冬には欠かすことのできない暖房。
北海道では多くの住宅で備え付けの暖房器具で部屋を暖めて寒い冬を過ごします。早い年だと10月中旬くらいから暖房をつけ始め、4月か、遅いと5月くらいまで暖房を使用します。
多くの家庭で見ることができる道民にとって馴染み深い灯油ストーブ。最近では電気やガス、灯油を使用したセントラルヒーティングも増えています。それぞれ長所、短所はありますが、暖房費を比較するとどうなるのでしょうか?
冬の暖房費、毎月いくら?燃料別の光熱費を比較してみました!
北海道の暖房費、いくらかかっていますか?
北海道の暖房費は結局、平均でくらいかかっているのでしょうか?
暖房に使用する燃料は、灯油や石油、電気代など様々ですが、これらは暖房以外にも給湯や照明、その他の電気製品でも使用される光熱費となりますので、純粋に暖房だけに消費した費用を出すのは困難です。
ここでは、暖房を使用する機会がない8月と、もっとも寒い2月の光熱費を比較し、その差額は暖房に消費されている可能性が高いと推測して見ていきたいと思います。
光熱・水道費 | 北海道 | 全国 | ||
勤労世帯 | 全世帯 | 勤労世帯 | 全世帯 | |
8月 | 17,838 | 18,344 | 18,871 | 19,383 |
2月 | 39,263 | 39,222 | 29,152 | 29,637 |
差額 | 21,425 | 20,878 | 10,281 | 10,254 |
総務省統計局/家計調査 平成29年度8月,平成30年度2月より
上表は総務省の家計調査より、平成29年度8月と平成30年度2月の光熱・水道費を抜き出したものと、その差額です。
表によると、北海道の8月と2月の差額は勤労世帯で21,425円、全世帯では20,878円でした。北海道内でも地域差があるかもしれませんが、多くの家庭での冬場の暖房費の感覚と近い数字ではないでしょうか?
次に、燃料別の暖房について見ていきたいと思います。
灯油?ガス?電気? 暖房で使用する燃料について
北海道の暖房には、灯油やガス、電気など様々なタイプがあります。一般的な家庭だと、どの燃料が一番多いのでしょうか?
次の表は、札幌市の平成26年度札幌市家庭用エネルギー消費実態調査結果を引用したものです。
暖房としてもっとも使用されている燃料はダントツで灯油。次いで都市ガスとなっています。
北海道の暖房としてはメジャーな灯油ですが、この調査では、調査世帯が戸建68.7%:集合住宅31.3%と戸建世帯の方が多い点と、築年数が20年以上が57.3%であることから、北海道の住宅で古くから利用されている灯油ストーブにバイアスがかかりやすいことが推測される点は注意が必要です。
暖房用主要燃料 | 比率 |
灯油 | 75.2% |
都市ガス | 13.4% |
電気 | 7.4% |
プロパンガス | 2.0% |
電気(従量電灯) | 1.3% |
その他 | 0.7% |
平成26年度札幌市家庭用エネルギー消費実態調査結果
近年のマンションでは都市ガスを利用しているものも多いですね。また戸建住宅ではガス電気とガスのハイブリッドやヒートポンプを利用した暖房もあります。それでも、灯油ストーブを利用している世帯が圧倒的に多いのが現状です。
では、燃料別ではどのくらい暖房費がかかっているのでしょうか?
北海道のスタンダード、灯油ストーブの場合
北海道の家庭で一般的な暖房器具は、灯油を使用する石油ストーブ。
多くの家庭で見られる据え置きの石油ストーブ。本州でよく見かける持ち運びができるポータブルなものはストーブがない部屋でたまに使うか、サブとして使うくらいでしょうか。
比較的古い住宅でよく見かける煙突が付いている石油ストーブは室内の空気を使って燃焼させ、煙突から排気させます。煙突がないFF式のストーブは燃焼に必要な空気を壁に開けられた吸気筒を通じて室外から給気し、燃焼した空気も排気筒から室外に排気します。近年の高気密住宅では煙突式は使えませんので、FF式が多いようです。
これらのストーブはポータブルなものと違い、外に排気をしますので寒い北海道でも窓を開けての換気が必要ありません。
大量に灯油を消費する北海道の冬は大型のホームタンクを屋外に設置しているお家が多いですね。ストーブはタンクと接続され灯油は自動的に供給されます。タンクの灯油も契約の業者が定期的に来て補充してくれます。
灯油ストーブの暖房費は?
