全国に111ある活火山のうち、およそ3割にあたる31がある北海道は、全国でも有数の火山が多い地域。

その中でも特に火山活動が活発で、道民にとって身近な活火山のひとつと言えるのが「有珠山」です。

有珠山の噴火の歴史とその恩恵、また噴火余地や次の噴火に備えるべきことをまとめてみました。

有珠山は“ウソをつかない”火山?!噴火の歴史とその恩恵とは?

ランクAの活火山・有珠山

■全国に13あるランクAの活火山のひとつの有珠山

有珠山は洞爺湖を成すカルデラの南麓にある活火山で、活動度が特に高い「ランクA」※1に指定されており、24時間体制で常時観測※2がされています。

麓の湖畔には火山活動の恩恵を受けた温泉街が広がり、北海道でも屈指の人気観光地として知られています。

※1 火山噴火予知連絡会2003年(平成15年), ※2 気象庁「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」2009年(平成21年)

有珠山の噴火の歴史
■有珠山の2000年噴火の様子

今から約11万年前、巨大な噴火によって陥没地形の「洞爺カルデラ」が形成されました。このカルデラに直径10km程にわたって水が溜まりできたのが現在の「洞爺湖」です。

洞爺カルデラの外輪の南麓にある有珠山は約1万5千年〜2万年前に活動を始め、積み重なり形成された成層火山を成したと言われています。

1663年に大規模なマグマ噴火を起こし数千年の眠りから覚めた有珠山は、再び活発な火山活動を始めます。

以来、現在まで9回の噴火を繰り返していて、20世紀の100年間には1910年, 1944年, 1977年, 2000年とおよそ20〜30年周期で4回の噴火が起きています。

ウソをつかない山・有珠山の噴火予知
■大地の隆起によって沼になった元国道230号と乗り捨てられた車

有珠山は、周期的な噴火と前兆の有感地震を伴うことから「ウソをつかない山」と呼ばれています。

最新の2000年(平成12年)噴火では、北大大学院理学研究科附属地震火山研究観測センターの岡田弘教授(当時)により噴火が正確に予知されました。

専門家の意見を受けた行政は前日までに伊達市・壮瞥町・洞爺湖町の約16,000人に避難指示を発令、住民はハザードマップに基づき迅速に避難を行ったことで、この噴火による犠牲者を出すことはありませんでした。

これは、行政や住民による平時からの取り組みと噴火予知が火山災害の防災・減災につながった、世界で初めての成功例と言えるでしょう。

2000年噴火から20余年、次の噴火はいつ?

■噴火から20余年が経過し緑に飲み込まれようとしている被災した建造物(わかさいも本舗工場跡)

有珠山は、次はいつ噴火するのでしょうか?

2000年の噴火から既に20余年が経過し、これまで20〜30年周期で噴火が起きていることを考えると、有珠山はいつ再び噴火してもおかしくありません。

前回の噴火を予知し、有珠山の主治医と呼ばれる岡田弘北大名誉教授は、

『もし噴火するとしたら2000年から20〜30年(中略)次に動く時間は意外に近いかもしれない』

2020年HTBニュースより

ーーと警笛を鳴らしています。

有珠山は噴火前に必ず有感の前兆地震を起こしますが、長期的な噴火時期、山頂なのか山麓なのかその噴火場所の予測はできません。

行政は防災マップや防災ガイドブックを作成し周辺住民への配布し、再びその時を迎えるのに備え、緊急時の対応を取り決めています。

有珠山の恩恵、火山と共に生きる

■洞爺湖と湖畔にある温泉街、その奥には有珠山・昭和新山が見える

なぜ、これほど頻繁に噴火が起こる有珠山の周辺で、人々は今も暮らし続けているのでしょうか?

有珠山の周辺で暮らす人々には「火山の恩恵を受けて暮らしているのだから、30年に1度の噴火は当然受け入れなければいけない」という理解が定着しているといいます。

火山灰によって作られた大地は、日当たりと水はけが良い広大な農場として利用され、火山活動によって作られた洞爺カルデラの雄大な景観と湧き上がる温泉は、この地の観光産業を支えています。

噴火災害を恐れるだけでなく、その恵みを享受し、共生しているのが有珠山とこの地に暮らす人々なのです。

変動する大地・有珠山を学ぼう!

2009年に「洞爺湖有珠山ジオパーク」として日本で初めてユネスコ世界ジオパークに認定された、有珠山と洞爺カルデラの一帯。

火山活動によってダイナミックに変動する大地の姿を体感すると、噴火と共生していくこの地をより深く知ることができますよ!

洞爺湖ビジターセンター・火山科学館
■洞爺湖ビジターセンター・火山科学館

「洞爺湖ビジターセンター」は火山活動によって作られた洞爺カルデラ周辺の雄大な自然環境についての情報を提供している施設。

併設の「火山科学館」では、有珠山の噴火の歴史やそのメカニズムについても学ぶことができます。

2000年噴火当時の状況を3面マルチスクリーンに映し出される大迫力の映像と音響で追体験することができる他、当時のまま保存されている実物展示で被災状況を学ぶことができます。

洞爺湖町洞爺湖温泉142番地5
  1. 営業時間 : 9:00 - 17:00
  2. 住所 : 洞爺湖町洞爺湖温泉142番地5
  3. TEL : 0142-75-2555
  4. 入館料:無料
    併設の火山科学館は大人600円/小人300円