「ガスってる」とか「モヤってる」という言葉を、会話の中で聞いたり使ったことはありませんか?

北海道には霧がよく発生する地域があって、そこに住んでいる方はもちろん、旅行中にそれまで経験したことがないような霧に出会ってびっくりすることもありますね。

北海道で霧が多いまちや地域とその理由について、まとめてみました!

北海道の「霧が多いまち」ランキング!

「ガスってる」北海道で霧が多い街はどこ?

■ 北海道で霧が多いのはどこ?主要都市の霧日数ランキングまとめてみました!

霧(きり)とは、気象用語で大気中の水蒸気が微小な水滴となって浮遊し、はっきりと見通せる距離(視程)が1km未満の状態のこと。

よく似た言葉で靄(もや)というのもありますが、こちらは視程が1km以上10km未満の状態のことで、現象としては霧と同じものです。

広い北海道では地域によって気象条件が大きく異なり、霧が多い地域があれば、ほとんどないという地域もありますね。

では、北海道でいちばん霧が多いのはどこの街なのでしょうか?

北海道主要都市の年間霧日数ランキング!

気象庁の観測データの平年値より、北海道の主要都市を年間の霧日数が多い順にランキングしてみました!

都市名年間の霧日数(日)
1.釧路96.9
2.帯広50.6
3.室蘭36.7
4.旭川22.4
5.網走21.0
6.稚内11.8
7.函館6.9
8.札幌1.8
(参考)富士山209.1
軽井沢154.7

※気象庁過去の気象データ北海道主要都市の年間霧日数の平年値(1991〜2020年)より

1位は日本のロンドンと呼ばれる「釧路市」
■ 北海道でいちばん霧が多いのは釧路市

北海道で霧が多い街といえば、釧路市。

なんと、釧路市では年間の霧日数が96.9日にもなり、6月〜8月には月の半分くらいが霧で包まれます。同じく霧が多い街として知られるイギリスのロンドンにちなんで“日本のロンドン”とも呼ばれています。

これほど夏の釧路で霧が発生するのは、北極圏から流れてくる寒流の親潮と、暖かい空気を運ぶ南風を生み出す太平洋高気圧が関係しています。

太平洋上の暖かく湿った空気が釧路沿岸の寒流によって冷やされることで水蒸気が発生し、風にのって海から流れてくる霧が背後にある山地によって滞留しやすいことが、釧路に霧が多い理由になっています。

意外と霧が多い「十勝・帯広」
■ 意外と霧が多い十勝・帯広

十勝平野といえば、青く澄んだ空を思い浮かべる方が多いと思いますが、意外と霧が発生しやすい地域でもあります。

帯広市にある帯広測候所での観測によると、年間の霧日数は50.6日になり、6月〜8月には月の霧日数が8日を超えます。

この地域で霧が多いのは釧路と同じ理由によるものですが、帯広は海から50Kmほど離れているので釧路よりは少なめです。十勝平野でも海沿いにある広尾町では年間の霧日数は67.9日になり、やはり夏の太平洋側のまちは霧が多く発生するのがわかります。

「札幌」で霞んでみえるときは黄砂?
■ 霧が少ない札幌、霞んでる時は黄砂かも?

北海道の主要都市の中でも、群を抜いて霧が少ないのが札幌市です。年間の霧日数はわずか1.8日となっているように、霧が発生することはかなり稀です。

それでも、近年は札幌でも春先の晴れている日に近隣の山々が霞んでみえるようなことがありますが、それは霧ではなく“黄砂”かもしれません。

黄砂とは中国大陸にある砂漠で、風によって巻き上げられた砂が偏西風にのって日本に飛来する現象のこと。札幌では2021年3月と5月、2018年3月、2017年と2015年には5月のゴールデンウィークの時期で黄砂の観測がありました。

北海道名物!「霧の摩周湖」と「トマムの雲海」
■ 占冠村トマムの雲海の様子

北海道には、霧で人気になっている観光スポットもあります。

北海道東部にある「摩周湖」は、“霧の摩周湖”としても知られる北海道の人気観光スポットです。

「晴れた摩周湖を見ると婚期が遅れる」というジンクスがあるほど霧が発生しやすい摩周湖ですが、実際には晴れていることも多く、霧で覆われた幻想的な風景をみることができればむしろラッキーかもしれません。

また、霧によく似た現象の雲海が人気になっているのが、占冠村のトマムです。

ここの盆地状の地形には、十勝平野で発生して日高山脈を超えて流れてきた霧や放射冷却で発生した霧が滞留し、山頂付近に設置された“雲海テラス”は霧が雲海として眼下に広がる絶景をみることができて人気になっています。

日本でいちばん霧が多いのはどこ?

■ 日本でいちばん霧が観測されているのは富士山!

北海道の霧が多いまちや地域をみてきましたが、日本全国でみるとさらに霧が多い場所があります。

日本で年間の霧日数がもっとも多いのは「富士山」で、年間の半分以上が霧に包まれます。ただし、これは富士山の山頂に山霧や雲がかかった状態も含まれているので、当たり前といえば当たり前ですね。

その他の地域でいえば、霧の観測がもっとも多いのは「軽井沢」で、平年で年間154.7日も霧が発生しています。