北海道には同じ読み方をする地名や紛らわしい地名がたくさんあって、どっちがどっちだか分からなくなってしまうことがありますよね!
道北にある「浜頓別」と「中頓別」もよく似た地名ですが、そもそも「頓別(とんべつ)」とは一体、何なんでしょうか?
それぞれのまちの特徴と地名の由来についてまとめてみました!
浜頓別と中頓別の「とんべつ」とは?まちの特徴と地名の由来まとめ
アイヌ語が由来の頓別川が結ぶふたつの町
「浜頓別町」と「中頓別町」は道北にあるまち。
両町名にある「頓別(とんべつ)」とは、「トウンペッ(to-un-pet)」という「湖・の(に入る)・川」を意味するアイヌ語が語源でとされています。
この由来となった川が現在の「頓別川」で、河口付近で「クッチャロ湖」から流れ出るクッチャロ川と合流し、オホーツク海に注いでいます。
流域にあたる内陸側のまちが“中”頓別、海側のまちが“浜”頓別と呼ばれるようになったのが、町名の由来です。
⑴ 浜頓別町
『浜頓別町』は、道北のオホーツク海に面した漁業と酪農が盛んなまち。
町内にある「クッチャロ湖」は、台地の侵食により生じた砂礫が海流によって運ばれ砂州を形成してできた海跡湖で、越冬のため日本に飛来するハクチョウなど水鳥たちの経由地としてラムサール条約にも登録されています。
その他にも「ベニヤ原生花園」や「北見神威岬」など北オホーツク道立自然公園に属する町内には景勝地も多く、特産品の毛ガニやホタテ、鮭など海鮮グルメと共に人気の観光エリアになっています。
⑵ 中頓別町
『中頓別町』は、道北の秀峰・敏音知岳(ピンネシリ岳)の裾野に広がる豊かな自然に恵まれたまち。
明治末期には、町内に流れる清流で一片の砂金が発見されたのを機にゴールドラッシュが起き、カナダ・ユーコン川支流クロンダイク地区の世界最大級のゴールドラッシュにあやかり“東洋のクロンダイク”とも呼ばれていました。
現在でも微量ながら砂金が取れる「ペーチャン川」では砂金堀体験ができる他、北海道指定天然記念物「中頓別鍾乳洞」がある国有林には、金鉱跡や砂金堀跡が歴史的文化遺産として整備・保存されています。
元々ひとつの村だった浜頓別と中頓別
実は「浜頓別町」と「中頓別町」は、かつて『頓別村』というひとつの村であったことはあまり知られていません。
1916年(大正5年)に現在の枝幸町(当時は枝幸村)から分村しできたのが『頓別村』で、のちの1921年(大正10年)に、頓別村からさらに分立してできたのが中頓別村です。
その後、中頓別村は1949年(昭和24年)に町制施行により「中頓別町」となり、2年後の1951年(昭和26年)には頓別村が町制施行により「浜頓別町」となったのです。
かつてこの地に敷かれていた鉄道の興浜北線(1985年に廃線)や天北線(1989年に廃線)には、頓別仮乗降場をはじめ小頓別駅、上頓別駅、中頓別駅、下頓別駅、浜頓別駅、北頓別仮乗降場など“頓別”が付く駅が多く存在していました。
いまでは町村名としての「頓別」は消滅してしまいましたが、「頓別」は古くからこの地域の名称として親しまれていたのを物語っています。
他にもまだある!北海道の似た地名まとめ
浜頓別町にある「クッチャロ湖」ですが、よく似た名前で「屈斜路(クッシャロ)湖」という湖もあります。
屈斜路湖は、道東のまち・弟子屈町にある日本最大のカルデラ湖として観光で人気のスポットになっていますが、名前が紛らわしくってどっちがどっちか分からなくなってしまうこともあります。
「クッチャロ湖」と「屈斜路(クッシャロ)湖」もクッチャロという共通のアイヌ語が語源になっていて、これは「咽喉・のど口」を意味しています。
このように、北海道にはその土地の地形などを意味するアイヌ語から由来している地名が多く、似た特徴の土地が同じ名前になってしまっていることも少なくありません。
他にも、「ノシャップ岬」と「ノサップ岬」という紛らわしいものもあって、これもノッサムという「崎の際・側」という意味を持つアイヌ語から由来しています。
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