広い北海道には、同じ読み方で紛らわしい地名がたくさんありますね!
「しべつ」という地名もそのひとつで、「士別」と「標津」の2ヶ所があります。会話の中でどこの話をしているか混乱してしまったり、間違って伝わってしまうこともありますよね。
ここでは、それぞれのまちの特徴や地名の由来についてまとめてみました!
どうして北海道には「しべつ」が2ヶ所もあるの?
北海道にある2ヶ所の「しべつ」について
北海道には、「しべつ」の名がつく地名が2ヶ所あります。
まずは、それぞれの「しべつ」の場所とまちの特徴についておさらいしておきましょう!
⑴ 士別市 – 道北・上川総合振興局
士別(しべつ)は、旭川から北に50kmほどの場所にある道北のまち。
サフォーク種と呼ばれる羊の牧畜が盛んな“羊のまち”として知られていて、羊肉のグルメはもちろん、羊毛を使った手作りのフェルト工芸が有名です。
観光牧場の「羊と雲の丘」は、雲に手が届きそうな牧歌的な風景はもちろん、シープドックショーや羊の毛刈り体験のイベントがあったり羊肉を味わうことができるバーベキューハウスなど観光でも人気!
市の人口を超える年間2万人ものアスリートが滞在する“スポーツ合宿のまち”としても知られていて、マラソン選手を中心に士別での合宿から世界へ羽ばたいている日本のトップアスリート/メダリストも少なくありません。
道東にある標津(しべつ)と区別するために、士別の「士」の字をとって「サムライシベツ」と呼ばれたり、士別市/標津町と市町村をつけて区別されることもあります。
⑵ 標津町 – 道東・根室振興局
標津(しべつ)は知床半島の付け根、オホーツク海に面した道東のまち。
北海道でも屈指の鮭の産地として知られていますが、格子状の防風林で有名な中標津町・別海町に面する内陸部では酪農も盛んに行われています。
“世界遺産・知床”の南の玄関口で、中標津空港や釧路・帯広方面からの経由地で、ラムサール条約湿地で日本最大の砂嘴である野付半島があることでも知られていますね。
標津町は“日本一気風のいい町”でもあります。毎年9月には全町民へ鮭が1匹ずつ無料で配布され、さらに8月と12月にはホタテ、12月にはバターも配布されます。秋の学校給食にはイクラ丼も出るとか。羨ましいですね!
道北の士別(しべつ)と区別するため、管内にあたる根室振興局の名を冠して「根室標津」と呼ばれたり、標津町/士別市と市町村をつけて区別されることもあります。
どうして「しべつ」と読む地名は2ヶ所もあるの?
なぜ、北海道には「しべつ」と読む地名が2ヶ所もあるのでしょうか?
それは、いずれの「しべつ」も『シ・ペッ(si-pet)』というアイヌ語が共通してその語源になっているためなのです。
「シペッ(大きい川)」が語源の「しべつ」
北海道に2ヶ所ある「しべつ」という地名ですが、いずれもその語源となっているのはアイヌ語の『シ・ペッ(si-pet)』で、これは「大きい・川」を意味しています。
道北の「士別」では、まちの中心に『天塩川』という北海道で2番目に長い川が流れていて、これが「シ・ペッ(大きい・川)」を意味しているといわれています。
また、オホーツク海側の「標津」でも同様に、『標津川』がそれを表しているといわれています。
標茶も「シペッ(大きい川)」に由来している?
「しべつ」と読み方が少し似ている「しべちゃ(標茶)」も、同じアイヌ語に由来しています。
「標茶町」は釧路の北に面していて釧路湿原があるまち。町名の語源となったのは『シ・ペッ・チャ(si-pet-ca)』という「大きい・川・岸」を意味するアイヌ語で、士別や標津と「シペッ(大きい川)」の部分が共通しています。
標茶の「シペッ(大きい川)」は『釧路川』のことだとされていて、その「チャ(岸)」にあたることからこの地域が「シペチャ」と呼ばれるようになったと考えられています。
他にもまだある!北海道で同じ地名の場所はどこ?
北海道ではその土地の特徴を表すアイヌ語が語源となっている地名が多く、それゆえ「しべつ」の他にも同じ名称になっている地名が他にもたくさん存在しているんですよ!
「えさし」と読む地名も2ヶ所ある!?
道北のオホーツク海に面する「枝幸町」と、道南の日本海に面する「江差町」も、どちらも「えさし」と読む地名ですね。
こちらもアイヌ語が語源となっていて、「頭が・浜・についている・所」つまり「岬」のような場所を意味する『エサウシイ(e-sa-us-i)』から由来しています。
「もんべつ」という地名は3ヶ所もある!?
「もんべつ」もアイヌ語が語源となった地名で、この名のつく場所は、道東の「紋別」と日高の「門別」、そして伊達の「紋別」といったように北海道に3ヶ所もあるんですよ!
これは、『モ・ペッ(mo-pet)』という「静かな・川」を意味するアイヌ語から由来しているためなんですよ。