からお酒の席まで人気の「ししゃも」は、世界でも北海道の太平洋沿岸のごく一部の地域にしか分布していない日本の固有種であることを知っていましたか?!
本物の「ししゃも」は世界で北海道だけ!実は普段食べてるのは別の魚??
北海道にしかいない日本の固有種ししゃも
「ししゃも」は、川で産卵/孵化し、海で成長した後、再び川に戻って産卵する遡河回遊魚で、サケの仲間の体長15cm前後の魚です。
庶民の味として日常の食卓にあがることも多い「ししゃも」ですが、実はその多くは輸入された「カラフトシシャモ(カペリン)」と呼ばれる別種の代用魚なんです。
「本物のししゃも」は世界でも北海道の太平洋沿岸の水深120mまでの浅い海だけに分布している日本の固有種で、代用魚と区別するため「本ししゃも」とも呼ばれています。
北海道のおいしい食材『ししゃも』
- サケ目 > キュウリウオ科
- 旬の時季 : 秋(11〜12月)
- 北海道の主な産地 : 広尾町, 釧路市, 白糠町, 大樹町, 浦幌町
- タンパク質:21.0g脂質:8.1gカリウム:380mgカルシウム:330mgビタミンA:100μgビタミンB1:0.02mgビタミンB2:0.25mg※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より可食部100gあたり
北海道・市町村別のししゃもの漁獲量・漁獲高は?
「ししゃも(本ししゃも)」は北海道の太平洋沿岸の内浦湾と厚岸湾にのみ分布し、十勝・釧路地方を中心に年間500〜1,000tが漁獲されています。
北海道の市町村別の漁獲量・漁獲高についてまとめてみました!
市町村 | 地区 | 漁獲量(t) | 漁獲高(千円) |
広尾町 | (十勝) | 177 | 234,324 |
釧路市 | (釧路) | 63 | 92,120 |
白糠町 | (釧路) | 58 | 98,216 |
大樹町 | (十勝) | 46 | 60,563 |
浦幌町 | (十勝) | 33 | 45,866 |
むかわ町 | (日高) | 33 | 53,814 |
※令和元年度 北海道水産現勢より
「本ししゃも」と「カラフトシシャモ」の違いとは?
「ししゃも」といえば、食卓にあがることも多い庶民の味、というイメージが強いですよね!
しかし、普段私たちが食べているものの多くは「カラフトシシャモ」と呼ばれる「ししゃも」の近縁種で、英名ではカペリン [capelin] と呼ばれるもの。
スーパーや居酒屋さんで「子持ちシシャモ」として販売されているものは卵を持ったメスだけが選別された「カラフトシシャモ」で、ノルウェーやアイスランドなど海外から年間およそ20,000tが輸入されています。
一方で、北海道の「ししゃも(本ししゃも)」の漁獲量は年間で500〜1,000tほど。いかに希少であるかがわかりますね!
「本ししゃも」はひと味もふた味も違う高級魚!
多くの人が「ししゃも」として慣れ親しんでいる「カラフトシシャモ」も美味しいのですが、さらにひと味もふた味も違うのが北海道の「本ししゃも」です。
天日干しにより旨味が凝縮してぷりぷりに引き締まった身は、火を通すことでほっくりとなって、とっても美味!
値段は年によっても変わりますが、1串10尾で1,000円〜、大きさや子持ちのメスだとさらに高値になる高級魚!
そもそも本州はもちろん北海道でさえ産地以外にはほとんど出回りませんので、なかなか味わえる機会はありません。
初冬の風物詩「ししゃものすだれ干し」
そんな「本ししゃも」は、一生に一度は味わってほしい、北海道の初冬の味覚です。
10月から11月になると、産地として知られるむかわ町の商店の軒先には「ししゃものすだれ干し」が吊るされ、連日各地から多くの観光客や買い物客で賑わいます。
さらに、この時季ここでしか味わうことができないのが、生のししゃもを握ったししゃも寿司。しっかりとした歯応えと白身魚の甘みを感じさせる絶品!
他にも広尾町や釧路市などの産地や、札幌市内でも運が良ければ魚介にこだわっている居酒屋で味わうことができますよ。
「ししゃも」にまつわるアイヌの伝説
「ししゃも」は漢字で「柳葉魚」と書くのを知っていますか?
これには、古くから北海道で自然と共生してきたアイヌ民族と深く関係しています。
アイヌ民族には、飢えに苦しむアイヌを救おうとカムイ(神)が柳の葉を川に流すと魚に変わった、という伝説が残されていて、この魚をアイヌでは「susu(スス=柳)」と「ham(ハム=葉)」から「susam(スサム)」と呼んでいました。
この「スサム」が今日の「ししゃも」の語源になっていて、漢字でも「柳葉魚」と書かれるようになったのです。
他にもまだある!北海道のおいしい食材!
「ししゃも」の他にも、北海道には美味しい食材がたくさんあります!
例えば、おいしい“あんこ”作りに欠かせない「小豆」は国内生産の9割以上を占めるのが北海道です。
特に盛んなのが十勝地方で品質も高いことから、スイーツやお菓子でも「北海道十勝産の小豆を使用」というのを良く見かけますよね!
十勝の小豆のおいしさの秘密、そして安定した生産を支える十勝ならではの4輪作についてまとめた記事も、ぜひチェックしてみてくださいね!