札幌の中心部。
札幌を代表するランドマーク、観光地としても人気のさっぽろテレビ塔。日々多くの観光客が訪れています。
しかし、そのふもとに、札幌という街が創建された原点があることは、意外と知られていません。
この「札幌建設の地」と「創成川と創成橋」が、「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選定されています。
さっぽろ・ふるさと文化百選「札幌建設の地」、「創成川と創成橋」
札幌市を東西に分ける「創成川」とそこに架かる「創成橋」
札幌市の中心部。多くの観光客も訪れるさっぽろテレビ塔の麓。札幌の街を東西に分ける「創成川」が流れています。
この創成川は札幌開拓の際、物資を運ぶ用水路として人の手で開削された人工河川で、「大友堀」と呼ばれていました。札幌開拓の中心となった川であり、札幌の防火・風致・灌漑などにも大きな役割を果たしてきました。ちなみに、創成川の名は、この川に架かる創成橋にちなみ名付けられたそうです。橋の方が先に名付けられたのですね。
札幌のまちづくりの礎となった、市内最古の石造アーチ橋
「創成橋」の現在の石造アーチ橋の姿は、1910年に作られたものです。この橋は、「創成川」がまだ「大友堀」と呼ばれていた北海道開拓の時代、丸太を並べた上に板を敷いただけの簡易的な橋が架けられたことが始まりとされます。
橋はその後、幾度かの改修、補強を経て近年、2つのアンダーパスをつなげて1つにさせる「創成川通アンダーパス連続化事業」により一時解体されましたが、2010年に復元されました。札幌のまちづくりの礎となった市内最古の石造橋で、東京の日本橋ちなんで「札幌の日本橋」と呼ばれることもあるそう。
札幌の原点、「札幌建設の地」
また、この橋がかかる南1条西1丁目付近は「札幌建設の地」として同時に「さっぽろ・ふるさと文化百景」に選定されています。
さっぽろテレビ塔を間近に見上げるこの辺りは、2011年に完成した創成川公園として造成され、市内中心部の創成川沿いの環境は緑豊かな水辺の景観に生まれ変わりました。創成橋のかかる四隅の橋詰は「開拓の広場」として整備されています。この広場には「大友堀」開削の陣頭指揮を取った「大友亀太郎像」や「札幌市建設の地碑」が建立されており、まさにこの地が札幌開拓の原点であったことを現代に伝えています。近隣にはかつて存在した南1条交番をモチーフにした休憩所も設置されていて、ガラス製の壁には創成川の歴史年表が刷り込まれていて、その歴史を学ぶことができるようになっています。
テレビ塔や二条市場、狸小路などの観光スポットからもほど近いこのエリアは観光客の姿も多くみかけられます。狸小路と二条市場をつなぐ狸二条広場では夏期にビアガーデンが開催され、多くの人で賑わっていますね。近年、おしゃれなカフェやバールがたくさんできていて注目の大通イースト地区との接続地でもあり、今なお人々から愛される創成川の姿を感じることができます。
古き良き景観と現代の賑わいが交錯する創成川と創成橋、札幌開拓時代に想いを馳せながら、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。