公園が多く、街路樹もたくさん植えられ、緑豊かな美しい街並みの札幌。

その中でもよく見かけるのが、白い花が咲いたり赤い実をつけたりするものですが、何という木か知っていますか?

札幌の街路樹についてもっと知ると、季節の移り変わりを豊かに感じることができるようになりますよ。

札幌に植えられているよく見かける街路樹って何の木?

20万本もの街路樹がある緑豊かな街・札幌

大自然に恵まれた北海道といえども、都会の札幌では自然に触れ合う機会は、そう多くありません。

もっとも身近な緑といえば、道路に植えられた街路樹や公園の木々ですね。

札幌市内には、およそ20万本もの街路樹が植えられていて、その種類は50種を超えます。

春の芽吹く季節から日に日に緑が濃くなる夏、鮮やかに色づく秋、そしてイルミネーションでそう書屋される冬へと札幌の四季を彩る札幌の街路樹や公園樹について、まとめてみました!

白い花が咲く「ニセアカシア」
■甘い香りが特徴のニセアカシアの花は札幌の初夏の象徴ですね

初夏に白い花をつけ甘い香りを漂わせる街路樹は「ニセアカシア」という木です。

北米原産の落葉高木で、和名はハリエンジュと言います。

ニセアカシアの“ニセ”とは本来のアカシアと区別するためですが、札幌で単にアカシアといえばニセアカシアを指すほど、札幌では馴染み深い木です。

札幌では古くから街路樹として植えられ、毎年6月中~下旬に咲く可憐な白い花とその甘い香りは札幌の初夏の象徴で、石原裕次郎さんの“恋の町札幌”をはじめ多くの歌の歌詞にもよく登場します。

かつては札幌でもっとも多い街路樹でしたが、近年では生長が早く毎年の剪定が必要で維持管理の費用がかかるため、徐々に他の樹種への植え替えが進められています。

現在では、中央区や中心部に近い北区や東区の他、豊平区の白石藻岩通、白石区の南郷通の中央分離帯や南7条・米里通りでもよく見かけます。

赤い実をつける「ナナカマド」
■赤い実とつけるナナカマドは札幌でいちばん多い街路樹として知られています

秋になると赤い実をつける街路樹は「ナナカマド」という木です。

バラ科の落葉高木で、標高の高い山地帯に自生する木ですが、北海道では街路樹として親しまれていて、札幌ではもっとも多く植えられている街路樹です。

ナナカマドの名の由来は諸説ありますが、七度かまど(竈)に入れても燃え残る、ということから付けられたと言われています。

秋につけた赤い実に雪が積もった冬に情景は、北国・札幌ならではの情景です。

西区のJRの高架沿いの道や、豊平区から白石区にかけての環状通、白石区の平和通、清田区の厚別滝野公園通など市内のいたるところで見ることができます。

季節のめぐりを感じる札幌の街路樹

四季がはっきりしていると言われる札幌ですが、忙しい日常に追われていると気づけば季節が変わっている、なんてことも多いですよね。

そんな時でも、普段何気なく通り過ぎている道の街路樹に目を向けてみると、札幌の季節のめぐりを豊かに感じることができますよ。

■中島公園内の豊平館近くにある桜

雪どけをむかえた春、4月下旬〜5月上旬ごろに桜が咲き始めます。

札幌では公園樹だけでなく、街路樹としてもエゾヤマザクラをはじめ、八重咲きのオオシマザクラなどのサクラ類が約9,000本も植えられています。

また、シラカバ(白樺・シラカンバ)の花が咲くのも同じ時期です。白い樹皮の立ち姿が美しいこの木は、街路樹としてもよく目にしますね。

■大通公園には約400本のライラックの木が植えられています

夏の札幌は、たくさんの花が咲き、日に日に濃くなる緑を楽しむことができる季節です。

6月上旬、ポプラの綿毛が飛びライラックの花が咲き始めると、札幌に夏の訪れを感じさせてくれます。

ポプラといえば北大のポプラ並木が有名ですが、市中にはいたるところに街路樹として植えられていて、中島公園はポプラの綿毛で一面が覆い尽くされ、まるで冬に戻ったように真っ白に染まります。

またライラックは“札幌の木”として、白や紫色の花は札幌の初夏を彩る象徴ですね。

6月中~下旬にはニセアカシアやナナカマドの白い花が咲き、街は甘い香りに包まれるようになります。

いよいよ気温が高まってくると、ハシドイの花が満開になります。

ハシドイはライラック(ムラサキハシドイ)の仲間ですが、10m以上の高木となり花の時期も少し遅い7月上〜中旬ごろといった違いがあります。

■すすきのを流れる鴨々川周辺の紅葉する街路樹

やがて昼夜の気温差が大きくなる10月中旬以降、街路樹の葉はだんだとに色づいていきます。

秋の黄葉が美しいイチョウは、札幌で2番目に多く植えられている街路樹で、赤れんが庁舎前のイチョウ並木はあまりにも有名ですね。

また、紅葉と言えばカエデ類ですが、札幌の街路樹ではヤマモミジやハウチワカエデなどが10月下旬ごろから色づきます。

■冬に葉を落とした街路樹はイルミネーションで彩られます

11月になると葉は落ち、少し寂しい季節になります。

ナナカマドの秋につけた赤い実は冬遅くまで残り、真っ白な雪との美しいコントラストは雪国ならではの光景です。

また、冬は札幌の街路樹はイルミネーションで彩られる季節ですね。

11月下旬から始まるさっぽろイルミネーションでは例年、駅前通の中央分離帯に植えられている街路樹が2月上旬まで、赤れんが庁舎前のイチョウ並木と南1条通の街路樹は3月中旬まで開催されています。

そして、雪どけの季節をむかえた札幌はふたたび春を迎えます。