コロナ禍を経て浸透したテレワークは、人々の働き方はもちろん暮らし方にも大きな変化をもたらしている。

これまでの通勤ありきの住まい探しから脱却し、より豊かな生活を求めた北海道地方都市への移住もその一例だ。

テレワーク移住で注目が高まっている恵庭、千歳、苫小牧の不動産売買の現状と地方不動産店の取り組みについて、専門家に話を聞いた。

テレワークの浸透、転換点を迎えた北海道の地方不動産店の取り組みと役割とは

テレワーク浸透で注目が集まる北海道地方都市への移住

■ 千歳市幌加地区にある丘陵地帯と一面にひまわりが咲くパレットの丘

これまでも定年後の移住先として人気があった北海道だが、コロナ禍を経て在宅テレワークが浸透したことで、これまでの通勤ありきの住まい探しから脱却し、より豊かな生活を求める現役・子育て世代など幅広い層から移住先として人気が集まっている。

特に注目されているのが、恵庭、千歳、苫小牧といった札幌近隣の地方都市で、その背景にあるのは空路で首都圏へのアクセスが容易な新千歳空港の存在だ。

注目が高まる新千歳空港近隣の地方都市
■ 日本有数の旅客数と発着回数を誇る北海道空の玄関口である新千歳空港

新千歳空港はいわずと知れた北海道の空の玄関口。

北海道と首都圏を結ぶ新千歳ー羽田間は国内有数の旅客数を誇り、成田や関西、中部をはじめ国内の主要空港とも多くの路線も持つ。

テレワークの浸透による移住先として注目が高まっているのが、この新千歳空港の周辺にある恵庭、千歳、苫小牧の3市だ。

恵庭・千歳・苫小牧、移住先としてのメリット
■ 快速エアポートの停車駅で再開発ビルと接続するペデストリアンデッキ(空中歩廊)があるJR恵庭駅

テレワークによる移住先として恵庭、千歳、苫小牧のメリットは大きい。

街はよく整備されていて環境が良く、北海道の豊かな自然の中での生活や子育てが実現できる。いざという時には大都市・札幌にも近いので医療などのサービスも受けやすいなど生活面の安心感もある。

これらの地域はもともとベッドタウンとして栄えてきた経緯もあり、各自治体による子育て世代への助成が手厚いのに加え、北海道が行っているテレワーク移住への支援もその後押しになっている。

なにより、首都圏などへの出社が必要となった際にも新千歳空港へ近く、アクセスが良いのが最大の魅力だろう。

地方の魅力を発信し、不動産の流動性を支える地方不動産店とその役割

テレワークによる移住先として注目を集める北海道の地方都市だが、一方では高齢化が進み空き家となったり相続などで土地・家屋の売却を考えている人も多い。

これら双方の需要を結びつけることで流動性を保ち、不動産の資産価値を支えているのが、現地に拠点を置き不動産売買を仲介する地方不動産店の存在だ。

恵庭、千歳、苫小牧の不動産売買の現状について、専門である株式会社パイン住幸[本店:恵庭市]の久慈幸一郎氏、そして代表取締役である平松宏一氏にお話を聞いた。

「リモートワークの浸透で職場と住まいを切り離して考えられる時代が来ている」

株式会社パイン住幸
取締役副社長 久慈くじ 幸一郎 こういちろう

宅地建物取引士/1級ファイナンシャルプランニング技能士

ーーテレワークの浸透により、北海道の地方都市への移住が注目されていますね。

久慈氏「コロナ禍によりテレワークが浸透したことで、仕事をする場所と住まいを切り離して考えられる時代が来ていることを実感しています。最近では首都圏にお仕事がある方がリモートで可能になったということで、ご家族で苫小牧市へお住み替えされるのをお手伝いをさせていただきました。緊急事態宣言中には東京・神奈川など首都圏からのお問い合わせにリモートで物件のご紹介をさせていただいた事例もあります。」

ーー北海道への移住を考えているのは、どのような方が多いのですか?

