美唄の高速インターチェンジを下りて5分ほど。

廃校になった小学校をギャラリーにリノベーション、広い園内にはきっと見たことがある、あの作品も!?

敷地内にはゆったりとした時間を過ごせるスペースのカフェもあって、ドライブやお出かけにもおすすめのアートパーク、アルテピアッツァ美唄に行ってみました。

美唄市出身の世界的彫刻家・安田侃の作品が展示される野外美術館と廃校をリノベーションしたアートスペース&ギャラリー

札幌市民ならきっと見覚えがある、あの彫刻作品が!

ここアルテピアッツァ美唄は、美唄市出身の世界的彫刻家・・安田侃の作品が展示される野外美術館と廃校をリノベーションしたアートスペース&ギャラリーです。

駐車場から園内に入っていくと、すぐに見覚えのあるモニュメントが見えてきます。

分かりますか?!

■「妙夢」/ 安田侃作 どこかで見覚えがありませんか?

そう、JR札幌駅の西コンコース、ステラプレイスと大丸の間で、よく待ち合わせ場所にも利用されているあのモニュメント!

札幌駅のものは白ですが、こちらにあるのは黒。

これは、安田侃のによる「妙夢」という作品で、ここアルテピアッツァには他にもギャラリーや音の広場にも同名の作品があります。

北海道ではここにあるものと札幌駅の他、北海道知事公館にもあります。

様々な作品が置かれていますが、そのどれもが緑の借景に違和感なく溶け込み、それぞれの作品が共鳴し合うかのように静かに存在感を放っています。

札幌駅にある作品も「妙夢」をはじめ、他の作品も子供達の遊び場になっていたり、人が腰かけたり、もたれかかったりする様子をよく見かけます。

それが安田侃の魅力ではないでしょうか。

札幌・街ナカアートを再発見する。

敷地内にはゆったりとしたスペースのカフェも

真っ白な大理石の玉石が敷き詰められた水盤にと水路がある「水の広場」を超えて緩やかな坂を登っていくと、「音の広場」の手前に建物があります。

ここが「カフェアルテ」

■「水の広場」を超えた先にある「カフェアルテ」で美味しいコーヒーを飲んでゆったりとした時間を。

中に入ると、高い天井と控えめな照明の落ち着いた空間にコーヒーのいい香りが立ち込めています。大きく開かれた窓からは音の広場の全景が見渡せます。

■手作りベーコンと季節野菜の酢漬けパニーノ、気持ちがいい季節の天気が良い日はテラス席もおすすめ。

窓際のカウンター席では、広場に点在する作品を眺めながら、ゆっくりとした時間が過ごせそう。

気持ちのいい季節にはテラス席もおすすめ。コーヒーはテイクアウトもOK

リノベーションされた校舎はギャラリーに。

旧栄小学校の校舎は、リノベーションされギャラリーになっています。入館は無料(任意で寄付を募っています)、階段を登り2階に入ると古い木造建築の匂いが。インフォメーションとグッズ販売がされているミュージアムショップがあります。

解放された教室は懐かしい空間、大小の作品が並びます。窓際のチェアでは腰を下ろしくつろいだり読書をする人の姿も。開館は9:00〜17:00まで。火曜、祝日の翌日、年末年始が休館日です。

向かいにある旧栄小学校体育館はアートスペースとして、同様に解放されていますのでぜひ立ち寄ってみて。

安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァについて

美唄の街の中心部からもほど近く、道央自動車道の美唄ICを下りて東方面の山へ向かうように車を走らせると5分ほどで見えてくるのが、安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄。

美唄はかつて炭鉱で盛えた街です。良質な石炭の産地としてかつて日本最大の炭田であった石狩炭田のひとつに数えられる美唄炭鉱があり、1940年代から50年代にピークを迎えました。

安田侃は、その頃の1945年に美唄市で生誕しました。地元の高校を卒業し北海道教育大学岩見沢分校に進学、東京芸術大学大学院彫刻科を修了、1970年には彫刻の才能を認められイタリア政府による国費留学生として25歳でローマに渡ります。

一方、美唄は国の政策の転換により、エネルギー需要が石炭から石油へ変化していく中、大きな転換期を迎えます。

1963年に三井美唄炭鉱が閉山、72年には三菱美唄炭鉱も60年の歴史に幕を降ろし、多くの労働者とその家族が美唄を離れました。73年に市内のすべての坑口が閉じると翌74年にはピーク時10万人に迫る人口がついに4万を割り込みました。

■旧三菱美唄炭鉱施設、現在は炭鉱メモリアル森林公園としてその記憶を残している。

安田侃と美唄が再び繋がるのは80年。なにもなくなってしまった炭鉱の地に、かつて多くの人が働き多くの人の生活があったこと、いまでも多くの炭鉱事故の犠牲者が山に眠っていること、その記憶・思いを残すためのモニュメントの制作依頼が、若き日の安田侃にあったのです。

安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァは、炭鉱近くにあり81年に廃校になった旧栄小学校の体育館をアートスペースへ改修したのがはじまりで、少しずつ野外スペースが整備され展示作品が増え、現在の姿があります。そしてこれからも、ゆっくり時間をかけて育っていく、そんな美術館でもあります。