毎年たくさんの雪が降って、ちょっとくらいの大雪には慣れっこの北海道民。

東京で雪が降って大混乱しているニュースをみると「それくらいで騒いでるの?!」なんて、ついつい思ってしまいますね。

でもそれ、「北から目線」の「雪国マウント」になっちゃってるかもしれませんよ!

道民あるある!?もしかして「雪は北海道しか降らない」と思ってない?

あなたも知らず知らずに「雪国マウント」しちゃってませんか?

■ 札幌市・赤れんが庁舎に積もった雪

毎年、イヤというほどたくさんの雪を経験している北海道民。

「東京で大雪!6cmの積雪」
「東京に大雪警報!積雪でダイヤ混乱」
「スリップで立ち往生、事故多発」

ーーというニュースをみると「え、それくらいの雪で騒いでるの?!」なんて思ったりしてませんか?

それ、道外の人からは『北から目線』の『雪国マウント』と受け取られてしまうかもしれませんよ!

雪が降るのは北海道だけじゃない!降らないのは沖縄だけ!

■ 2022年1月 大雪が降った翌日の東京駅

もしかして、「雪は北海道しか降らない」と思っていませんか?

なんとなく「雪=北国」というイメージから、雪は北海道だけ!と思ってたとしたら、それは大まちがいです。

たしかに北海道は全国でも有数の豪雪地帯ですが、本州では東北はもちろん西日本でも雪が降り積もる地域はたくさんありますし、南国のイメージが強い九州でも雪は降ります。

実は、気象庁の観測データによると、雪が降らない地域は全国でも沖縄県だけなんですよ!

全国47都道府県所在地の年間雪日数と最大積雪深

気象庁の過去の観測データより、全国の47都道府県庁所在地の年間積雪日数の平年値と年間における最深積雪の平年値をまとめ、雪日数が多い順にランキングしてみました。

ちなみに「雪日数」とは、雪やみぞれなどが観測された日数で、「最深積雪」は期間内における積雪の最大値のこと。

なお、埼玉県と滋賀県は県庁所在地に気象台がないため、それぞれ気象台がある熊谷市と彦根市の観測データで、東京都は千代田区の観測データとしています。

都道府県観測地雪日数(日)最深積雪(cm)
北海道札幌市12497
青森県青森市120101
岩手県盛岡市11136
秋田県秋田市10937
山形県山形市10651
福島県福島市8726
長野県長野市8633
石川県金沢市7432
富山県富山市7251
新潟県新潟市7032
福井県福井市6948
宮城県仙台市6616
鳥取県鳥取市5537
島根県松江市5120
滋賀県彦根市4926
京都府京都市457
山口県山口市419
奈良県奈良市343
岐阜県岐阜市3315
三重県津市274
兵庫県神戸市271
群馬県前橋市2611
和歌山県和歌山市251
栃木県宇都宮市249
岡山県岡山市241
茨城県水戸市227
広島県広島市225
佐賀県佐賀市223
山梨県甲府市1915
長崎県長崎市193
徳島県徳島市191
埼玉県熊谷市189
神奈川県横浜市187
千葉県千葉市185
熊本県熊本市181
愛媛県松山市180
大分県大分市171
福岡県福岡市162
愛知県名古屋市158
大阪府大阪市141
香川県高松市131
高知県高知市101
東京都千代田区96
鹿児島県鹿児島市53
静岡県静岡市40
宮崎県宮崎市40
沖縄県那覇市00

※全国47都道府県庁所在地(埼玉県は熊谷市、東京都は千代田区、滋賀県は彦根市)の気象庁過去の気象データの平年値(1991〜2020年)より、小数点以下四捨五入の数値

年間の雪日数ゼロは全国で「沖縄」だけ!
■ 全国の都道府県庁所在地にある気象台で雪日数がゼロなのは那覇市だけ!

気象庁の観測データによると、年間で雪が降る日数がゼロの都道府県庁所在地は、なんと沖縄県の那覇市だけ!

南国のイメージが強い九州でさえ雪は降っていて、年間で数日の雪日数があります。とはいっても、さすがに札幌のようにフワフワした雪が毎日降り続くわけではなく、ほとんどは雨に湿った雪がまじった“みぞれ”で稀に積もったとしても1〜3cmほど。

それでも、沖縄以外の都道府県では年間で少なくても数日は雪が降っているということは、北海道民には意外に感じる方も多いのではないでしょうか。

雪は降ってもほとんど積もらない東京・大阪
■ 東京・吹雪の中で走るJR山手線

東京や大阪といった本州の太平洋側にある大都市は、日本全国でみてもとても雪が少ない地域です。

大阪市では平年値で年間14日の雪日数がありますが、最深積雪の平年値はわずか1cm。東京都の雪日数は年間でわずか9日間です。

これらの地域ではほとんど雪が降ることはなく、豪雪地帯にある札幌のような都市とは異なり、雪への備えは脆弱です。

■ 雪が積もった大阪市・大阪城

人々は滑りやすい道を歩くことに慣れていませんし、スタッドレスなどの冬タイヤを装着している車も少ないです。鉄道においても、北国にあるような除雪車両の配備はなく、線路の分岐器に雪が付着したり凍結で作動しなくなることを防ぐヒーターや融雪の設備は十分ではありません。

ほとんど雪は降らないけど全く降らないこともない、という地域だからこそ、稀に雪が積もったりすると転んで怪我をしてしまったり、自動車の事故、鉄道ダイヤの乱れや運休など、さまざまな場面で混乱をきたしてしまうのですね。

それでもやっぱり札幌はめちゃくちゃ雪が多い!

■ 町中が白く染まった冬の札幌市の大通公園と中心部

雪は北国だけの特別なものではなく沖縄以外の日本全ての地域で降りますが、全国でいちばん雪日数が多いは、やっぱり北海道の札幌市です。

札幌市では例年で約6mもの降雪量があり、実は人口100万人以上の大都市でこれほど雪が降るのは世界中を探しても札幌市しかありません。

それゆえ、札幌市では雪に備えた街づくりがされていて、雪の影響を受けない地下鉄を中心とした都市交通や地下街が発達しています。市電(路面電車)やバスも、道路の除雪/排雪作業が昼夜を問わず行われているので、多少の時間遅れはあっても運休してしまうなど交通が麻痺するようなことは稀です。

■ 路面電車の線路を除雪する“ささら電車”は札幌の冬の風物詩

これほど雪が多いからこそ、雪に強い札幌市。一方で、台風はめったに来ないので、集中豪雨や暴風への備えは脆弱な一面もあります。

“北から目線”の“雪国マウント”だけでなく、雪に慣れていない地域で大雪が降った時には、思いやりの気持ちも持ちたいですね。