帯広市の人口が釧路市を上回り、北海道内で5番目になりました。

これは、両市が公表した住民基本台帳を元にした令和2年12月末時点での人口により、帯広市の人口が釧路市をわずかに上回ったことがわかったものです。

今回の人口逆転の背景や、気になる今後の推移についてまとめてみました。

帯広市の人口が道内5位に浮上!その背景、今後の推移は?

人口推移が堅調な「帯広」と急速に減少が進む「釧路」

出典:北海道住民基本台帳より

帯広市と釧路市が公表した住民基本台帳に基づく令和2年12月末時点での人口によると、帯広市が16万5670人、釧路市が16万5667人でした。

これにより、帯広市の人口が釧路市に対してわずかに3人上回り、北海道の人口規模で札幌・旭川・函館・苫小牧に次いで5番目になりました。

冒頭のグラフは、平成18年から令和2年までの住民基本台帳に基づく各年1月1日時点と令和2年12月末時点の人口推移をまとめたものです。

周辺市町からの転入が進む中核都市「帯広」

帯広市の人口は、平成12年の17万3千人をピークに減少に転じていますが、以降は16万5千人超で比較的堅調に推移しています。

この要因のひとつに、基幹産業である第一次産業(農業)が好調であることが指摘されていますが、社会動態(転入・転出)をみると周辺の町(音更町、芽室町、幕別町)やその他十勝管内からの転入が大きく超過している他、急速に人口減が進む釧路市や北見市からも転入超過になっています。

出典「帯広市人口ビジョン」より

これは、第三次産業への就職や住みやすさ、福祉・医療などの公共サービスを求めての転入など帯広が中核都市として存在感を増していることも要因として考えられるのではないでしょうか。

若い労働力の転入が多い工業都市「苫小牧」

苫小牧市の人口は、昭和55年から30年余りに渡って増加してきましたが、平成25年の17万4千人をピークに減少に転じています。

しかし、北海道最大の工業都市として栄える苫小牧では、製造業・建設業・運輸郵便業の3業種で男性の従業者のおよそ半分を占め、実際に若い世代は札幌や首都圏への転出が多い一方でほぼ同数のその他道内地域からの転入があります。

出典「苫小牧市人口ビジョン及び総合戦略」より

平成30年には減少が加速する釧路市と人口規模が逆転し、道内4位に浮上しました。

これまで17万人以上で推移している人口ですが、近年は自然増減(出生・死亡)は減少のスピードが加速していて、近い将来17万人を割り込む見込みです。

道内4位→6位、急速に人口減が進む「釧路市」

北海道で最も人口減少が深刻な町のひとつといえる釧路市。

平成17年に旧阿寒町・旧音別町との合併により一時的に増加した人口ですが、社会減(転出超過)に歯止めがかかりません。

昭和55年の2万7千人をピークに、水産や石炭など地域産業の低迷により札幌や首都圏への転出超過の状況が長く続き、さらに平成14年からは自然増減(出生・死亡)も減少に転じ、人口減少は加速しています。

出典「釧路市まち・ひと・しごと創生総合戦略」より

平成30年には苫小牧市の人口を下回り人口規模で道内5位に、そして令和2年12月末時点で帯広市をも下回り道内6位となりました。

令和3年8月には日本製紙釧路工場が事業撤退が決定しており、釧路の基幹産業のひとつであった製紙業や関連産業への打撃はもとより、人口流出にも大きな影響が懸念されています。

北海道の人口上位10市について

北海道にある自治体の人口規模の上位10市とその人口は、以下の通りです。

  • 札幌市(政令指定都市):196万1千人
  • 旭川市(中核市):33万1千人
  • 函館市(中核市):25万1千人
  • 苫小牧市:17万0千人
  • 帯広市:16万5千人
  • 釧路市:16万5千人
  • 江別市:11万9千人
  • 北見市:11万5千人
  • 小樽市:11万2千人
  • 千歳市:9万7千人

道内の人口の3分の1以上が集中する「札幌」は全国で20市ある政令市例としのひとつ。200万人に迫る全国でも横浜、大阪、名古屋に次いで4番目に人口が多い都市です。

増える札幌の人口、200万人は突破する?一極集中の理由はなに?

「旭川市」と「函館市」は人口20万人以上の中核市として、地域社会や経済の中心、観光の拠点にもなっていますね。

今回の大きな人口規模の逆転が起きた「帯広市」「釧路市」「苫小牧市」の他に、同じく大きな逆転が起きたのが「江別市」「北見市」「小樽市」です。

急速に人口が減少する小樽市は、平成30年に江別市さらに平成31年には北見市の人口を下回り、現在は北海道で9番目の人口規模になっています。