北海道初の科学館として名高い「室蘭青少年科学館」が「DENZAI環境科学館」としてリニューアルしたことはご存じですか。現在は「室蘭市図書館」と併設して「えみらん」の愛称でも親しまれています。

「DENZAI環境科学館」は、独自の工夫を凝らした展示やモノづくりを通して、未来を担う子供たちの科学教育に力を入れています。今回は地元に愛され、多くの人が訪れている室蘭の「DENZAI環境科学館」と室蘭の歴史を語る貴重な資料が多数ある民俗資料館「とんてん館」をご紹介します。

「DENZAI環境科学館」としてリニューアルした室蘭青少年科学館

地域に愛され続ける科学館がリニューアル

1963年4月に開館した「室蘭市青少年科学館」は、北海道最初の科学館。1970年代には入館者が100万人を達成するなど、北海道を代表する科学館でした。しかし、建物の老朽化により、2021年3月に多くの人に惜しまれ閉館。そして2021年12月「DENZAI環境科学館」としてリニューアルオープンしたのです。

子供たちの探究心や好奇心を育んできた科学館

室蘭青少年科学館時代から人気のロボット「カンちゃん」が入り口でお出迎え。何度か代替わりはしているけれど、カンちゃんの雰囲気は昔のまま変わりません。

リニューアルした館内はとても広々としていて、お子さん連れでものびのびと過ごせます。昔からの展示物もあれば新たに設置された展示物もありますが、どれも子供の科学的好奇心をくすぐるという点で、見ごたえが抜群です。自然の驚異を学べる地震体験コーナーは迫力満点。

「DENZAI環境科学館」ではボランティアの方が常にいて、子供たちの質問に答えたり、展示物の説明をしてくれたりしています。身近に科学を感じることのできる体験コーナーは、ビー玉を利用するなど独自の工夫と手作り感満載。室蘭青少年科学館だった時代から、ボランティアの人たちの取り組みやアイディアで盛り立ててきました。その思いはリニューアルしても引き継がれています。

また「DENZAI環境科学館」の大きな特徴として、「科学クラブ」や「ロボットサッカークラブ」の存在があります。このクラブ活動を通し、たくさんの子供たちに科学や機械工作の楽しさを伝えてきました。毎年科学技術振興作品展に出品する発明作品を制作し、多くの賞を受賞しています。


理事長の小川征一さんは、子供たちの好奇心や興味を大切に伸ばしたいと、安全に配慮しつつ旋盤や機械を惜しみなく使わせ、「発明」や「ものづくり」の喜びを教えています。


科学技術振興作品展で受賞した作品も展示。いつか未来を担う世界的な発明王が輩出されるかもしれませんね!

ハイテクでバーチャルな体験が可能。環境教育も!

「ウォッチングモルエラニ」と呼ばれるタブレットで読み取ってバーチャル体験が可能なコーナー。こちらはなんと全国初の試みだそう。室蘭市の代表的な工場やさまざまな場所を、360度のパノラマで体験することができます。

方法はこのタブレットで床の地図の体験したい場所のマークを読み取ります。するとタブレットでその場所をパノラマで見ることができます。本当にその場に立っているような臨場感にびっくり!

「DENZAI環境科学館」は、名前の通り環境にやさしい取り組みや環境教育にも力を入れ、大人も子供も楽しく科学や環境について学ぶことを目指しています。

室蘭市本町2丁⽬2-1
  1. 営業時間 : [3~10月]10:00 - 17:00
    [11~2月]10:00 - 16:00
    (入場は閉館時間の30分前まで)
  2. 住所 : 室蘭市本町2丁⽬2-1
  3. 休館日:祝祭日の翌日、月曜日、年末年始
室蘭の歴史と風土を伝え続ける郷土資料館「とんてん館」

室蘭の陣屋町にある「とんてん館」は、国指定の史跡「東蝦夷地南部藩モロラン陣屋跡」に隣接する室蘭の文化や歴史を伝える民族資料館です。大正から昭和初期にかけて地元の人たちが実際に使っていた日用品や道具が多数展示されています。

囲炉裏やランプ、大正時代のタイムレコーダー、手回し洗濯機、寸胴ストーブ、番傘に下駄。生活の歴史をしのばせる品々が所狭しと並べられ、よくぞここまで集めたなぁと、その迫力に圧倒されます。

展示室はひんやりとしていて、資料館というよりは実際の蔵を見学させてもらっているような気分に。厳しい冬のある北海道の大地に住んでいた人々の生活の歴史や風土を、まるごと感じられる貴重な体験ができます。

貴重な歴史的価値のある品がたくさん

二階は常設展示となっており、歴史的価値のある縄文時代の土器などが展示。実は室蘭は遺跡の宝庫でもあるため、多くの土器が発掘されています。

石炭や鉄鋼、室蘭の産業を支えてきた道具たち。北海道の近代化を推し進めた「鉄の町」を感じることのできるコーナーもたくさん。

とんてん館というユニークな館名は、鉄を打つ時の音「トンテンカン」と屯田兵の「とん」をかけあわせ、館(かん)の意味も含めたもの。室蘭の開拓や鉄鋼が栄えた土地だからこそのネーミング。地域の愛情を感じます。

室蘭市陣屋町2丁目4-25
  1. 営業時間 : 10:00 -16:00
    (入館は15:30まで)
  2. 住所 : 室蘭市陣屋町2丁目4-25
  3. 休館日:月曜、祝日の翌日、年末年始、資料整理のため、1月20日から3月19日まで休館

最先端の科学に触れ、地域の豊かな歴史に触れられる土地

室蘭は「鉄の町」や「港町」として栄えた歴史と由緒ある土地。最先端の科学と古い歴史が混在する室蘭は、まさに新しいものと古いもの両方の文化を肌で感じることのできる貴重な場所と言えるでしょう。

ぜひその魅力を味わいに「DENZAI環境科学館」と「とんてん館」を訪ねてみてくださいね。