北海道には「川」という漢字がついた地名が多いと感じたことはありませんか?

特に、これらの地名は石狩川や天塩川といった北海道に流れる大河やその支流の近くに多く存在していますね。

なぜ、これほど「川」がついた地名が多いのでしょうかその理由や由来についてまとめてみました!

なぜ北海道には「川」がつく地名が多いの?その由来とは?

「川(かわ)」がつく地名はいくつある?

■ 旭川や滝川をはじめ北海道には「川」がつく地名がたくさん!

北海道には漢字の「川」がつく地名がたくさんあるなぁ、と思ったことはありませんか?

その数は北海道の全179市町村のうち11市町村にもなるんですよ!

<北海道にある「川」がつく市町村一覧>
 
・滝川(市)
・砂川(市)
・深川(市)
・上砂川(町)
・新十津川(町)
・赤井川(村)
・旭川(市)
・上川(町)
・東川(町)
・下川(町)
・中川(町)

これらの市町村をみていると、北海道で最長かつ最大の流域面積をもつ石狩川や2番目に長い天塩川の近くにあることに気付きますが、これは偶然なのでしょうか?

北海道に「川」がつく地名が多い理由やその由来について、まとめてみました!

上川・空知地方にある「川」がつく地名のほとんどは石狩川から由来!アイヌ語との関係も
■ 旭川や東川の由来になった忠別川の上流の様子

上川地方や空知地方には『川』がつく地名がたくさんあって、道内にある『川』がつく地名の全11市町村のうち10市町が集中しています。

この中でも、旭川市、上川町、東川町、深川市、滝川市、上砂川町、砂川市の7市町の地名に共通しているのが、北海道の大河・石狩川とその支流に由来していてアイヌ語にも深く関係しているということ。

石狩川の支流のひとつで大雪山系を源とする忠別川は、アイヌの人びとから「チュ・ペッ/チュカ・ペッ」と呼ばれていました。

この流域にあるまちで、チュ・ペッ(日・川)を“日が昇る川”と解釈して意訳されたのが『旭川』で、チュカ・ペッ(東・川)を意訳されたのが『東川』です。

■ 石狩川の支流のひとつペンケウタシナイ川

『深川』は市街の北を流れる石狩川の支流・大鳳川のアイヌ語の「オオホ・ナイ(深い・川)」の意訳ですし、『滝川』も同じく石狩川の支流・空知川のアイヌ語の「ソーラプチ・ペツ(滝の・川)」を意訳した地名です。

『砂川』も石狩川の支流であるペンケウタシナイ川とパンケウタシナイ川の語源である「オタ・ウシ・ナイ(砂浜・ついている・川)」を意訳した地名で、砂川市を母町として誕生した『上砂川』は、パンケウタシナイ川の上流にあることからつけられた地名です。

ちなみに、『上川』だけはアイヌ語とは関係なく、石狩川の上流であることからつけられたものです。

天塩川の中流にある「中川町」とその支流の下流にある「下川町」
■ 中川と下川の地名の由来になった天塩川

上川地方にある『中川」と『下川』という地名は、天塩川に由来しています。

天塩川は、北見山地・天塩岳に水源を発し北海道で2番目に長い日本最北の大河で、その中流にあり山間に細長く広がるまちが『中川』です。

一方で、天塩川の支流にあたる名寄川のさらに支流であるパンケ川の沿岸が、アイヌの人びとから「パンケ・ヌカナン(川下の・ヌカナン川)」と呼ばれていたことから、意訳されたのが『下川』という地名です。

本州からの集団入植に由来する『新十津川』という地名

■ 新十津川は本州からの集団入植に由来する地名

アイヌ語から由来する地名が多い北海道にあって、数少ない例外が『新十津川』という地名です。

由来となったのは奈良県吉野郡にある十津川村で、1899年(明治22年)に見舞われた大水害により被害を受け生活の基盤を失った住民2,489人が、石狩川中流域の原野に集団入植し、郷里にちなんでこの地を『新十津川』と称するようになりました。

開拓期に本州から集団移住してきた人びとが多い北海道には、これ以外にも本州にちなむ地名が多く残っています。

例えば、北広島市は広島県人の入植に由来していたり、札幌市手稲区にある山口や西区にある福井も、ぞれぞれ山口県、福井県からの入植に由来しています。

そのまんま!『赤井川』は“赤い川”の意味?!
■ カルデラの盆地にある赤井川の村と羊蹄山

ウソのようなホントの話、ダジャレみたいな地名もあります。

それが『赤井川』で、これは「フレ・ぺッ」というアイヌ語に由来していて、“赤い・川”を意味しています。

“赤井川=赤い川”なんて、あまりにもそのまんま!という地名ですが、由来となった川がどこなのか、赤いというのは何を指しているのか、今となってははっきりと分かっていません。

赤井川は四方を山々に囲まれたカルデラの盆地にあるまちで古い火山帯で赤土が多いからとも、余市川の支流の赤井川の川底には金気があってサビ色をしていたからともいわれています。

アイヌ語の「川(ぺッ/ナイ)」にちなむ地名も!

■ アイヌ語の「大きい川(ペッ)」に由来する地名のひとつの江別

北海道の地名には、直接的に「川」という字かついていなくても、その由来に「川」が密接に関係しているものも多くあります。

それが、アイヌ語の「ペッ(大きい川)」や「ナイ(小さい川)」が語源となっている地名です。

■ 稚内はアイヌ語の「小さい川(ナイ)」にゆらいする地名

アイヌ語で“大きい川”を意味する「ペッ」に由来する地名の多くは『別』という字が当てられていて、江別や紋別をはじめ道内に5市12町2村の計19市町村もあります。

また、アイヌ語の“小さい川”を意味する「ナイ」に由来する地名の多くでは「内」という字が当てられ、稚内ほか道内に2市4町2村の計8市町村もあります。

こうしてみると、北海道には「川」に由来している地名がとても多いかがわかりますね!

北海道には「別(べつ)」がつく市町村が多い!その理由とアイヌ語地名とは?