北海道の屋根、天空に広がるお花畑の息を飲む美しさに出会いに、黒岳登山にチャレンジしてみませんか?
ロープウェイとリフトを乗り継ぎ7合目から登れる黒岳は、初心者にもおすすめです。
しかし、そこは本州の3000m級にも匹敵する大雪山。十分な準備と下調べをして行きましょう!
大雪山系の大パノラマ、絶景を味わう2000m級の黒岳にチャレンジ!
2000m級の山々が連なる北海道の屋根、大雪山系
北海道の中央部にそびえる大雪山。
最高峰の旭岳(2291m)を主峰に、2000m級の複数の山々から成るその山群は「大雪山系」「大雪山連峰」として親しまれ、時にその雄大な姿から北海道の屋根とも呼ばれています。
本州では標高3000mを超えなければ見ることができない高山植物も、北海道にある大雪山では標高は2000mで見れるとあって、雄大な景色と相まって多くの登山ファンが訪れる名山です。
初心者・入門者でも到達できる、標高2000m級・大雪山系の絶景!
大雪山・黒岳登山の入口は麓にある層雲峡温泉街
周囲が2000m級の山々に囲まれた渓谷、北海道の秘境ともいえる大雪山の麓にあるのが層雲峡温泉街です。
北海道でも有数の温泉街として、温泉旅館やホテル、ペンション、公共浴場が並びます。
この温泉地は、層雲峡の大自然の景観と温泉を楽しむ観光客に人気である他、大雪山系への登山口として、多くの登山客で賑わっています。
「北海道」の名付けの親でもある松浦武四郎らによって発見されたこの温泉は、単純温泉・塩化物泉が多い道内で意外と少ない硫黄泉(硫化水素泉)で、皮膚病や婦人病、切り傷、糖尿病、高血圧、動脈硬化症など生活習慣病に加え、美肌効果があるとされます。
温泉街は2000m級の山々を背景に、まるで海外の山岳リゾートの様な雰囲気です。
中心部は「キャニオンモール」として整備され、1987年に策定された「上川・層雲峡圏プラン65基本構想」に基づき、周囲の建物の色彩やデザインは統一感のある街作りがされていて、コンビニエンスストアでさえ、本来の色合いの看板から茶系の色合いに変更され景観が守られています。
日帰り入浴もありますので、下山後の汗を流し、山の疲れを癒すのがおすすめです。
初心者OK!ロープウェイとリフトで7合目からの黒岳登山
黒岳登山の魅力は、なんと言っても本格的な登山や山中での宿泊が伴う長距離の縦走に挑まなければ見ることができない大雪山系2000m級の絶景に、ロープウェイとリフトを使うことで気軽に到達できるということ。
層雲峡温泉街から登山口がある黒岳は、大雪山系の山々を縦走する本格的な登山ファンが全国から集まると同時に、ロープウェイとリフトを乗り継ぐと7合目まで行けるとあって、初心者でも気軽に登れる山として全国から登山客に大人気です。
7合目から山頂までは標高差465m、距離は1.7km程、登り1時間半、下り1時間位が目安とされますが、熟練度や体力によっても変わります。往復4時間は考えておくと良さそうです。
7合目からの黒岳登山にチャレンジしてきました!
ベースキャンプは層雲峡温泉街!
今回の黒岳登山は前日に層雲峡温泉街に宿泊。朝一番で山に向かいます。
温泉街のキャニオンモールにある山麓駅からは、時期にもよりますが夏季は朝6時が始発です。
7合目からの黒岳登山は登り1時間半、下り1時間の計2時間半が目安とされていますが、これは初心者には結構早めのペース。休憩時間、山頂で過ごす時間も考慮すると4時間は見ておいた方が良さそう。
下山のリフト・ロープウェイに間に合うよう(夏季は17時30分まで)に下山することを考えると、遅くともお昼には山麓を出発する必要があります。
ロープウェイでまずは5合目まで行こう!
山麓駅で往復分のロープウェイ・リフトのチケットを購入。およそ20分間隔で運行されているので、それほど待ち時間はありませんね。
5合目までは約7分。
ロープウェイ内では大雪山の歴史や、見える山々の解説が聞けますので景色を眺めながら耳を傾けてみて。振り返ると、すでに層雲峡の絶景が!
料金はロープウェイ、リフト共に片道料金・往復料金があり、両方利用する方にはセット券もあります。このロープウェイ・リフトの往復セット券は大人1名3,000円。クレジットカードも利用できますよ。
大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ
- 営業時間 : ①ロープウェイ 6:00 - 18:00 ②リフト 6:30 - 17:30
※営業時間は季節によって変動あり - 住所 : 北海道上川郡上川町層雲峡 大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ
- TEL : 01658-5-3031
- 料金:①ロープウェイ 大人片道1,400円 / 往復2,400円 ②リフト 大人片道600円 / 往復800円 ③ロープウェイ・リフトセット券 大人片道3,000円 / 往復3,900円
※大人料金は中学生以上、小学生以下は大人料金の半額
5合目からリフトで7合目へ
ロープウェイで5合目駅についたら、リフトに乗り換えです。この5合目駅を最後にお手洗いはありませんので、乗り換える前に済ませておきましょう。
リフト乗り場は5合目駅から200mほど歩いた先にあります。徐々に標高が高くなるリフトでは夏でも肌寒く感じることがあるので、ウィンドブレーカーなどを羽織るといいですね。
7合目までは約15分で到着です。
7合目から、いざ頂上にアタック!
