札幌で、いちばん有名な観光名所でありながら「日本三大がっかり名所」なんて不名誉な言われ方もする「札幌市時計台」
実際に行ってみたら、ホントにがっかりする?
市民から愛される札幌のシンボル・時計台。ホントは魅力たっぷりの時計台について、地元・札幌からお伝えします!
北海道・札幌を代表する観光名所「札幌市時計台」
札幌へ来たら必ず訪れたい観光名所のひとつ
北海道の観光パンフレットや観光雑誌、ガイドブックでも、度々その表紙を飾る「札幌時計台」
街の中心部にあることから、札幌へ観光に来た多くの方が必ずと行っていいほど立ち寄る北海道を代表する観光名所のひとつで、札幌でもっとも有名な観光スポットでもあります。
日本三大がっかり名所?
そんな札幌時計台は、高知県の播磨屋橋(はりまやばし)、長崎県のオランダ坂(※諸説あり)と並び「日本3大がっかり名所」という、残念な評価もあるようですが…
札幌市民にとっては誇り高い、街の象徴。
なぜ、時計台はそんな不名誉な言われ方をされてしまうのでしょうか?
そして観光で来た方は、本当にがっかりしてしまうのでしょうか?
時計台が「がっかり」してしまう3つの理由
その1. 時計台は広大な自然の中にあると思った!
時計台に”がっかり“してしまう方の多くが、「時計台は北海道の大自然の中にあると思ってた!」というもの。
たしかに、観光写真やパンフレット・雑誌の表紙にある時計台は、牧歌的な風景の青い空の下、ポツンと存在しているような写真の撮られ方をしていますが、実際には、札幌の中心部のビルに囲まれて存在します。
このイメージと現実のギャップに、がっかりしてしまう方が多いようですね。
その2. 外観を見るだけで、中は見ていない!
時計台に訪れた方は皆さん、写真を撮るのに夢中。
よりイメージに近い時計台の姿を収めようと、いろいろな角度から試行錯誤(笑)をしながらスマホのカメラを向けています。
しかし、時計台の内部まで見学してくれる方はごく一部。
観覧料が200円かかるので、「まぁ、見なくていいか」と思われるのも理解できるのですが、ここはぜひ見学して欲しいところ。
1階は資料館として整備されており、札幌の街の成り立ちと時計台の由来、北海道開拓の歴史が学べる展示がされていますよ。
その3. 行ってみたら改修中で見れなかった!
時計台に行ってみたら、時計台の絵が描かれた布で覆われていた…
そう、時計台は2018年6月1日〜10月31日には時計台の塗装改修工事が行われていました。
これは20年振りの改修工事で、前回は2015年から2019年まで、実に4年間もの長い間、耐震改修の工事がされていました。
その間に札幌に来た方は時計台の姿を見ることが叶わなかったはず。がっかりしてしまうのも頷けます。
もちろん、今は大丈夫ですよ!
実際に行くと、魅力いっぱいの時計台
さぁ、時計台に実際に行ってみましょう!
時計台の場所は、JR札幌駅から徒歩10分、テレビ塔で有名な大通公園からは徒歩3分という札幌の街中にあります。
駐車場はありませんが、中心部のJRや地下鉄駅ならどこからでも徒歩でアクセスが可能ですよ。
札幌市時計台(旧札幌農学校演武場)
- 営業時間 : 8:45-17:10
(入館は17時まで) - 住所 : 札幌市中央区北1条西2丁目
- TEL : 011-231-0838
- 1月1日〜3日の年始休業あり
観覧料:大人200円
(高校生以下無料)
ベストビューはどの角度?
時計台に来たら、ぜひカメラに収めたいですよね!
ベストな角度で時計台を背景に写真が撮れる場所には、記念撮影用のステップ台があります。ここから撮るのが定番ですね!
時計台の裏側には2018年に地上高131mの高層ビル「さっぽろ創世スクエア」が誕生し、ビルが写り込まない時計台だけの写真は撮りづらくなりました。
もし、観光写真のように、他のものが写り込まないように写真を取りたいなら、下から仰ぎ角度をつけて撮影するのがポイントです。
道を渡った向かいのビルの2階テラスも、時計台を見るのに解放されています。ここからは時計台を正面から見ることができますよ。
四季折々の時計台の風景
四季折々に姿を変える時計台の風景。
春には”札幌の木・ライラック”が咲く時計台、夏は緑鮮やかな時計台、秋の色づいた木々と時計台、冬には屋根に雪を積もらせた時計台…
それぞれの季節で、その時だけの時計台の姿を、ぜひ見に来てくださいね。
時計台について、もっと知ろう
観光で見に行く前に、ちょっとだけ旅の予習をしよう
たくさんの観光名所をめぐって写真に収める、というのは旅の楽しみのひとつではありますが、やみくもに名所巡りをするだけでなく、その土地の歴史や背景を事前に知った上で現地に訪れると、実際に見た時の感動はより一層感慨深いものになるはず。
札幌へお越しの際は、札幌という街の成り立ちについて、ちょっとだけ知っておくと、旅の楽しみが増し、時計台の見る目も変わってくるかも。
北海道開拓史と札幌
札幌は、1869年に置かれた北海道開拓使によって建設された街。
原生林であったこの土地が開拓使によって少しずつ拓かれ、現在では人口200万人に迫る日本でも4番目の都市になった札幌の歴史を、ずっとこの場所で見守ってきたのが「札幌市時計台」です。
時計台について。旧札幌農学校演武場とは?
時計台の正式名称は「旧札幌農学校演武場」
欧米の技術を導入し、北海道開拓の人材を育成するために設置された札幌農学校の初代校長として日本にやってきたのが、「Boys, Be Ambitious!(少年よ、大志を抱け)」で有名な、クラーク博士です。
時計台は、そのクラーク博士の提言により建設されたもの。
札幌農学校の中央講堂として学生たちの入学式や卒業式が行われた他、兵式訓練や体育の授業が行われました。これが、「札幌農学校演武場」の名の由来です。
その後、札幌市によって図書館や公会堂として、文学、政治経済、学術などの講演会の場として、札幌の教育・文化の中心的施設として利用されるようになりました。
戦後は、全国的な観光ブームの中、「時計台」として北海道の観光名所として知られるようになりましたが、札幌の街に鳴り響く時計台の鐘の音は、いつの時代も市民にとってかけがえのない故郷の音風景となっています。
札幌市民にとっての時計台
観光で時計台に訪れた方の中には、がっかりすることもあるかもしれない時計台ですが、札幌市民にとっては大切な街のシンボルです。
今も、札幌の中心部で時を刻み、毎時ちょうどにはその時間の数だけ鐘が打たれ、街中に乾いた鐘の音が響きます。
時計台の鐘の音は、単に時刻を告げるだけでなく、市民にとっては故郷の音。
今でこそビルに囲まれた時計台ですが、かつて札幌がまだ原生林だった頃から、この場所(※)でその開拓の歴史を見守ってくれた存在です。※1878年建設時は現在地より100mほど北、1903年から現在地
永く市民から親しまれてきた時計台は、1963年に制定された札幌市民憲章の前章で「わたしたちは、時計台の鐘がなる札幌の市民です」と詠われ、後の1966年には札幌市議会で現在地での永久保存を決定されました。
これからも、札幌の観光名所であると同時に、札幌の街を見守り続けてくれる存在であって欲しいと願うのです。