北海道の地名には、漢字の「内」が含まれる市町村がとても多いですよね!
特に「〜内」という市町村は、地図をみていると北海道のいたるところで見つけることができます。
なぜ、これほど「〜内」という地名が多いのでしょうか?
北海道にはなぜ「〜内」という地名が多い?その理由とアイヌ語地名について
北海道の「内(ない)」がつく市町村はいくつある?!
北海道を旅行していたり、北海道の地図を眺めていると、「内」という字が含まれる地名が多いなぁと感じたことはありませんか?
北海道には「〜内(ない)」という地名が、2市4町2村の計8市町村もあるんですよ!
・稚内(市)
・黒松内(町)
・岩内(町)
・幌加内(町)
・神恵内 (村)
・中札内(村)
これだけあると、さすがに偶然だとは思えないですよね!
もちろん、これにはちゃんと理由があって、それは北海道の地名のほとんどがアイヌ語から由来していることに関係しているんですよ。
「内(ない)」が付く地名は「ナイ」というアイヌ語に由来してる!
「内(ない)」が含まれる地名(市町村名)の多くでその由来となっているのは、「(小さい)川/沢」を意味するアイヌ語の「ナイ」です。
アイヌの人々にとって川は、生活に欠かすことができない大切な存在で、サケやマスが遡上し川漁ができる小川沿いにはアイヌのコタン(集落)が数多くありました。
アイヌによってつけられた川の名などはいつしか地名としてよばれるようになり、「内(ない)」という字があてられるようになったことが、北海道に「内」が含まれる地名が多い理由です。
以下、代表的な「〜内(ない)」の地名の語源についてまとめてみました!
① 稚内(わっかない)
『稚内(わっかない)』は北海道北部にある日本最北端のまち。
地名の語源となったのは、「冷たい・飲み水・川」を意味するアイヌ語の「ヤム・ワッカ・ナイ」といわれています。
これは、かつてあまり質の良い水がなかったこの地で、飲み水に適した川につけられた名に由来しています。
道道106号(オロロンライン)沿いにある真言寺の付近を流れる沢がその発祥とされていて、境内には“稚内地名発祥の地”の札が建てられていてます。
② 神恵内村(かもえない)
『神恵内村(かもえない)』は、積丹半島の西側にある、かつてニシン漁で栄えたまちです。
地名の語源になったのは、「神・川」を意味するアイヌ語の「カムイ・ナイ」といわれています。
アイヌの人々の伝統的な信仰では、あらゆるものにカムイ(神)が宿っているとされ、「カムイ・ナイ」は「地形がけわしく、人が近づきがたい神秘な沢」とも解釈されています。
美しい積丹ブルーの海と断崖絶壁、そして深い山々と森に囲まれた神恵内は、まさに神々しい絶景が広がるまちです。
例外もある!知内(しりうち)と苫小牧(とまこまい)
「〜内」という地名や「ナイ」に由来する地名には、例外もあります。
道南にある『知内(しりうち)』は、漢字では「〜内」と書きますが、読みは「〜うち」となり、「ナイ=(小さい)川/沢」に由来する地名ではありません。
知内はアイヌ語の「チリ・オッ・イ」が語源となる地名で、これは「鳥・いる・ところ」を意味しています。
ここはかつて鷹の産地として知られ、アイヌにとっても鷹は和人との重要な交易品のひとつでした。
鷹の羽根は本州で高級品として珍重されたり、松前藩が徳川将軍家に鷹狩り用に献上する鷹の半数以上は知内でとられたものともいわれています。
もうひとつは、太平洋に面する港湾都市の『苫小牧(とまこまい)』です。
苫小牧は「内」の字が含まれていませんが、他の「〜内」の地名と同じく、「ナイ=(小さい)川/沢」に由来する地名で、「沼の奥にある川」を意味する「ト・マク・オマ・ナイ」が語源です。
この川とは、樽前山の麓を水源とする「苫小牧川」を指していて、川が流れる一帯はマコマイ(マクオマナイ)と呼ばれていました。
そして、かつて沼(ト)があった旧樽前山神社付近の一帯がト・マコマイと呼ばれるようになり、これが現在の『苫小牧』という地名の由来になったと考えられています。
札幌市内にも「ナイ」に由来する地名もある!
市町村名以外でも「ナイ=(小さい)川/沢」に由来する地名は数多くあって、札幌市内にもいくつか存在しています。
東区の『苗穂(なえぼ)』は、「川・小さな」を意味する「ナイ・ポ」が語源で、伏篭川の支流がその由来とされています。
もうひとつが、南区の『真駒内(まこまない)』で、これは「奥にある川」を意味する「マク・オマ・ナイ」が語源で、現在は真駒内公園内を流れている真駒内川に由来しています。
身近な地名の由来を調べてみると、新しい発見があって面白いですね!
“小さい川”があれば“大きい川”もある!
「小さい川」に由来する地名があれば、「大きい川」に由来する地名もあります。
「大きい川」はアイヌ語で「ペッ/ぺトウ」といって、現在の地名に「別(べつ)」の字があてられている場所の多くは、これに由来しています。
「〜別」の地名についてまとめた記事も、ぜひチェックしてみてくださいね!