「国宝」といえば、その芸術性の高さや歴史的・学術的な価値がきわめて高い、まさしく“国の宝”というべきもの。

現在、美術工芸品や建造物など1,100を超える有形文化財が国宝として指定されていますが、北海道にも、たったひとつ「国宝」に指定されているものがあるのを知っていますか?

北海道にある国宝ってなに?

旧南茅部町で発掘された縄文時代の中空土偶「茅空(かっくう)」

■ 北海道で唯一の国宝「中空土偶」

北海道で唯一の国宝に指定されているものは、縄文時代につくられた「中空土偶」です。

これは、1975年に旧南茅部町(いまの函館市南茅部地区)のジャガイモ畑で農作業中の住民によって偶然に発見されたもので、その後の調査により、今から約3,200年前の縄文時代後期後半につくられたものであることが分かりました。

この土偶は、高さ41.5cm、幅20.1cm、重さ1,745gで、中が空洞につくられる中空土偶として最大のもので、その希少性と精巧に作られた芸術性の高さから1979年に国の重要文化財に指定されました。

出土した南茅部の“茅”と中空土偶の“空”から『茅空(かっくう)』という愛称が付けられたこの土偶は、その後の2007年に北海道で唯一となる国宝に指定され、現在では函館市縄文文化交流センターにて常設展示されています。

豊かな精神性をもっていた縄文人
■ 故意に壊され両腕が欠損し頭部には穴が空いている

縄文時代というと、つい原始的な生活をおくっていたことを想像してしまいがちですが、実は豊かな精神性をもつ文化であったという見方が主流です。

それを示すのがこの「中空土偶」で、ほかの土器や石器など実用性があるものとは異なり、葬送儀礼の副葬品として作られ、死者に添えられるように集団墓の一角から見つかっています。

発掘された時にはすでに両腕が欠損し頭部には穴が空いていましたが、これは死者が生まれ変わるときに健康な体を手に入れられるよう願いを込めて故意に壊されたものと考えられています。

■ 縄文人の豊かな精神性を物語る「足形付土版」

ほかにも縄文人の豊かな精神性を伝える代表的なものに、「足形付土版」があります。

これは、幼くして亡くなった子どもの足を写し取った形見で、開けられた穴には紐を通して家屋に吊るし、親が亡くなった時に一緒に埋葬されたものだと考えられています。

世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」
■ 世界遺産にも登録されている北海道の縄文遺跡

北海道や青森/岩手/秋田の北東北には、自然の恵みを受けながら1万年以上にわたり定住した縄文人の生活や精神性をいまに伝える遺跡が多く見つかっています。

これらの貴重な文化資産は、2021年に『北海道・北東北の縄文遺跡群』としてユネスコ世界遺産に登録されました。

北海道では、「中空土偶」が常設展示されている函館市縄文文化交流センターに隣接する垣ノ島遺跡を含む、6ヶ所の縄文遺跡が構成資産になっています。

祝・世界遺産登録!北海道にある縄文遺跡はどこ?全6ヶ所の紹介と行き方まとめ

函館市縄文文化交流センター
■ 国宝の中空土偶が常設展示されている「函館市縄文文化交流センター」

『函館市縄文文化交流センター』は、南茅部縄文遺跡群を中心に、函館市の縄文遺跡から出土した土器や石器はもちろん、「足形付土版」や北海道で唯一の国宝「中空土偶」が常設展示されているミュージアムです。

世界遺産の北海道・北東北の縄文遺跡群のひとつである「垣ノ島遺跡」にも隣接しています。

道の駅「縄文ロマン 南かやべ」も併設されているので、ドライブスポットとしても有名ですね!

函館市臼尻町551-1
  1. 営業時間 :  
    [4/1~10/31] 9:00 - 17:00
    [11/1~3/31] 9:00 - 16:30
    ※休館日:毎週月曜(祝翌日)、最終金曜、年末年始
  2. 住所 : 函館市臼尻町551-1
  3. TEL : 0138-25-2030
  4. 入館料:一般300円/学生・生徒・児童150円/未就学児無料
    駐車場:あり(無料)
国宝ってなに?重要文化財との違いとは
■ 函館市縄文文化交流センターで掲示されている「国宝指定書」

そもそも『国宝』とは、何なのでしょうか?

日本にある建造物や美術工芸品などのうち、歴史上あるいは芸術上の価値が高いものは、文化財保護法に基づき文部科学大臣により「重要文化財」に指定され、保存し活用することが定められています。

『国宝』は、この「重要文化財」のうち“世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの(文化財保護法第27条第2項)”が文部科学大臣により指定されるもの。

つまり、『国宝』は「重要文化財」の一種であるということができます。

令和3年8月1日現在、1,125件が国宝に指定されていて、都道府県別にみると最も多いのが東京都の283件で、京都府の237件、奈良県の206件と続きます。

レプリカ(複製)は札幌の北海道博物館でも見られる!?

■ “森のちゃれんが”の愛称をもつ「北海道博物館」

そんな、北海道で唯一の国宝である「中空土偶」ですが、函館までなかなか見に行けない!という方も多いですよね。

実は、レプリカ(複製)なら札幌市内でも見ることができるのを知っていますか?

■ 北海道博物館に展示されている「中空土偶(茅空)」のレプリカ

札幌市厚別区にある「北海道博物館」は、旧石器時代から縄文〜続縄文文化、擦文文化、アイヌ文化、そして現代まで豊富な展示物で北海道の歴史や文化をたどることができるミュージアム。

札幌市内・近郊をはじめ北海道中の遺跡から発掘された土器や石器をはじめ、国宝「中空土偶」のレプリカも展示されているので、北海道の縄文文化についても身近に感じて、より深く学ぶことができますよ!

札幌市厚別区厚別町53-2
  1. 営業時間 :  
    [5月〜9月]9:30 - 17:00
    [10月〜4月]9:30 - 16:30
    ※毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日〜1月3日)休館
  2. 住所 : 札幌市厚別区厚別町53-2
  3. TEL : 011-898-0466
  4. 料金:一般600円/大学生・高校生300円
    (高校生は土曜日・こどもの日・文化の日は無料)
    駐車場:あり(無料)