大通公園の西端に面する西13丁目にある札幌市資料館(旧札幌控訴院)。
現在では控訴院時代の法廷を復元した刑事法廷展示室が公開されていたり、アート作品を発表するギャラリーとして市民に親しまれています。
2020年には国の重要文化財に指定され、観光スポットとしても注目されているんですよ!
街の歴史を伝えアートギャラリーとしても親しまれる札幌市資料館
ルネサンス様式の威厳を感じさせる札幌軟石の現存最大級の建造物
札幌市資料館は、大正15年(1926年)に「札幌控訴院」として建てられました。
昭和21年(1946年)に日本国憲法が交付されると翌年からは札幌高等裁判所となり、昭和48年(1973年)に現在の場所に移転するまで、ここで実際に刑事裁判が行われていました。
全国8ヶ所※に設置された控訴院ですが、現存するのはこの旧札幌控訴院と旧名古屋控訴院の2ヶ所のみです。
外壁に使用された札幌軟石の装飾とルネサンス様式の威厳ある佇まいが印象的で、札幌軟石が使用された現存する建造物としては最大級のものとして、2018年に札幌市有形文化財に、2020年に国の重要文化財に指定されています。
※札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、長崎
札幌市資料館(旧札幌控訴院)概要
- 営業時間 : 9:00 - 19:00
- 住所 : 札幌市中央区大通西13丁目
- TEL : 011-251-0731
- 入館料:無料
アクセス方法は?
札幌市資料館(旧札幌控訴院)へのアクセスは公共交通機関の利用が便利!
- 地下鉄東西線「西11丁目駅」1番出口から徒歩4分
- 市電「中央区役所前」もしくは「西15丁目」から徒歩5分
駐車場はありませんので、車の場合は近隣のコインパークを利用しましょう。
暖かい季節の観光なら大通公園をゆっくり散策しながら向かうのもおすすめです。
その場合は「さっぽろテレビ塔」から1.6km、20分ほどですが、大通公園の見どころをゆっくりみて回るならもう少し時間の余裕があると良いですね。
大正モダニズムと札幌の発展を伝える歴史建造物
札幌市資料館は、大正期の札幌の発展をいまに伝えてくれる歴史的価値の高い建造物です。
同じく重要文化財に指定され観光スポットとしても人気の“赤れんが庁舎”や“時計台”と比べると目立たない存在ですが、重厚感がある佇まいや随所にちりばめられた大正モダニズムの息吹など、創建当時の意匠が良好な状態で保存されていて見どころ盛りだくさん。
訪れた際にぜひチェックしたい鑑賞のポイントについて、まとめてみました!
⑴ ルネサンス様式の威厳ある佇まいと札幌軟石
端正で威厳ある佇まいが印象的な旧札幌控訴院。
水平線が強調されたシンメトリー(左右対称)のルネサンス様式を基調にした建物で、外壁には札幌軟石が使われています。
札幌軟石とは市内の南区で産出する凝灰岩の石材で、開拓時代から建造資材として広く使われていました。
旧札幌控訴院は、現存する札幌軟石を使った建造物では最大級のものです。
一見すると石造のように見えますが、内側にはレンガが積み上げた組積造で、2階の床や支持柱などには鉄筋コンクリートが使用されているなど、新旧の構造技術が取り入れられているのが特徴です。
⑵ 札幌控訴院の文字意匠とテミス像のレリーフ
正面玄関がある車寄せに、右→左で「院訴控幌札」の文字が彫られています。この丸みを帯びた意匠は、当時としてとても画期的なものでした。
その上部には「法の女神テミス」が目隠しをした姿で掘られたレリーフを見つけることができます。
これは、“私情をはさまず心の目で心の目で真実を見ること、貧富の差や権力にとらわれない法の下の平等”を表していると言われています。さらに、その両脇には「秤と剣」のモチーフが刻まれ、控訴院としての威厳を感じさせます。
2階部分には“真実をくもりなく映し、裁判の公正を表す”とされ、現在でも裁判官のバッジにもなっている「八咫の鏡」のモチーフも見つけることができます。
⑶ 随所に散りばめられた大正モダニズム
まるでタイムスリップしたかのような錯覚を覚える館内。
正面玄関を入ってすぐの正面に、緩やかな曲線の回り階段とステンドグラス、そして2本の円柱があり、いずれも大正モダニズムの息吹を今に伝えています。
階段を登ったところにある2階の大通交流ギャラリー(旧応接室)は展望室として開放されていて、ここからは大通公園からテレビ塔までを見通すことができます。
ここからは四季折々の大通公園を眺めることができて、大通西12丁目のサンクガーデンのバラが咲く季節や、イルミネーションの時期など、テレビ塔方面から見るのとは一味違った景色が楽しめるとっておきの隠れスポットです!
他にもまだある!札幌の重要文化財について
2020年に重要文化財に指定された「旧札幌控訴院」を含め、札幌市にはこれまでに以下の8件の歴史歴建造物が重要文化財に指定されているます。
- 八窓庵
- 豊平館
- 北海道大学農学部 第2農場
- 北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)
- 旧札幌農学校演武場(札幌市時計台)
- 北海道大学農学部植物園・博物館
- 旧開拓使工業局庁舎
- 旧札幌控訴院
※指定順
「時計台」や「赤れんが庁舎(北海道庁旧本庁舎)」は観光スポットとしても人気で、札幌を代表するシンボルになっていますね!
他にも、旧札幌農学校にゆかりがあるものとして「北海道大学農学部 第2農場」や「北海道大学農学部植物園・博物館」、開拓使関連では「豊平館」や「旧開拓使工業局庁舎」があり、これらはいずれも明治期に建てられたものです。
ひときわ古い歴史があるのが「八窓庵」で、正確な建築年は不明ですが安土桃山時代から江戸時代前期にかけての大名茶人・小堀遠州の作といわれる茶室です。
中心部にあるものが多いので、レトロ建築めぐりを楽しんでみるのもおすすめですよ!