札幌市南区にある石山緑地。

かつて建設資材として北海道の開拓時代を支えた札幌軟石の砕石跡地が、北海道出身の芸術家たちによってランドアートとして再生された札幌屈指のアート空間です。

札幌市民にも意外と知られていないこの公園は、日常の景色とはまるで違った世界が広がっています。

切り立った岩肌が露出するダイナミックな景観とアート作品

かつての札幌軟石の採掘場跡地をランドアートの公園として再生

南区石山の住宅街からもほど近く。

このあたりは、かつて建設資材として開拓時代の札幌・北海道を支えてきた“札幌軟石”の採石場でした。

閉鎖後、ランドアートの公園として再生されたのが「石山緑地」です。

きれいに整備された緑地に点在する彫刻作品と、ダイナミックに人工的に切り取られた裸の岩肌の光景は、日常とはまるで別世界。

石山緑地
北海道札幌市南区石山78石山緑地
  1. 営業時間 : 7:00-21:00
    ライトアップは21:00まで
  2. 住所 : 北海道札幌市南区石山78石山緑地
  3. 駐車場:無料

彫刻家集団CINQ(サンク)による作品が点在する公園内

真駒内通と平岸通をつなぐ緩やかなカーブの坂道を挟み、北ブロックと南ブロックに分かれている石山緑地。

ランドアートの舞台となっているのは南ブロック。

札幌軟石の石切場として印象的な裸の岩肌背景に、北海道出身の5人の彫刻家(国松明日香氏、永野光一氏、松隈康夫氏、丸山隆氏、山谷圭司氏)で構成されるCINQ(サンク)によるアート作品が点在しています。

スパイラルスプリング


公園南ブロックに入り、石の階段を下ると見えてくるのが「スパイラルスプリング」です。

塔から流れ落ちる水がうず巻き状の湧水路に流れるアート作品。夏には水遊びを楽しむ子供達に人気になっていますね。

水路の水深も浅いので、小さなお子さんも安心して遊ばせることができそうです。

赤い空の箱


公園奥に進む途中に現れる、色鮮やかなジャングルジムのような作品「赤い空の箱」。

採石により削られた裸の岩肌、森の緑を背景に鮮やかなコントラストが一際目を惹く作品ですね。

休日には、子供達がジャングルジムの内部に入り、よじ登る姿も。ここのアート作品は、どれも気軽に触れて楽しみ、親しむことが出来るんですね。

奥にぽっかり開いた洞窟(?)は何でしょうか?これは後日調べてみても分かりませんでした。

ネガティブマウンド


石山緑地を代表するアート作品「ネガティブマウンド」。

ローマにある古代遺跡コロッセウムを連想させるこの大きなランドアートは、実際、演劇や音楽演奏の舞台としても利用されることがあるそう。

東日本大震災の復興支援を目的に開催されている「いしやまキャンドルナイト」では、ここネガティブマウンドに3,000個以上のキャンドルが灯され、幻想的な光景が浮かび上がります。このイベントは毎年8月下旬に開催されていますよ。

午後の丘


公園のいちばん南奥にあるの「午後の丘」までやってきました。

人工的に切り出された岩壁と、緑の芝生に点在する立方体の造形物が印象的です。

パズルのピースみたいな立方体は、岩壁から切り抜かれ転げ落ちてきたかのよう。

人の手によって直線的に切り出されたはずの岩肌は、時間の経過とともに風化し、今にも緑の自然に呑み込まれてしまいそうです。

建設資材として北海道の開拓を支えた札幌軟石

石山緑地の周辺は、かつて建設資材として開拓時代の札幌・北海道を支えてきた札幌軟石の採石場でした。

戦後、コンクリートブロックなどの普及により札幌軟石を利用する建築物は減少。現在でも採掘しているのは1社を残すのみだそうです。

札幌軟石を用いた主な建築物では、小樽運河倉庫群や札幌市資料館、北海道大学農学部(旧札幌農学校第2農場)にあるサイロが有名で、きっと一度は目にしたことがあるはず。

近隣にある、「ぽすとかん(旧石山郵便局)」は札幌市指定歴史建物にも指定されている札幌軟石を使った建造物。

現在は、おしゃれなカフェや札幌軟石の端材を使った雑貨を作り販売しているショップ、南区ゆかりのアーティスト・作家による作品の販売などもされていて、南区の魅力を発信するスペースとしてリニューアル。

ぜひ一度足を運んでみては?