久慈氏「そのご家族はご主人が北海道の出身で、もともと北海道にゆかりがある方でした。より豊かな暮らしというのをお考えになり、テレワークでお仕事をしながら北海道で暮らす、という選択をされた様です。」

平松氏「以前は定年後の移住というのが多かったのですが、いまは30代や40代などの現役層、子育て世代が多い印象です。やはりテレワークの浸透で働き方や暮らし方が多様化していることが表れていると感じています。」

ーーテレワークによる地方移住は今後も進むでしょうか?

久慈氏「そういった需要で地方が発展していく可能性は十分あると考えています。」

平松氏「そのような選択肢を持てる方に注目されているのが、新千歳空港に近い恵庭、千歳、苫小牧です。北海道の自然環境の中での豊かな暮らしや伸び伸びとした子育てを実現でき、出社が必要になった際にも空港へのアクセスが良いですからね。」

久慈氏「特に苫小牧は雪が少ないので、雪が降らない地域での生活が長い方にとって安心感があるでしょう。日帰りでの行き来が容易な札幌へのアクセスの良さも魅力です。」

「まちの魅力を発信し、不動産へ付加価値をつけることが地方不動産店の役割」

株式会社パイン住幸
代表取締役社長 平松ひらまつ 宏一こういち

小樽市出身。趣味は最近お子さんとはじめたスノーボード。野球も好きで年に数回は日ハム戦の応援に行くそう。

ーーテレワーク移住により人が集まる可能性がある一方で、長期的にみると地方都市は人口減少も懸念されていますね。

久慈氏「今後、北海道の多くの地域で人口減少が進むことは明白で、すでに限界集落と呼ばれているような地域もあります。その様な地域では、採算性の問題から不動産会社が積極的に売買を仲介することがなくなってしまい、結果として不動産が流動性を失いその資産価値が下がってしまうということが起きています。私たちとしてはそれを食い止めたいという想いを持って日々取り組んでいます。リフォームなどの空間再生もそのひとつで不動産に付加価値を生み出したり、その町の魅力を発信していくことで、いかにそこに住みたいと思う人を呼び込めるか。それが地方にある不動産店の役割であり存在意義だと考えています。」

「大手不動産会社での経験を地方で活かし、選ばれる地方不動産店を目指していきたい」
■ 不動産の専門知識はもちろん地域情報にも詳しいパイン住幸スタッフの皆さん。住まいに関する悩みがあれば一度相談しでみては。

ーー北海道の都市部ではない地方の不動産売買の今後はどのようにお考えになっているのでしょうか?

平松氏「地方では大手不動産会社の参入が少なく、古い体質の不動産店もあるなど、不動産売買における手続きの遂行や提案力などのサービスは高いレベルに均一化されていないのが現状です。私たちのような都市部や東京など首都圏の大手不動産会社での経験やノウハウを持っている不動産店が地方で都市部と変わらないサービスを提供することで、選ばれる地方不動産店を目指して地域に貢献していきたい考えています。」

ーー地方を盛り上げていく上で、地方不動産店が担う役割も大きいということですね。

平松氏「もちろん、これからもさらなるサービスの向上を目指していきたいと考えています。積極的に行なっている中途採用もその一環です。セカンドキャリアで自己成長を目指す若い世代など、一緒に地方を盛り上げていける人材との出会いも大切にしたいと思っています。」

取材・協力 株式会社パイン住幸

今回、取材にご協力して頂いた株式会社パイン住幸[本店:恵庭市]は、恵庭・千歳・苫小牧など札幌近郊の幅広いエリアで不動産売買仲介/買取(土地、一戸建て、マンション、事業用不動産、投資用不動産)を行なっている不動産会社。

2021年10月には設立5周年を迎え、地方における不動産店としての理念や取り組みで注目されている。

住まいに関する悩みがある方は、ぜひ一度相談してみては。

恵庭本店
恵庭市恵み野西1丁目8-3 EASTビル2F
  1. 営業時間 : 10:00 - 18:00
  2. 住所 : 恵庭市恵み野西1丁目8-3 EASTビル2F
  3. 定休日:第1, 第3火曜日, 水曜日
    駐車場:あり
苫小牧店
苫小牧市表町5丁目11番5号 ふれんどビル2F
  1. 営業時間 : 10:00 - 18:00
  2. 住所 : 苫小牧市表町5丁目11番5号 ふれんどビル2F
  3. 定休日:第1, 第3火曜日, 水曜日
    駐車場:あり