音威子府や弟子屈、倶知安など、道民ですら「何て読むの?」と聞きたくなる難読の地名が多い北海道。

北海道に難読の地名が多い理由には、アイヌ民俗の言葉や文化が関係していると言われています。

こちらでは、北海道の少し変わった地名とアイヌ語について紹介しているので、いくつ地名を読めるかぜひクイズ感覚で楽しんでみてくださいね。

大楽毛?音威子府?北海道の地名に難読が多いわけ

北海道にはアイヌ語が語源となっている地名が80%以上!


北海道の地名の約80%はアイヌ語が語源だと言われ、「ぱ」や「ぷ」などの半濁音がよく使われます。

たとえば北海道の道庁所在地である「札幌」は、アイヌ語の「サッポロペッ」が由来。

「サッ=乾いた」、「ポロ=大きい」、「ペッ=川」の音節を組み合わせることで、「乾いた大きな川」という意味になります。

北海道には川が由来の地名が多いですが、これには昔アイヌの人々が川沿いに住んでいたことが影響しているようです。

そのほかにも湖や沼など自然に関する地名が多数あり、ただの当て字のように見える地名からは、アイヌの人々の生活や大切にしているものを垣間見られます。

いくつ読める?北海道の難読地名11選

こちらでは、下記11個の北海道の難読地名とその成り立ちであるアイヌ語を一挙紹介します。

  • 幣舞町
  • 寿都町
  • 足寄町
  • 弟子屈町
  • 音威子府村
  • 占冠村
  • 興部町
  • 比布町
  • 倶知安町
  • 馬主来
  • 大楽毛

いくつ正しく読めたのか、下記でぜひ正解を確認してみてください。

道産子なら読める?「足寄」や「寿都」など初級編

・幣舞町(ぬさまいちょう)
道東・釧路にある幣舞町は、アイヌ語の「ヌサオマイ=幣場」が語源です。幣場とはアイヌの人々が神祭りで使う神具のイナウを祀った場所で、幣舞町ではアイヌの人々による海の幸を祈る儀式が行われていたとされています。

・寿都町(すっつちょう)
「すっつ」と読む寿都町は、アイヌ語の「シュプキペッ」から派生しています。「すっつ」の意味は諸説あり、1つは「矢柄に用いる茅のある川」、そしてもう1つは「葦や荻が多い岩崎」。どちらにせよ、寿都町の豊かな自然を表現しているようです。

・足寄町(あしょろちょう)
十勝エリアに位置する足寄町は、「エソロペッ=沿って下る川」が語源。昔はアイヌの人々が釧路方面から阿寒へ出て、この足寄の川に沿いながら十勝や北見に出ていたとされています。

・弟子屈町(てしかがちょう)
「テシカカ=岩盤の上」から派生した、弟子屈町。アイヌの人々が弟子屈町で魚を獲る際、岩が多くて苦戦したのが由来だという話があります。神の湖と呼ばれる摩周湖や日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖など、美しい自然スポットが数多くある弟子屈町は観光地としても人気なんですよ。

「ぷ」や「ぺ」など可愛らしい響きが多い!中級編


・音威子府村(おといねっぷむら)
当て字のような村「おといねっぷ」は、「オトイネプ=濁っている川口」が由来となっています。北海道でも有名な難読地名としてたびたびクイズに使われますが、地名だけでなく「音威子府そば」と呼ばれる名産品の真っ黒な蕎麦も有名です。

・占冠村(しむかっぷむら)
アイヌ語の「シモカプ=上流・清流」から成る占冠村は、その名前の通りゆったりとした川が流れるのどかな村です。占冠のほかにも、北海道には新冠(にいかっぷ)や正利冠(まさりかっぷ)など、冠を「かっぷ」と読ませのがユニークなポイント。

・興部町(おこっぺちょう)
「オウコッペ=川尻の合流する場所」を意味する興部町は、昔は興部川と藻興部川が合流しオホーツク海につながっていたことからこのような名前がつけられました。

・比布町(ぴっぷちょう)
可愛らしい響きの比布町は、「ピピまたはピプ=石の多いところ」から派生しています。スキーとイチゴ狩りの町として観光客から人気の比布町ですが、昔は石がゴロゴロと転がる今とは違った雰囲気の町だったのかもしれませんね。

道民でも難しい「倶知安」「納内」なんて読むの?

・倶知安町(くっちゃんちょう)
「クッシャニ=くだのような所を流れ出るところ」を意味する倶知安町は、道民でも地名を読むのが難しい難読の代表。倶知安町の名前には諸説あり、「魚を取る道具」や「岩崖の側にある川」、「小屋のある川」などが由来だという説もあります。

・馬主来(ぱしくる)
馬主来は道東・白糠町にあるエリアで、「パシクル=カラス」を意味します。名前の由来は諸説ありますが、海で方角を失った一人の青年がカラスの鳴き声に導かれて舟を進めたところ、馬主来の陸に辿り着いたことが有力な説だとされています。

・大楽毛(おたのしけ)
思わず「だいらくもう」と呼んでしまいそうですが、「おたのしけ」と読みます。アイヌ語の「オタノシキ=砂浜の中央」から派生しており、釧路市から白糠町に続く海岸の中間に位置することから名付けられました。

北海道旅行ではアイヌ文化に触れるのもおすすめ

北海道へ旅行へ訪れた際は、それぞれの地域を巡りながら各地域の名前にも目を向けてみるとよいかもしれませんね。

道外では見られない少しユニークな地名が多いので、ドライブ中のちょっとした話題としてもぴったりです。

また、2020年にオープンした白老町の「ウポポイ (民族共生象徴空間)」など、北海道内にはアイヌ民俗の歴史や文化に触れられるスポットが多くあります。

せっかく北海道へ旅行へ訪れるなら、アイヌの人々の歴史や文化について学んでみるのもおすすめですよ!