7合目に到着するとすぐにロッジ(山小屋)があり、脇の木階段から登山口に入ります。ここで入山届けに記入して、いよいよ登山のスタートです!
初めは、岩のゴツゴツとした急斜面、その後は階段状に整備された、つづら折りの登山道を登ります。
8合目
つづら折りの山道の途中、8合目に到着。
ベンチもあるので、小休憩にいいですね。ここからは、石狩川により侵食され、深く刻まれた層雲峡のダイナミックな渓谷を望むことができます。
9合目とまねき岩
つづら折りの登山道はまだ続きます。
途中、まだ雪が多く残る場所もあり、登山道は雪解け水でぬかるんでいます。慎重に足場を確認しないと危ないですね。
9合目になると、ようやく「まねき岩」が見えてきます。大雪山のお花畑へ手招いているような印象的な岩型です。ここまでくれば、山頂はあと少し!
山頂!
まねき岩を下に見下ろす高さまで来れば、いよいよもうすぐです。
緩やかになった階段状の登山道から、最後の岩道を登ると、さぁ山頂です!
層雲峡側の景色しか望めなかった視界が一気に広がり、大雪山の天空のお花畑が眼下に広がります。この絶景を見るには、本来であれば長時間の登山や縦走が必要になります。
7合目からの登山でこの絶景に出会えるのは黒岳ならではのですね。
黒岳登山の服装と注意点
黒岳登山の服装
今回は7号目から山頂までの日帰り登山であれば重装備に必要はありません。
しかし、初心者でも気軽に登れるとはいえ、そこは本州の3000m級に匹敵する黒岳。油断は禁物、備えあれば憂いなしです。
服装は、速乾性の肌着をベースレイヤーに、フリースやインナーダウンなどのミッドレイヤー(中間着)、ウィンドブレーカーをアウターレイヤーとして重ね着し、気温や天候に変化に対応できる様にしておくといいですね。
雨が降ってきた際はもちろん、標高が高い黒岳では、霧・雲の中に入ると小粒の水蒸気で濡れてしまいます。レインウェアは必ず用意しておきましょう。
岩場・ガレ場もある黒岳では靴底のしっかりした登山靴がマスト。また、7月上旬でも雪が多く残っていて、ゆきどけみで登山道もぬかるんでいますので、汚れても良い準備をしておきましょう。
初心者・入門者は形から入るのも重要です。それらしい格好をした方が気分も上がりますね!
※あまりにハリキリすぎて、荷物が重くならない様に注意しましょう!
黒岳登山の4つの注意点
最後に、黒岳登山の注意点についてまとめておきました。
①復路の時間を常に意識しよう!
ロープウェイとリフトを利用した7合目からの登山では、常に復路の時間を意識しておきましょう。
最終のリフトに間に合わないと、層雲峡温泉街まで帰れなくなります!麓まで徒歩での下山は登山道も初心者が進めるほど整備されていませんし、時間も相当かかります。そもそもリフトも終わってしまった時間ならば、下山中に真っ暗になるはずです。
リフトの最終時間を常に頭に入れ、下山にかかる時間を逆算し、間に合わなくなりそうなら途中で引き返すことも必要です。リフトに乗れれば、最終のロープウェイの時間には間に合いますよ。
②天気が悪化したら諦める・引き返す
登山前に予報をチェックし、悪天候であれば登山は諦めましょう。
また、標高が高い大雪山では天候が変化しやすいです。登山中に雲行きが怪しくなってきたら、本格的に悪化する前に引き返しましょう。
特に注意が必要なのは、雨と風。雨に濡れて風に当たると、夏でも低体温症の危険もあります。また、雨が降っていなくても、霧がかかっていたり低い雲の中に入ると水滴がついてしまいます。レインウェアは必須ですね。
③ルートから逸れない
きれいな高山植物が咲き、絶景が広がる黒岳の登山ルート。
写真撮影に夢中になったり、絶景を追いかけてうっかりルートから逸れることがない様に注意してください。故意にルートから逸れるのは以ての外。
2000m級の高山、特に大雪山ではただの迷子ではすみませんよ!
④石室から先には行かない
山頂の絶景を楽しんだ後、山頂周囲をもう少し散策してみたいという方も多いですね。
黒岳山頂から北鎮岳、北海岳方面に向かう方向に下ると、「石室(いしむろ)」という山小屋があります。この周辺は美しい高山植物が咲く花畑になっていますので、時間に余裕があれば行ってみるのも良いでしょう。
しかし、山小屋から先は、初心者が進むのは危険です。
そもそも、この山小屋は大雪山系を縦走するルート上にあり、縦走に挑む熟練の登山者の拠点になっている避難小屋です。ここから先はそれ相応の装備をした上で、山岳ガイドや熟練の登山者と同伴でなければ命の保証はありません。
魅力溢れる大雪山系・黒岳の登山を楽しんで
北海道の屋根、大雪山系は十分な準備と下調べをしておけば、初心者でも気軽に登れる山。
層雲峡の壮大な渓谷の景色と、天空に広がるお花畑の言葉にならない大絶景を見に、ぜひ黒岳登山にチャレンジしてみてくださね。