空知地方の中ほどにある『砂川』と『歌志内』という隣接する2つのまち。

この地名は、実はある同じアイヌ語から由来しているというのを知っていますか?

北海道にはアイヌ語から由来している地名が数多くありますが、それには和名(日本語)になる際に、音訳されたものと意訳されたものがあるんですよ!

砂川と歌志内はアイヌ語で同じ意味なの知ってた?!

2つの地名の由来となったアイヌ語の「オタ・ウ・ナイ」

■ 「砂川」と「歌志内」の由来になったペンケウタシナイ川

北海道にある地名は、その8割がアイヌ語から由来しているといわれています。

『砂川』と『歌志内』もアイヌ語から由来している地名で、元をたどると共に「オタ・ウ・ナイ」というアイヌ語が、共通してその語源になっています。

オタ・ウ・ナイ=砂浜・ついている・川

アイヌ語が語源となっている地名には、そのアイヌ語の“意味”を日本語に置き換えてつけられた意訳の地名と、アイヌ語の“音”がそのまま日本語に置き換えられた音訳の地名があるんですよ!

オタ・ウ・ナイが意訳された「砂川」
■ ドライブに人気の砂川市にあるハイウェイオアシス館

アイヌ語の「オタ・ウ・ナイ」は「砂浜・ついている・川」を表していて、この“意味”から和人がつけた地名が『砂川(すながわ)』です。

このように、アイヌ語を意訳してつけられた地名は他にもたくさんあって、「川」に関係するものだと、深川(アイヌ語の“深い・川”)や滝川(アイヌ語の“滝の・川”)、赤井川(アイヌ語の“赤い・川”)などがこれにあたります。

オタ・ウ・ナイが音訳された「歌志内」
■ テレビドラマのロケ地となった歌志内市にある悲別ロマン座

アイヌ語の「オタ・ウ・ナイ」の“音”を聞き取って、和人がつけた地名が『歌志内(うたしない)』です。

このように、アイヌ語を音訳した地名は他にもたくさんあって、特に「川」という意味の「ナイ」というアイヌ語に由来しているものでは、稚内や幌加内、中札内など「内」という漢字が含まれる地名の多くがこれにあたります。

パンケウタシナイ川とペンケウタシナイ川

■ パンケウタシナイ川にある水門

なぜ隣接する『砂川』と『歌志内』の2つのまちは、同じアイヌ語から由来しているのでしょうか?

このあたりは、かつて暮らしていたアイヌの人びとによって、この地に流れる川にちなんでオタ・ウ・ナイと呼ばれていました。この川は、現在の「パンケウタシナイ川」と「ペンケウタシナイ川」を指していてると考えられています。

この川の流域にあるまちが現在の『砂川』と『歌志内』で、それぞれ和人によって意訳した地名と音訳された地名がつけられることになったんですね。

他にもある!意訳/音訳されて日本語になったアイヌ語

■ 七飯町にある「大沼」はアイヌ語が意訳されたもの

アイヌ語が語源となって、意訳や音訳されて日本語になった言葉は、地名をはじめ他にもたくさんあります。

例えば、アイヌ語から意訳されて日本語になったものは、以下のように地名に多く存在しています。

<アイヌ語から意訳された日本語の例>
 
・長沼/長沼町:タンネ・ト(長い・沼)
・大沼/七飯町:ポロ・ト(大きい・沼)
・鹿越/南富良野町:ユク・ルペシペ(鹿・通路)

意訳された言葉は一見するとアイヌ語とは関係ないように感じますが、実はアイヌ語から由来しているというものが多くありますよね。

■ アイヌ語が語源の「ラッコ」は英語や外国語だと思ってた方も多い?

アイヌ語から音訳されて日本語になったものでは、地名の以外にも動物の和名に多く見つけることができます。

<アイヌ語から音訳された日本語の例>
 
・ラッコ [ rakko(ラッコ・ラコ)]
・トナカイ [ tunakay(トゥナカイ)]
・シシャモ [ susam(スサム)]

これらの名前は、英語など外国語に由来していると思っていた方も多いのでは?!

このように、日常に慣れ親しんだ言葉にも、アイヌ語から由来しているものがたくさんあることがわかりますね。

普段は意識していない言葉の語源を調べてみると、他にも面白い発見があるかも知れませんよ!

ラッコ・トナカイ…実はアイヌ語だった!日常で使われる日本語になったアイヌ語は?