札幌は全国的にみても雨が少ない都市。

梅雨はなく台風が接近するのも年2回程度で多くはありませんが、近年では蝦夷梅雨と呼ばれる長雨や、低気圧の影響で大雨になる日も多くなりました。

全国各地で発生している豪雨災害は、札幌でも起きるがあるのでしょうか?

札幌の大雨の記録と豊平川氾濫の歴史

雨が少ない町・札幌

■札幌は日本の主要都市でもっとも年間降水量が少ない町

札幌の1年間の降水量は、例年1,106mmほど。

これは、気象庁の過去の観測データによる平年値で、札幌の降水量は全国の他主要都市と比較すると最も少ないことがわかります。

主な都市の年間降水量(平年値)

札幌:1,106.5mm
——
<参考>
福岡:1,612.3mm
広島:1,537.6mm
東京:1,529.7mm
大阪:1,270.0mm
仙台:1,254.1mm

札幌で豪雨災害が発生することはある?

■2014年9月11日に観測された大雨で増水流する豊平川、幌平橋付近の様子

近年、日本各地で異常気象に伴う豪雨やそれによる災害が多発しています。

大河川での氾濫が相次ぎ84名もの方が犠牲になった2020年の「令和2年7月豪雨(熊本豪雨)」は記憶に新しいですね。

このような豪雨災害は、札幌でも起こりうるのでしょうか?

北海道初の大雨特別警報が発令「9.11豪雨」

札幌でも大雨による被害が実際に発生しています。

2014年9月11日には北海道上空にある動きの遅い低気圧が活発的な積乱雲を形成し、“数十年に一度”といわれる大雨を降らせました。

石狩地方全域と空知・胆振地方の一部の35市町村では道内初の「大雨特別警報」が発令され、札幌市では78万1千人に避難勧告が出されました。

床上浸水や河川の氾濫、道路の崩落も

この日の札幌では南部から東部にかけて特に雨が強く、南区・滝野では24時間雨量が245mm、1時間最大雨量は71.0m(3:30〜4:30)にもなりました。

幸い人的被害はありませんでしたが、住宅の一部損壊や床上浸水があった他、市内いたるところで道路の冠水、白石区では厚別川が氾濫し、清田区では増水した川により道道の一部が崩落するなどの被害がありました。

のちに札幌市は「札幌市9.11豪雨対応検証報告書」として当時の被害状況などをまとめています。

※「札幌市9.11豪雨対応検証報告書」より札幌市設置地上雨量計の観測値(参考値)

豊平川が氾濫するとどうなる?!市街の浸水被害は?

■2011月9月6日にも台風から変わった温帯低気圧の影響で記録的な大雨が降り、豊平川では河川敷まで浸水しました

もし、札幌で想定しうる最大雨量の雨が降った場合、広範囲にわたって甚大な被害が及ぶと考えられているのが「豊平川の洪水・氾濫」です。

日本有数の急流「豊平川」

札幌の市街を流れ、水道水の98%を賄う『豊平川』は、市民にとって馴染み深い「母なる川」です。

一方で、札幌ほどの大都市に流れる川としては他に例を見ないほど急流な「暴れ川」としても知られています。

上流の南区・小金湯温泉付近と幌平橋の20kmの区間は高低差が147メートルもあり、これは「さっぽろテレビ塔」の高さとほぼ同じです。

豊平川が氾濫すると市内広範で浸水!

豊平川に降ると想定される最大雨量は上流部で431mm/72時間、下流部では406mm/72時間です。

もしこの時に豊平川の堤防が決壊し、氾濫を起こしたと仮定すると、札幌市内はその扇状地形に沿って広い範囲で浸水します。

札幌市が作成したハザードマップによると「すすきの交差点」や「札幌駅前」では40〜50cm、さらに「モエレ沼公園」や「地下鉄麻生駅・JR新琴似」まで浸水が到達すると予想されています。

ハザードマップを確認し日頃から備えを

■お住まいの地域のハザードマップを確信し、いざというときに備えましょう

ひとたび氾濫が起きると、札幌の広い範囲で浸水被害を及ぼす豊平川。札幌市内には他にも琴似発寒川などの新川水系、星置川水系など多くの川が流れています。

居住地のハザードマップを確認し、いざというときのために、浸水が想定されるエリアや避難場所、避難方法を確認しておきましょう!