野口染舖は、日本の伝統的な文化である着物を大切にしながら、「新しい何かを生み出す」という理念で、さまざまな取り組みを行っている着物屋です。コーヒーの出がらしを使ってできる染物、「珈琲染め」は、自然な色合いが人気で注目されています。

コーヒーの出がらしからどんな染物ができるのだろうと、今回実際に「珈琲染め」を体験してきました。カフェの多い札幌の街ならではの新たな文化、野口染舗の「珈琲染め」をご紹介します!

北海道ならではの染色やものづくりを発信する「野口染舗」

カフエの街札幌で「珈琲染め」を体験!

住宅街の中に静かに佇んでいる野口染舖は創業1948年の老舗。白石区の菊水は昔から水が良い場所として有名。着物の染めに良い水は欠かせないことから、この場所に店舗を構えたそうです。

「日本文化の継承」の思いを伝えるため、珈琲染めのほかにも普通の染物体験&工場見学(要予約)を行っています。

カフェのバリスタさんとの会話から珈琲染めを発想!

野口染舗の五代目野口繁太郎さんは、 「日本人と着物の間にできてしまった距離を縮める」をブランドコンセプトに掲げています。何か新たな天然素材の染物をできないだろうかと考えていたところ、カフェのバリスタさんとお話をしてる時に「コーヒーも植物だから着物を染められるかもしれない」と、ヒントを得たそうです。また、札幌はカフェが多い街。その特色も活かしたいと考えました。そこから試行錯誤を重ねて現在の珈琲染めを編み出したのです。

珈琲染めは飲んだあとのコーヒーの出がらしを使用しますが、協力してくれるカフェからもらって来るので、エコな取り組みになっていることにも注目ですね。

実際に珈琲染めを体験!

それでは早速珈琲染め体験をご紹介しましょう。染物体験の部屋はこんな感じで、たくさんの道具が並んでいます。

今回は風呂敷とハンカチを作成することにしました。まずはどれくらいの濃さに染めるのか、サンプルを見ながら選びます。それぞれに濃淡の味わいがあり、どれも素敵で悩みます。

珈琲染めの手順

染める前の白い布を水に濡らし、このようにゴムで縛ります。この縛り方でさまざまな模様が生まれるので、縛り方にも工夫が必要。果たしてどんな模様になるのか、この段階からワクワクします。

ボウルに温めた珈琲液を用意し、この液の中にゴムで縛った布を浸します。コーヒーのいい香りが漂って、染物体験というより思わずカフェにいるような気分に。

珈琲液に浸してから、色を定着させる媒染を行う

コーヒーの出がらしの液のなかにゴムで縛った風呂敷とハンカチを入れます。時々布をひっくり返しながらしばらく液につけておきます。

次に媒染(ばいせん)という作業をします。媒染(ばいせん)とは、布に色を定着する方法です。珈琲液につけた布を鉄や銅、ミョウバンを溶かした液につけます。この媒染液の種類によって、発色や濃淡が変わるそう。つまりは化学変化ということですが、その微妙な変化がこの世にひとつしかない染めもの作品を生み出します。

色が変わっていく瞬間は、小学校の頃の理科の実験を思い出す、懐かしくも楽しい時間でした。

しばらくつけた後、最後に中性洗剤で布を洗って乾くのを待てば、珈琲染めの風呂敷とハンカチのできあがり。

珈琲の出がらしが素敵な染め物に出来上がり!

風呂敷とハンカチそれぞれ珈琲染めができあがりました。ゴムで縛った部分は、できあがるまでどんな模様になるのかわからないので、広げるとこんな感じになったのか、と、仕上がりに驚きと新鮮さを感じました。

珈琲染めで作られた数々の品物たち

染物が乾くあいだ、珈琲染めで作られた素敵な反物や服、小物を見せていただきました。どれも素敵な風合いで、ナチュラルな魅力が満載です。

こちらは珈琲染めのエプロンです。まさにカフェで着るのにぴったりの一品ですね。

もちろん、珈琲染めの反物も。男女問わず珈琲染めの着物を作る人もたくさんいるそうです。ペンケースやポーチなどさまざまな小物もあります。しっとりとした珈琲染めの優しい色合いにホッとしますよ。

新たなチャレンジを続ける「野口染舖」

五代目野口繁太郎さんの着物に対する情熱は熱く、そのパワーには感動でした。そして、常に新しい何かを生み出そうという強いチャレンジ精神に感服。

北海道はもともと天然の染料の宝庫だそうです。五代目は珈琲染めに留まらず、次はワインを絞ったあとのぶどうの皮を使って、「ワイン染め」ができないかと、チャレンジしています。近いうちに北海道発の新たな文化が、またひとつ生まれるかもしれませんね。

珈琲染めでプレゼントや思い出の品を作ってみよう!

珈琲染め体験では、世界で一つのオリジナルの作品を作ることができます。心を込めて染めた品物を大切な人にプレゼントしたり、思い出の品にしたりするのにもおすすめです。

ぜひ、野口染舗で珈琲染めを体験して、自分だけのオリジナルの素敵な小物を作ってみてくださいね!

札幌市白石区菊水8条2丁目2-9
  1. 営業時間 : 平日 9:00 - 17:30
    土曜日 9:00 - 15:00
    日曜・祝日定休
  2. 住所 : 札幌市白石区菊水8条2丁目2-9
  3. 【珈琲染め体験】
    ※所要時間:染物体験合わせて約1時間半
    ※1週間前までに要予約
     
    料金:ハンカチ2500円、風呂敷(中)3500円、風呂敷(大)5500円
     
    受付時間:
    〈平日〉
    【午前の部】11:00〜12:30
    【午後の部】14 ::00~15:30
     
    〈第四・第五土曜日〉
    【午前の部】10:00~11:30
    【午後の部】13:00~14:30
     
    ※その他の時間を希望の場合は要問い合わせ