北海道の地図をみていたり旅行や観光でドライブをしていると、漢字の「平」が含まれる地名が多いことに気づいたことはありませんか?
北海道にはアイヌに人びとに呼ばれていた地名が語源となり、そのまま現在の地名となっていることが多く、北海道の地名の8割がアイヌ語に由来するともいわれています。
「平(ひら・びら)」がつく地名も、そのひとつなんですよ!
北海道にはなぜ「平」がつく地名が多い?その理由とアイヌ語地名について
北海道に「平」がつく市町村はいくつある?!
北海道には「平(ひら・びら)」という字が含まれる地名が多いなぁと感じたことはありませんか?
「平(ひら・びら)」の字がつく市町村は、以下のとおり道内に1市4町の計5市町もあるんですよ。
・古平(町)
・安平(町)
・小平(町)
これだけあると、偶然にしては少し多いなーと思いますよね!
もちろん、これにはちゃんと理由があって、それは北海道の地名のほとんどがアイヌ語に由来していることが関係しているんですよ。
「平(ひら・びら)」が付く地名は「ピラ」というアイヌ語に由来してる!
「平(ひら・びら)」が含まれる地名(市町村名)の語源となっているのは、“崖”を意味するアイヌ語の「ピラ」です。
この「ピラ」というアイヌ語が意味する“崖”は、崩れて土が露出し草木が生えていないような場所を示していて、日本語では“崖”とはいわないような低い場所も含まれるようです。
このような地形的な特徴がある場所でアイヌの人びとに呼ばれていた地名がそのまま日本語の地名となり、「ピラ」に漢字の「平」が当てられるようになったのが、現在の北海道で「平」がつく地名の由来になっています。
以下、北海道内にある「平(ひら・びら)」がつく全5市町について、その由来の詳細についてまとめてみました!
① 赤平(あかびら)
『赤平(あかびら)』は、北海道中部の内陸、空知地方にあるまち。
地名の語源となったのは「赤い・崖」を意味するアイヌ語の「フレ・ピラ」で、「フレ」は日本語に意訳され「赤」の漢字が当てられたのが由来とされています。
赤い崖が具体的にどこを指しているのかは不明ですが、市内を流れる空知川には川岸沿いにいくつもの崖がいまも残されています。
② 古平(ふるびら)
『古平(ふるびら)』は、積丹半島の東部にある海沿いのまち。
地名の語源となったのは「赤い・崖」を意味するアイヌ語の「フレ・ピラ」で、赤平とも共通しています。
これは、古平川の崩れ岸に由来すると考えられていますが、丸山岬あたりの地形を指すフル・ピラ(丘の・崖)が語源であるという説もあります。
③ 安平(あびら)
『安平(あびら)』は胆振地方にあるまちで、2006年(平成18年)に早来町と追分町が合併してできた比較的新しいまちです。
由来となった安平川は町内を流れる穏やかな川で大きな崖をみることはありませんが、川の流れに削られた川岸が「アラ・ピラ(片側・崖)」を指していると考えられています。
実は、早来町と追分町はかつて「安平村」というひとつの村でした。合併でできた新しい安平町は、再びこの地を流れる安平川にちなむ分村前の名前に戻ったことになります。
④ 平取(びらとり)
『平取(びらとり)』は日高地方にあるまちで、いまなおアイヌ文化が色濃く残る地域として知られています。
語源となったのは「ピラ・ウトウル(崖の・間)」で、この谷間を流れているのが沙流川です。
平取町内には、「小平(こびら)弓・ある・崖の意」や「額平(ぬかびら)人の・姿の・崖の意」というピラ(崖)に由来する地名や河川名も残されています。
⑤ 小平(おびら)
『小平(おびら)』は、留萌地方にある日本海沿いのまち。
語源となった「オ・ピラ・ウシ・ペッ(川尻に・崖・ある・川)」の川とは町内を流れる小平蘂川のこと。
小平蘂川の川尻にはインガルシ(眺める・いつもする・所、見晴のよいところ)という山が突き出していて、その下が崖になっているのでこの名がついたと考えられています。
札幌市内にも「ピラ」に由来する地名がある!
市町村名以外でも「ピラ=崖」に由来する地名は数多くあって、札幌市内にも存在しています。
例えば、区名にもなっている『豊平(とよひら)』は、“崩れた・崖”を意味するアイヌ語の「トウイエ・ピラ」が語源になっていて、屈曲した豊平川が大水の時に川岸を削って小崖を作っていた所があったのが由来とされています。
また、豊平区にある『平岸(ひらぎし)』は、“崖の・端”を意味する「ピラ・ケシ」からきていて、平岸のあたりの高台が切れている精進川沿いの崖を指しているといわれています。
『平岸』という地名は札幌以外にもあって、赤平市の『平岸』も同じ意味のアイヌ語が語源になっているといわれています。
身近な地名の由来を調べてみると、新しい発見があって面白いですね!