旅をテーマにした小説を読むと、その土地に興味や親近感を持ったり、実際に行ってみたくなることがありますよね。

この記事では、北海道が舞台となっていて、読めばきっと北海道に旅に出たくなる小説を厳選してご紹介したいと思います!

北海道が舞台!読めばきっと旅に出たくなる小説集めてみました!

北海道旅のバイブル!おすすめのロードノベル4選

小説の題材やその舞台となることが多い北海道。

特に、実在する北海道の地名が登場したり、北海道の美しい風景が描写されていて旅情あふれるロードノベルは、小説を通して北海道の旅を追体験できたり、実際に北海道へ旅に出たくなるものもたくさんあります。

今回は、その中でも比較的最近(平成以降)の北海道を舞台としたロードノベルの中から、おすすめの4作品をセレクトしてみました!

① さいはての彼女/原田マハ(著)

参照:アマゾン|さいはての彼女(角川文庫)原田マハ

25歳で起業した敏腕若手女性社長の鈴木涼香。猛烈に頑張ったおかげで会社は順調に成長したものの結婚とは縁遠く、絶大な信頼を寄せていた秘書の高見沢さえも会社を去るという。失意のまま出かけた一人旅のチケットは行き先違いで、沖縄で優雅なヴァカンスと決め込んだつもりが、なぜか女満別!?だが、予想外の出逢いが、こわばった涼香の心をほぐしていく。人は何度でも立ち上がれる。再生をテーマにした、珠玉の短篇集。

まず1冊目におすすめしたいのが北海道・知床を舞台とした表題作「さいはての彼女」のほか3編を含む原田マハさんの短編集。

表題作は、心がこわばってしまい周りに当たり散らすようになってしまった敏腕女性社長・涼香が、ひょんなことから訪れた北海道でハーレー乗りの女の子・凪と出会い、バイクでタンデムしながら感じる北海道の風、景色、美味しい食事、人々との交流の中で心をほぐしていく爽やかな物語。

著者の原田マハさんといえばアートを題材としたベストセラー作家というイメージが強いですが、この短編集はいずれも“旅”と“再生”がテーマになっています。全編を通してテンポがよく読後も満足度が高いおすすめの1冊です。

収録されている表題作を別視点で書かれた「風を止めないで」も必読です!

この小説に登場する北海道のスポットは?
大空町(女満別空港)、網走市、小清水町、斜里町、羅臼町(知床横断道路、相泊温泉)
② いつかこの失恋を、幸せにかえるために/中村航(著)

参照:アマゾン|いつかこの失恋を、幸せにかえるために(角川文庫)中村 航

就活苦戦中の大学生・なつきは、社会人の彼氏・亮平との将来を夢見ながら北海道旅行を計画、楽しい夏休みになるはずだった。でも待ち合わせ場所に彼は来ず、スマホには「別れよう」のメッセージが……! 皮肉にもそこは「幸福駅」。突然の失恋に呆然とするなつきは、母を喪った不思議な父子と遭遇、一緒に旅をすることになった。帯広から襟裳岬、釧路へ――喪失を抱えたなつきと父子が旅の果てで見たものとは?

「いつかこの失恋を、幸せにかえるために」は、小説アプリで掲載されていた「#失恋したて」が文庫化にあたって改題された北海道が舞台のロードノベル。

著者の中村航さんといえば、映画化・アニメ化された作品も多い人気作家さん。

作中、大学生のなつきが楽しみにしていた北海道旅行で彼との待ち合わせ場所として登場する幸福駅は恋人の聖地として人気の観光スポット。不思議な父子との旅で登場するたくさんの場所も全て実在のものです。

北海道の景色と食事、出会いで失恋の傷が癒えてゆく物語。北海道への傷心旅行には現代のバイブルといえる1冊ではないでしょうか!?

この小説に登場する北海道のスポットは?
帯広市(とかち帯広空港、幸福交通公園、屋台村、六花亭帯広本店)、えりも町(襟裳岬、風の館)、釧路市(阿寒国際ツルセンター、阿寒湖、アイヌコタン)、足寄町(ラワンブキ鑑賞ほ場、オンネトー、野中温泉)、北見市(常呂町、常呂森林公園、ホタテタワー、道道442号サロマ湖公園線)

③ 旅のおわりは/吉村 龍一(著)

参照:アマゾン|旅のおわりは(集英社文庫)吉村 龍一

何もかもがいやになった俺は、家を捨て北海道へ旅立った。旅で出会った大人たちは、誰もが何かを抱えて生きていた。少年の大人への旅路を描く、注目新人の書き下ろし青春ロードノベル。

16歳の少年・徹平が夜行列車に乗られて降り立つ無人駅。具体的な駅名は示されていませんが、十勝でビート栽培が盛んな描写から、池田町にある根室本線の利別駅でしょうか。

少年がひとり旅で出会うのは、それぞれに打ち明けづらい過去を持った大人たち。

違和感のないリアルな北海道弁で綴られていく大人たちとの交流を通して少年が大人になっていく様を描く青春ロードノベルです。

若い時の北海道ひとり旅は、きっと自分をひと回り成長させてくれる経験になるだろうと思わせてくれる1冊です!

この小説に登場する北海道のスポットは?
置戸町、紋別市(原生花園)、礼文町(礼文島)
④ 物語のおわり/湊 かなえ(著)

参照:アマゾン|物語のおわり(朝日文庫)湊 かなえ

妊娠三ヶ月で癌が発覚した智子、父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする拓真、志望した会社に内定が決まったが自信の持てない綾子、娘のアメリカ行きを反対する水木、仕事一筋に証券会社で働いてきたあかね……

人生の岐路に立ったとき、彼らは北海道へひとり旅をする。そんな旅の途中で手渡された紙の束、それは「空の彼方」という結末の書かれていない小説だった。果たして本当の結末とは――。あなたの「今」を動かす、力強い物語。

最後にご紹介する「物語のおわり」は北海道が舞台のロードノベルでいちばんのおすすめ!

人生の岐路に立ち、北海道への旅にきた人たちの手に渡っていく”空の彼方”と題された手記のような私小説。その書かれていない結末が最終章で明らかになる8編の連作短編小説です。

湊かなえさんらしくミステリー要素もありながら、美しい文体で描写される北海道の風景、そして明日への一歩を踏み出そうという前向きさで読後感はとても爽やか!

これほど広範囲に北海道を舞台とする小説も珍しく、道内の主要な観光スポットがほぼ網羅されていて、まさに北海道ひとり旅のバイブルです。

この小説に登場する北海道のスポットは?
小樽市(小樽フェリーターミナル)、上富良野町(日の出公園ラベンダー園、深山峠)、美瑛町(拓真館、パッチワークの路)、旭川市(三浦綾子記念文学館、外国樹種見本林)、弟子屈町(摩周湖、裏摩周展望台)、清里町(神の子池)、網走市(網走監獄)、洞爺湖町(洞爺湖、洞爺湖温泉、ザ・ウィンザーホテル洞爺)、札幌市(北海道大学)、羅臼町(知床)、根室市(納沙布岬)

 

北海道が舞台!湊かなえ「物語のおわり」あらすじ&聖地巡礼<前編>