北海道日本ハムファイターズが北広島市に建設を予定している新球場。

野球を核にしてショッピングセンターやレジャー施設、宿泊施設を併設する、日本にはこれまでなかったようなボールパークの建設が正式に発表されました。

札幌ドームを本拠地としていたファイターズが新球場を作るに至る経緯や、札幌市と北広島市の誘致について、また現状の進捗状況についてまとめてみました。

2023年開業を目指し計画が進むボールパーク!移転の経緯と進捗状況をまとめてみました!

北の大地にやってきたプロ野球球団!

2004年に北海道へ移転してきた日本ハムファイターズ。これまでプロ野球球団がなかった北海道に、念願のプロ野球球団が誕生しました。

2019年には移転15周年になり、すっかり地域に根ざした北海道の球団として認知されるようになりましたね。

北海道に多くの野球ファンが生まれ、その多くはファイターズ・ファン!かつては巨人ファンという野球好きも、気づくとファイターズを応援するようになっていた、なんて方も多いのでは?

移転2年後の2006年にはリーグ優勝、日本一になったファイターズ。稲葉選手や森本稀哲選手、そしてもちろん新庄選手の活躍と引退が印象的なシーズンでしたね。その後もファイターズは4度のリーグ優勝、1度の日本一を北海道にもたらしてくれました。

ファイターズはダルビッシュ有選手や大谷翔平選手などスター選手を多く輩出し、野球ファンのみならず多くの話題を集め北海道民にとっても鼻が高い(?)プロ野球球団ですね。

高校野球で注目を集めた新人の清宮幸太郎選手、吉田輝星選手の今後の活躍にも注目です!

北海道移転以来の本拠地、札幌ドームからの撤退

そんな日本ハムファイターズは北海道への移転以来、札幌ドームを本拠地としていましたが、2016年頃に札幌ドームの撤退と新球場建設の構想が浮上しました。これは札幌ドームの高額な使用料の負担軽減や、飲食類やグッズ類の販売、球場の運営、経営の一本化を目指してのことと言われていますが、ファイターズが野球を次世代のライブ・エンターテイメントにしていきたい、という想いからでもある様です。

■札幌ドームはファイターズの北海道移転以来の本拠地であり、コンサドーレ札幌のホームスタジアムでもある。

札幌ドームを所有する札幌市とはドームの継続使用の話し合いが持たれましたが、ファイターズは新球場の建設の意向を示し、札幌ドームからの撤退が濃厚になると、札幌市や北広島市の誘致合戦が繰り広げられることになりました。

札幌 vs 北広島!新球場の建設地誘致合戦

当初、本拠地としている札幌ドームを公設民営で日本ハムファイターズ側が買い取りまたは運営権の取得を目指しましたが、札幌ドーム継続使用の話し合いが暗礁に乗り上げるとファイターズ側が商業施設や宿泊施設も併設する「ボールパーク構想」の新球場の建設の意向を示しました。

2016年6月、北広島市が市議会定例会において、新球場の誘致を正式表明。36.7ヘクタールの広大な面積がある「きたひろしま総合運動公園」をファイターズ側に提案することになりました。

■まるで美瑛や富良野の様な牧歌的な風景が広がる八紘学園敷地。写真は校内の農場の一部にある花菖蒲園。

2017年4月には、札幌市が「北海道大学構内」の約10ヘクタールと「八紘学園・月寒グリーンドーム跡地」の約13ヘクタールを提案。ファイターズ側も「北大案」に前向きとされましたが条件面で折り合えず、「真駒内公園案」が浮上。札幌市も2018年3月に正式提案しました。

真駒内公園は1972年の札幌オリンピックのメイン会場となった約84ヘクタールの広大な土地がある公園ですが、球場の予定地は屋外競技場がある約3.4ヘクタールでした。

■JRタワーから望む北海道大学。中心部からもほど近く、豊かな自然が残る広大な大学構内。

新球場建設の予定地はその他にも複数の候補がありましたが、最終的に有力視されたのは札幌市内の「真駒内公園地区」と北広島市の「総合運動公園予定地」。この2ヶ所での一騎打ちとなったのです。

やがて2018年3月24日に、”日本ハムファイターズが北広島市と最終調整”との報道が出ると、ファイターズは26日に臨時取締役会で新球場予定地を「きたひろしま総合運動公園」として具体的な取り組みを進めていくことを決定した、と発表しました。

そして、2018年10月31日に新球場の北広島市での建設が正式発表となったのです。

■1972年の札幌オリンピックのメイン会場となった真駒内公園は札幌市南区にある市民の憩いの場。

ファイターズが目指すボールパーク構想とは?!

ファイターズが目指す「ボールパーク」とは、どういったものなのでしょうか?ボールパーク建設の発表と同時に設立された準備会社「株式会社 北海道ボールパーク」は3つのテーマを掲げています。

1つは「次世代ライブエンターテイメント」、2つ目に「最先端 ウェルネスライス」、そして3つ目に「未来型 リビングコミュニティ」です。

■全面ガラス張り、開閉式屋根が印象的な新球場のイメージ画像。緑溢れる土地にあるスタジアムは池とも隣接し、商業施設や宿泊施設なども併設するボールパークとして構想されている。
ライブエンターテイメントとしての野球観戦

「次世代ライブエンターテイメント」は、スポーツとしての野球観戦をテクノロジー等を活用し、エンターテイメントまで昇華させる構想のようです。テクノロジーを活用した観戦というと、現在でもスタジアムには大型のディスプレーが設置されていて観戦のお客さんはスタジアムと一体感が感じられる工夫がされていますが、それをもっと推し進めていくものでしょうか。新球場のイメージ画像にもかなり大型のディスプレーが設置されている様子も見られます。

■これまでの球場のイメージを打ち破る全面ガラス張りで開放感のあるスタジアム。

さらには、AR(拡張現実)の様な最新のテクノロジーも使われるかもしれませんね!?新球場での野球観戦はテクノロジーの活用だけでなく、まったく新しい観戦スタイルの提案もある様です。

これまで椅子に座ったまま野球観戦をするのが当たり前でしたが、スタジアムには360度のコンコースがありどこからでも観戦できたり、ボールパーク内のカフェ・バースペースでの観戦、さらには露天風呂(!)からの観戦なども計画されている様子。

今からとてもワクワクしますね!