札幌市の”平成27年 家庭用エネルギー実態調査”によると、最も多く灯油を消費するのは2月で231.6ℓ、23,307円とのことです。
灯油の消費量は暖房をする部屋の大きさや部屋数、木造かコンクリート造か、燃焼の強さなどにもよって変わります。また、灯油の価格は社会情勢や原油価格によって大きく変動しますね。2019年1月現在では1ℓ90円前後が相場のようです。
1ヶ月の燃料費が2万円を超えると、かなり高額な印象もありますが2〜4人世帯の冬の燃料費としては一般的と言えます。
様々なタイプがあるガスを使用した暖房器具
マンション、アパートなど集合住宅ではガスを使用する暖房器具が主流のようです。また戸建てでもガスを使用する暖房も増えているようです。ガスを使用する暖房器具の場合、石油ストーブと同様に温風を出すファンヒーターやパネルヒーター、床暖房など様々なタイプがあります。
ガスファンヒーターは石油ストーブ同様、室外から吸気し室外に排気をするFF式が主流で、すぐに暖まる暖房器具として人気です。また、ガスを使用して作った温水を部屋に設置されたパネルや床下に流して部屋を暖めるパネルヒーターや床暖房は部屋間の温度差がなく柔らかい暖かさで人気ですね。
意外と安い?!ガスの暖房費は?
ガスを使用する際の暖房費は、ガスの種類と暖房器具の種類によっても大きく変わるようです。
こちらも札幌市の”平成27年 家庭用エネルギー実態調査”によると、都市ガスを利用している家庭の場合、最も多く消費しているのが1月で67.3㎥、9,729円とのこと。一方、プロパンガスは1月の使用量が14.3㎥、5,796円という調査報告でした。
都市ガスとプロパンガスで比較すると、プロパンガスの方が熱量は大きいですが割高で、同じタイプの暖房器具を使用するとプロパンガスの方が暖房費も割高になると言われています。
調査報告では使用料、支払金額ともに都市ガス>プロパンガスとなっていますが、比較的プロパンガスの利用比率が高い賃貸物件には単身世帯が多く、日中の暖房が不要であることや節約志向が現れているのかもしれませんね。
オール電化は下火?電気を使用した暖房器具は?
火を使わない安全な電気を使った暖房。電気ファンヒーターやパネルヒーター、セントラルヒーティング、蓄熱暖房機など様々なタイプがありますね。一方で、一時期分譲マンションや戸建住宅で広く採用されていたオール電化は、東日本大震災以降の電気代値上がりを懸念して最近では少なくなってきた印象もあります。
しかし、灯油ストーブがある家庭でもサブの暖房器具として電気を使った暖房を併用したり、最近の単身向けの賃貸物件ではエアコンで暖房する場合も多いそうです。
電気で暖房する家庭って、冬の暖房費はどうなってるの?
札幌市の”平成27年 家庭用エネルギー実態調査”によると、電気で暖房を利用している家庭で最も多く消費しているのは1月で361.3kwh、11,692円とのことでした。
こちらも想像していたよりも高くないと思われる方が多いのでは?
近年、たしかに電気価格は上昇していますが、電気をメインに暖房をする場合は割引のある料金プランが適用されます。また、電気の暖房は灯油ストーブのようにガンガンに点ける、というよりもじんわり暖かいor寒くない程度に使うことが多いので、使い方によっては案外安く済ませることができるのかもしれませんね。
番外編!
エアコン – 北海道の冬も活躍?!
北海道では無縁であったエアコン。夏の暑さはそれほどでもなく、冬は外気が冷たいエアコンの暖房は使い物にならない、というのは過去の話。
近年では北海道の夏も雨が続き蒸し暑く感じることもあるので冷房にエアコン購入した、というご家庭も多いようです。
冬の暖房も寒冷地向けのエアコンなら外気がマイナスの日でもしっかり暖房してくれるので重宝している、というご家庭も多いようです。エアコンの要、ヒートポンプ技術は日進月歩。こちらも使用方法によってはそれまでよりも暖房費が抑えられる、という話もありますね。
薪ストーブ – 燃料費ゼロ!?
暖房費0円!夢の薪ストーブ!煙突を設置する必要があり工事費用がかかる、薪ストーブ自体が高価である、など設置費用は少々お高めですが、薪を自給自足するなら暖房費用はゼロ!火を身近に感じる生活も憧れますね。
薪は自治体が間伐材を配布していたり、造園業や林業の知人がいれば無料で手に入れることができるようです。
これらの原木はそのままでは使うことができませんので、薪割りをして1年から2年ほど乾燥させて使います。少々手間はかかりますが、趣味として楽しみながら薪集めが出来る方にはおすすめ。
輻射熱による暖房は体の芯から暖まり、設置場所によっては家全体を1台の薪ストーブで暖めることも可能とか。
ペレットストーブ – 便利でエコな暖房!
近年、注目を集めているペレットストーブ。薪を集めるのが難しかったり、購入するには費用がかかりすぎる、という方でも薪ストーブのように本物の日がある生活がペレットストーブなら実現できます。
ペレットストーブはおが粉やかんな屑などを圧縮成形した固形燃料を燃やして暖をとるストーブ。燃料を自動供給してくれたり煙突が不要のFF式のペレットストーブがあったり薪ストーブよりも気軽に設置、使用することができます。
間伐材の利用や化石燃料を使用しないペレットストーブはエコで、北欧を中心に普及していますが近年では日本でも人気になっています。