たくさんの桜の艶やかな姿が見られる時期になりました。北海道で桜を楽しめる時期は短いので、シーズンにはぜひお花見をしたいですね。

しかし、たまには美しいだけではない桜を見物するのはいかがでしょう。

真駒内にあるエドウィン・ダン記念館の敷地に通称「オンコ桜」と呼ばれる桜があるのはご存じですか。なぜ「オンコ桜」と呼ばれているのかというと、この桜がなんとオンコの木から自生しているからです。

今回は、北海道の桜の中でも珍しい「オンコ桜」をご紹介します。

オンコの木に自生している桜?通称「オンコ桜」

イチイの木~北海道での呼び名は「オンコ」~

「オンコ」とは北海道でのイチイの木の呼び名です。イチイの木は常緑針葉樹で、真ん中に黒い種のあるかわいい赤い実を付けます。かつては札幌でも住宅の庭にたくさん植えられていました。小さな頃にオンコの実を食べたことがあるという方も多いのではないでしょうか(※種や葉や植物全体には毒がありますので注意です)

イチイの木は「アララギ」「ヤマビャクダン」など、さまざまな別名があり、アイヌ語では「ラㇽマニ」「タルマニ」と呼ばれています。北海道でも馴染みのある樹木です。

エドウィン・ダン記念館の敷地にある桜はオンコの木に自生

真駒内の「エドウィン・ダン記念公園」には桜がいっぱい

エドウィン・ダンはアメリカから来て、北海道の畜産業の普及に貢献し、北海道の酪農の基礎を築いた人物です。「エドウィン・ダン記念館」は、もともとは放牛場の事務所だった建物を、1964年に現エドウィン・ダン記念公園内(旧真駒内中央公園内)に移築し公開したもの。公園内にはエドウィン・ダンの像も設置されています。

記念館のあるエドウィン・ダン記念公園は桜の名所でもあり、豊かな自然に触れることのできる密かな穴場スポットです。

もともとはオンコだけだった木に山桜の種子が入り成長!

「オンコ桜」の主であるオンコの木は、エドウィン・ダン記念館の移築とともに現在の場所に移植されました。樹齢が推定で120年と言われており、歴史を感じさせる木でもあります。

オンコの木から桜の木が生えているのがわかるでしょうか。「オンコ桜」はこのようにオンコの木に自生しているたいへん珍しい桜です。オンコの幹に山桜の種子が入り込み、成長してこのようになったそうです。

近づくと「オンコ桜」の由来が書かれていました。エドウィン・ダン記念館のスタッフの方たちは「オンコ桜」の写真や記録を毎年きちんと取っているそうです。

桜の木がヤドリギなどに寄生されることはあっても、桜がほかの木に自生するのはとても珍しいですね。偶然とはいえ、種類の違う樹木が寄り添いあう姿には、自然の神秘を感じてしまいます。

白い洋館のそばに不思議な「オンコ桜」が立っている姿は、なんだか絵本の世界に迷い込んだような気分になりますよ。

札幌市南区真駒内泉町1丁目
  1. 営業時間 :  
    [4/1〜10/31]9:30 - 16:30
    ※毎週水曜日は休館日
    [11/1〜3/31] 9:30 - 16:30
    (金曜日、土曜日、日曜日のみ開館。まで。年末年始は休館日)
  2. 住所 : 札幌市南区真駒内泉町1丁目
  3. 入館料:無料

近くには桜の名所「真駒内緑町緑道」も

エドゥイン・ダン記念館のそばにはひそかな桜の名所「真駒内緑町緑道」もあります。ぜひこちらにも立ち寄って満開の桜を堪能してください。例年それほど混雑しないので、ゆっくりと桜の花を愛でることができますよ。

今回はちょっと変わった「オンコ桜」をご紹介しました。こんな不思議な桜が札幌市内にあったなんて、と驚いた方もいたのではないでしょうか。

桜は日本人にとってお花見に欠かせない存在。しかし、たまにはこんな風変わりな桜を眺めて楽しむのも悪くないかもしれません。真駒内に足を運んだら、エドウィン・ダン記念公園でぜひ「オンコ桜」を見物してみてくださいね。