提供:(株)北海道ボールパーク
■スタジアムは日本初の開閉式天然芝球場が計画されています。天然芝のフィールドでは選手の最大限のパフォーマンスに期待できそうです。
ウェルネスライフとリビングコミュニティ

最先端 ウェルネスライフ」、「未来型 リビングコミュニティ」についても、イメージ画像で見られる緑溢れる中にあるスタジアムと隣接する池にはボートが浮かんでいる様子からも、”大自然のアクティビティ”や”健康促進のソリューション”を提供してくれる施設、ジムやスポーツクラブなどの施設も計画されているかもしれませんね。

さらには、スタジアムから少し離れたところにはたくさんの建物も見えます。ホテルなど宿泊施設も計画されている様ですし、”スポーツを核にした街づくり”が謳われていますので、もしかしたらボールパーク内に住むことができるマンションなど住宅もあるかも!?もしボールパークに住むことができたら、熱心なファイターズファンには堪らないですね。

「きたひろしま総合運動公園」ってどんな場所?

建設予定地として決定した「きたひろしま総合運動公園」は、どこにあるのでしょうか?北広島市は札幌市に隣接する隣町。新千歳空港がある千歳市と札幌市の中間に位置し、札幌市のベッドタウンとして栄えている町です。札幌駅からはJRでは6駅で北広島駅に到着します。普通列車だと約25分、札幌と新千歳空港間を通る快速エアポートだと約16分です。ちなみに新千歳空港から北広島駅も、同じくJRの快速エアポートで約20分の距離にあります。

札幌からのアクセスはもちろん、道外からの観戦も新千歳空港から北広島までJRを利用できるので比較的アクセスは良さそうです。

しかし、北広島駅から建設予定地の「総合運動公園」まで1.6km、徒歩だと20分くらいの場所にあります。ボールパーク周辺に新駅を作るという構想の一部報道もありますが、この辺りの交通アクセスがどうなるかが今後の焦点ですね。

■建設予定地のきたひろしま総合運動公園、雪が積もる2019年1月の様子。建設の着工は2020年の春からの予定。

現在の建設進捗状況まとめ

ボールパークの建設は2020年の春ごろに着工の予定です。

2023年1月竣工、3月に開業予定となっています。現在までの進捗状況をまとめてみました!
※随時更新

2018年3月 準備会社が設立

日本ハムファイターズの新球場建設に向けて、その準備会社として「株式会社北海道ボールパーク」が株式会社北海道日本ハムファイターズ、日本ハム株式会社、株式会社電通の3社共同出資により3月26日に設立されました。

2023年開業を目指し、敷地計画や球場のデザイン、関係各所との協議・検討をしていく準備会社となるようですね。

提供:(株)北海道ボールパーク

2018年12月 建設予定地に看板が設置されました!

きたひろしま総合運動公園でのボールパーク建設が正式発表となって以降、具体的な動きや報道はありませんが、建設予定地とされる北広島市共栄のJR線沿いに「2023 PLAY BALL」の大きな看板が掲げられました。札幌-北広島間の電車に乗っている乗客からもはっきり見える位置ですね。

いよいよ目に見える形でアジアNo.1のボールパーク建設が現実に動き出したようでワクワクします!

この看板は2018年12月21日から設置されているということです。

■ボールパーク 建設予定地のJR千歳線の線路沿い、電車からも見える位置に”2023 PLAY BALL”の大きな看板が設置されました。

2019年2月 どうなる新駅?!市・球団・ボールパーク準備会社・JR北海道の4者トップ会談

北広島市で2023年3月の開業を予定するプロ野球北海道日本ハムの新球場を核とするボールパーク(BP)の交通アクセスについて、市、球団、BP準備会社、JR北海道の4者のトップが27日午前、市役所で会談した。球場の観客のうちJR利用は全体の4割と想定され、4者は開業までに北広島駅の大規模改修を行うことを確認。新駅整備については設置に向けて協議を進めるとした。

2019/2/27 北海道新聞 電子版

建設予定地のきたひろしま運動公園ですが、最寄駅のJR北広島駅からだと徒歩20分と、そのアクセスに不安を感じている方も多いですね。

北広島市・球団・ボールパーク準備会社・JR北海道の4者トップによる初めての会談が行われたようです。

今回、あらためて北広島市と球団側がボールパークに隣接する形で新駅を希望していることが伝えられました。JR北海道は北広島駅の改修を優先し、新駅については慎重な姿勢を見せましたが、今後もボールパークへの交通アクセス向上を進めること、新駅については設置に向けて協議を進めていくことを確認したようです。

さらに北広島からはは新駅ができた場合は商業施設も併設する構想も出たようで、スタジアムを中心に様々な施設も併設される世界がまだ見ぬボールパーク実現への意欲が垣間見えました。