札幌市では「子どもが豊かに育つまち」を目指して、「さっぽろ子ども未来プラン」を策定しています。2019年11月上旬には、来年度から始まる「第4次さっぽろ子ども未来プラン」の素案が策定され、発表されました。

それによると、働く女性が増えて母親の負担が増えている実情があり、そのため認可保育施設の定員を増やしたり、父親を対象とする子育て推進事業を拡充したり、保健センターの子育て支援機能の強化などが計画されています。

そこで今回は、「第4次さっぽろ子ども未来プラン」から見える札幌市における子育ての現状と未来像を紹介していきます。

札幌市の未来の子育て環境が見える「さっぽろ子ども未来プラン」って?

2020年度からの「さっぽろ子ども未来プラン」(第4次)、その内容は?

日本では少子化が進んでいることはご存じだと思いますが、その対策として2003年に「次世代育成支援対策推進法」が制定。全国の地方公共団体に次世代の育成を支援する対策の実施が義務づけられました。そこで札幌市が計画したのが「さっぽろ子ども未来プラン」です。

札幌市ではこのプランによって、子育てや子どもを巡る環境における問題点や課題を把握し、それに対応しているのです。ちなみに、保育定員は2010年度の17,950人から2019年度には31,147人に大幅な増加をしています。また待機児童も840人から、2018年度、2019年度ともに0人となるなど高い実績を上げているのもこの計画によるものなのです。

また、ここ数年の間に始まった事業には下記などがあります。お子さんをお持ちの方ならお聞きになったこともあるはずです。

・「子どもコーディネーター」の配置
ー 地域を巡回し、困難を抱える子どもの相談対応を実施

・「子どもアシストセンター」による「LINE相談」
ー 無料通信アプリのLINEによる相談を実施

・「こそだてインフォメーション」
ー 各区に開設し、子どもの一時預かりサービスなどの事前登録を一元的に受付

・「女性の多様な働き方支援窓口(ここシェルジュSAPPORO)」
ー 札幌エルプラザ内に開設し、就労と保育の相談を一体的に受付

なお、「さっぽろ子ども未来プラン」は4〜6年間で策定され、下記のように現在は第3次が実施されています。

  • 第1次:2004年度〜2009年度
  • 第2次:2010年度〜2014年度
  • 第3次:2015年度〜2019年度

そして次年度である2020年度からは新たな「さっぽろ子ども未来プラン」(第4次)が実行されるに当たって、現在、その計画の素案をまとめています。11月には素案が発表されていますが、その内容を見てみましょう。

札幌市が子どもを産み育てやすい環境だと思う人は50%って本当?

「札幌市は子どもを育てやすい環境ですか?」

もし「札幌市は子どもを育てやすい環境ですか?」と質問されたら、どう答えますか?

札幌市では、毎年意識調査を行っており、2018年度(発表は2019年度)は「子どもが生み育てやすい環境だと思う」と答えたのは50.9%です。約半数となり、多いか少ないかというのはそれぞれの判断ですが、実は問題なのはこの数値が年々下がっていることです。

下記の表を見てもらうと分かりますが、2013年度は60.7%だったのが、年々下がり、そして2018年度でついに50.9%となったのです。

もしかすると、今年度の意識調査では半数を下回っているかも知れませんね。

2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 目標値
60.7% 59.8% 55.9% 56.1% 54.4% 50.9% 75.0%

そこで札幌市が課題を明確にし、それに対する市民ニーズに応える取り組みを進めているのです。

それでは次の項から、どのような取り組みが行われるのか具体的に見ていきましょう。

「第二児童相談所」を開設し、児童虐待への対応を強化

「第4次さっぽろ子ども未来プラン素案」では、明確となった課題を解決するために、新たな事業を開始したり、これまで行ってきた事業を拡充するという計画が盛り込まれています。

この項では、新たに加わる新規事業について紹介しましょう。

・母子保健相談員の整備

各区保健センターに新たに母子保健相談員を設置することで、「子育て世代包括支援センター」の機能を強化。妊娠期から出産・育児までの切れ目ない支援がより適切に行われるようになります。

・子ども家庭総合支援拠点の設置

各区保健センターに「子ども家庭総合支援拠点」を設置し、相談支援体制や専門性を強化。児童虐待の発生を予防し、子どもがすこやかに育つまちづくりが進められます。

・(仮称)第二児童相談所の設置

「(仮称)第二児童相談所」を整備することで、虐待通告の際にスピーディかつ適切な対応をします。また関係機関や各区との連携も強化して相談しやすい環境が整備されます。

保育士支援事業の拡充などで子育てと仕事の両立を支援

次にこの項では、これまで行ってきた事業の中でさらに拡充される事業をいくつか紹介しましょう。

・乳幼児保護者などへの普及啓発

新たに保護者になる方を対象に、健診などの機会や子育てサロンを利用した際に、子どもの権利への理解が進むような働きかけが行われます。

・「LINE相談」の通年運用

子どもが安心して相談できるように、無料通話アプリLINEで相談できる「LINE相談」を「子どもアシストセンター」が期間限定で試行的に運営していましたが、通年での運用が始まります。

・地域型保育改修等補助事業

地域型保育事業の整備を進めるための整備費を補助。これにより低年齢児の保育定員の拡大が期待されます。

・病後児デイサービス事業

病気回復期にある集団保育が困難な小学6年生までの児童を、一時的に預かる病院などの併設施設の増設を行います。

・保育士等支援事業

保育士の復職や、求職と求人のマッチングを行う「保育士・保育所センター」では、高校生の職場体験や潜在保育士の掘り起こしなどで、保育人材の確保を行います。

・区保育・子育て支援センター(ちあふる)整備・運営事業

区における子育て支援の拠点となる区保育・子育て支援センター(ちあふる)では、中央区の整備、西区の建て替え整備が計画されています。

・子ども医療費助成の拡充

子ども医療費助成において「通院」の助成を、2021年度までに小学6年生までを新たに対象に加えることになります。

・市営交通における同伴幼児の無料人数拡大

2020年度中に、保護者一人につき無料で乗車できる幼児の人数が増やされることになります。

・「(仮称)学びの支援総合センター」事業

障がいや不登校などにより特別な支援を必要とする子どもへの、相談や支援を総合的に行う体制が整備されます。

【まとめ】

保育定員の増加とともに待機児童が0人になっているなど、札幌市の子育て環境は着実に整備されています。ただし虐待事案の発生などもあり、潜在的な課題も潜んでいそうですね。

「第4次さっぽろ子ども未来プラン」は、パブリックコメントなどによって意見を集約し、より実現可能な計画に練り直されます。この他にもさまざまな事業を行っていくようですが、「第二児童相談所」の設置といった新規事業に加え、子ども医療費助成の拡充などもあり、より子育てのしやすい環境になることに期待したいですね。

なお「第4次さっぽろ子ども未来プラン」は札幌市のホームページで確認できます。

文/監修:倉岡明宏

 

  • 「チャイルドコーチングアドバイザー」(一般財団法人日本能力開発推進協会)
  • 「スポーツ心理士」(日本メディカルスポーツトレーナー協会)の認定資格取得などの認定資格取得

札幌在住のフリーライター。現在はジュニアを対象としたスポーツメンタルトレーナーとしても活動。自身も一人娘を育てており、仕事と育児の両立に向け奮闘中。