北海道には同じ読み方をする地名がいくつかあって、会話の中で混乱してしまうことがありますね。
「えさし」もそのひとつで、道北のオホーツク海に面する枝幸(えさし)町と、道南の日本海に面する江差(えさし)町の2ヶ所があります。
ぞれぞれの町の特徴と、なぜ同じ地名なのかその理由についてまとめてみました!
枝幸町と江差町はどちらも「えさし」?同じ地名なのはなぜ?
枝幸と江差はどんな町?
枝幸町と江差町は、どちらも「えさし」と読む北海道の町です。
どちらも海沿いにあるという点では共通していますが、南西部にある枝幸と北東部にある江差は、まるで北海道の対角線にあるといえるほど、お互いが離れた場所にあります。
なぜ、同じ読み方をする地名が2ヶ所もあるのでしょうか?まずは、それぞれの町についておさらいしてみましょう!
⑴ 枝幸町 – 道北・宗谷総合振興局
枝幸町は、宗谷総合振興局に属する道北の町。
オホーツク海に面した漁業が盛んな町で、鮭やホタテの一大産地として知られています。
特に有名なのが「毛ガニ」で、一度中に入ったら出ることができない“蟹カゴ”と呼ばれる漁具を使った漁での水揚げは日本一!
北見山地の北端・ポロヌプリ山の麓にあたる内陸部では酪農も行われています。
海に流れた溶岩が急速に冷え固まった際にできた柱状節理の様子が見られる「ウスタイベ千畳岩」は北オホーツク道立自然公園の一部にも指定される景勝地です。
⑵ 江差町 – 道南・檜山振興局
江差町は、檜山振興局に属する道南の町。
渡島半島の西側にある日本海に面した町で、イカや紅ズワイガニの漁が盛んですが、近年では“黒いダイヤ”とも呼ばれるナマコでも注目されています。
北海道で開拓が始まる前の早くから和人が住み始め、江戸時代にはニシン漁と北前船の交易港として「江差の五月は江戸にもない」といわれるほど栄華を極めました。
まるでタイムスリップしたかのような錯覚になる街並みや北海道最古の祭りといわれる姥神大神宮渡御祭など、小江戸の風情や文化に出会うことができるとあって観光にも人気の町です!
アイヌ語が由来の「エサシ」その意味は?
北海道には、なぜ「枝幸」と「江差」という同じ読み方の地名が2ヶ所もあるのでしょうか?
これは、この地名が「エサウシイ」という共通のアイヌ語を語源としているためではないかと考えられています。
『エサウシイ(e-sa-us-i)』は、アイヌ語で「頭が・浜・についている・所」を意味し、岬のような地形の場所であると解釈することができ、たしかに枝幸町と江差町には、特徴的な岬があります。
「エサウシイ」が転じて「エサシ」となり、道北では「枝幸」、道南では「江差」という漢字が当てられたのですね。
このように、北海道にはアイヌ語から由来する地名がたくさんあります。
「もんべつ」という地名は3ヶ所もある!?
「もんべつ」もアイヌ語が語源となった地名で、この名のつく場所は北海道に3ヶ所もあるんですよ!
これは、『モ・ペッ(mo-pet)』という「静かな・川」を意味するアイヌ語から由来していると考えられています。