多様な生物が息づく北海道の大地。

けれど中には北海道に生息していることが意外に知られていない生き物もいます。

札幌という都市圏にも毒を持つヘビがいることをご存知ですか?

そのヘビの名はマムシ。正式名称はニホンマムシ。

え? そもそも北海道にヘビなんているの? そんな声も聞こえてきそうですね。寒い時期が長い北海道に変温動物のヘビがいるのをイメージしにくいのも無理はありません。しかし北海道にもヘビはいます。

そして毒のあるマムシは実は身近なところにも潜んでいるのです!

北海道にもヘビは生息していた!

北海道にいるヘビの種類は?

日本には多くの種類のヘビが存在します。北海道には、シマヘビ、アオダイショウ、ジムグリ、シロマダラそしてニホンマムシの5種類のヘビが生息しています。

そして日本に生息する毒ヘビはマムシ・ハブ・ヤマカガシの3種類。そのうちのマムシが北海道にも存在しているのです。

北海道にいるヘビの外見の特徴

・シマヘビ:黒色または淡黄色で縦縞がある。
・アオダイショウ:灰褐色をベースにやや緑がかった色。北海道には青みがかったものが多い。
・ジムグリ:赤みがかった茶褐色で、黒い斑点がある。
・シロマダラ:淡褐色で黒い横縞がある。
・ニホンマムシ:灰褐色または暗褐色で背に銭形の紋様がある。

銭形文様をもつのはマムシだけ。ヘビと遭遇したときはマムシかどうか見分けることが大切ですね。

北海道に住むヘビの中で唯一毒を持つ危険なニホンマムシ!


マムシは森林から平地まで幅広く生息し、藪の中などにいます。

小型の哺乳類、鳥類や魚類、カエルなどを餌としているので、川など水場の周辺や田畑で見かけることが多く、まれですが人家の庭にもいることがあります。天売・焼尻島などの島にまで生息しています。

全長に対して胴が太く短くずんぐりとしていて、三角形の頭部が特徴的です。また猫のような目をしていて、驚くと尾を細かく震わせながら威嚇してきます。

大きさはだいたい40cm~60cm。けれど北海道に住むマムシは大型が多く体長は60cm以上、大きいものでは1mにもなるというから驚きです。

そんなのが目の前にいたらびっくりするどころではありませんね!

マムシの毒性は?

マムシの毒は出血毒です。血液の凝固を阻害し血管系の細胞を破壊することで、出血を起こさせる毒のことをいいます。

マムシは咬んだときの毒の注入量は少ないのですが、沖縄にいるハブより毒性が2~3倍強いと言われています。

咬まれた直後か数分後には激痛が起こり、傷口が紫色に腫れてきます。

マムシに咬まれて死に至ることはまれですが、かと言ってあまく見ることは厳禁です!

マムシが出そうな場所

気持ちのいい河川敷でのウォーキング。でもこんな看板があるのを見たことはありませんか?

同じような看板が森林や公園の入口などにも設置されていることがありますね。これは草むらの中にマムシやヘビが潜んでいるかもしれないので注意しましょうという呼びかけです。

マムシに咬まれやすい場所は藪や草地、そして水辺周辺です。河川敷をウォーキングしたりする時にはうっかり薮に入らないなど注意しましょう。見えないところにマムシが潜んでいるかもしれません。

登山などでも藪の多い道を歩くときにはもちろん注意が必要です。また小樽方面では海岸沿いにある草地などでもマムシの出没情報があります。

もし咬まれてしまったら?

マムシは日中草むらで日光浴をすることがあります。人が来てもジッとしているので、草の中にいるマムシに気づかずに踏んでしまったり、マムシの上に手を置いてしまったりして咬まれてしまうことがほとんどです。

もし咬まれた場合は傷口を水で洗浄し、咬まれた傷より心臓側を布などで縛り安静にします。これは毒を回らせるのを遅らせるためです。

咬まれたからといって焦って走るなどしては、毒が全身に回りやすくなるので気をつけなくてはいけません。

咬まれてもすぐに命の危険はありません。しかし速やかに救急車を呼び医療機関を受診して治療を受けることが一番大切です。

また、家の庭などで見かけてどうすればいいかわからない場合は、専門の駆除業者に頼みましょう。

マムシは自然の豊かさの象徴?


毒ヘビということでどうしても忌み嫌われてしまうマムシですが、自然が豊かな場所にしか生息できない生き物でもあります。

マムシがいるということは札幌もまだまだ自然豊かな場所なのだ、と言えるのかもしれませんね。

マムシは本来おとなしいヘビなので、自分から人を襲うことはまずありません。もし出逢ってしまっても落ち着いてその場から離れるなどすれば大丈夫です。

北海道森林管理局のHPには危険な動植物に注意という項目があり、もしマムシを見つけ動かないようなら小石や木の棒などを投げてその場から逃がすように、と書かれています。

お互いに害をなすことなく、住み分けをしてそれぞれの生活を守れたら一番いいですね。