災害大国、日本。
北海道でも、北海道胆振東部地震では土砂災害や大規模停電により、大きな災害を経験しました。
そんな時、自分の身はもちろん、気になるのは家族の一員であるペット達のこと。もし、避難所での生活を強いられることになった時、ペット達と一緒に避難することができるのでしょうか?
北海道の自治体別の対応状況や、避難生活での備蓄、注意点についてまとめてみました。
自然災害が頻発する日本。その時「ペット達との避難」考えていますか?
他人事ではない、災害に対するペット達の備えを
災害大国、日本。
東日本大震災や熊本地震、そして2018年には私たちが住む北海道においても「北海道胆振東部地震」が発生。震源地近くでは大規模な土砂災害が起き、全道が停電する“ブラックアウト”という未曾有の災害を経験しました。
また令和に入ってからも、2019年の台風19号による大雨の影響で各地の河川が氾濫。多くの尊い命が奪われました。
北海道においても、いつ、このような災害に見舞われるかわかりません。北海道のあらゆる地域において、人ごとではありませんね。
避難所への退避、ペットは連れて行ける?
北海道-札幌でも、いつ再び、どんな災害が再びを襲われるかわかりません。
そして、自宅での在宅避難が困難な場合には、避難所での生活を強いられることがあるかもしれません。
そんな時、自分の身はもちろん、どうしたって気になるのは大切な家族の一員であるペット達のこと。ワンちゃんやネコちゃんも、避難所に一緒に連れて行ってあげることができるのでしょうか?
環境省のガイドラインでは“ペットと同行避難が基本”
飼い主の“責任-役割“として求められる同行避難
環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」によると、『災害が起こった時に飼い主はペットと同行避難することが基本である』として“同行避難を推進”しています。
これは、
- 動物愛護の観点
- ペットが放浪動物となり、人への危害防止や生活環境保全の観点
から必要とされています。
つまり、ペットとの同行避難が、単に「家族の一員だから」という意味合いだけではなく、ペット達が放浪動物となることで、住民に危害を加えるなどの安全面や公衆衛生上の環境が悪化することへの懸念であり、災害発生時の飼い主としての“責任-役割”であることを示しています。
実際の過去の震災のケースでは、これによらない場合も
2011年に発生した東日本大震災で問題視された「ペットとの同行避難」
それを踏まえ作成されたのが、環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」ですが、実際にこれ以降に発生した2019年の台風19号による災害時では、
- ペットと一緒に避難所に行ったら断られた
- ペットNGの避難所も多かった
という声も上がっています。
避難所には動物が苦手な方や、アレルギーを持っている方もいることが想像されます。仕方のないことといえば、それまでですが、実際の避難所でのペットの受け入れについては、各自治体や避難所に判断が委ねられているのが実情です。
北海道・市町村別のペット受け入れ・同行避難の対応状況
札幌市の場合
札幌市内の避難所は、『原則としてペットの同行避難が可能』としています。
ただし、
- 飼養スペースは、避難所敷地内の屋外
- 避難所の構造等により、同行避難ができない施設もある
ーーということは理解しておきましょう。
また、札幌市の備蓄物資にはペットフードなどは含まれていません。避難所で必要になると思われるペットの生活物資(フードや水、フード皿、水皿、首輪、リード、トイレなど)は自身で用意し、避難時にはすぐに持ち出せるようにしておく必要があります。
避難所については、札幌市のホームページ上で各区ごとの一覧が公開されていますので、確認しておきましょう。
また札幌市では、犬や猫の飼い主向けに、日頃からできる災害に向けての備え、被災した時の行動や支援体制などについて、わかりやすく情報をまとめた『犬と猫の防災手帳』を配布しています。
- 札幌市内各区役所、保健センター
- 札幌市保健所
- 札幌市動物管理センター
- 札幌市内の動物病院
ーーなどで配布されていますので、ぜひ手元に置いておきたいですね。
旭川市の場合
旭川市では、『全ての避難所で同行避難が可能』としています。
ただし、盲導犬等を除くペットは、他の避難者に配慮し、建物内ではなくグラウンドや倉庫が飼育場所となります。
また、避難所にはペット用の備蓄はありませんので、
- フード、水は支援物資が届くまで、5日分以上、できれば7日分以上
- ペットシーツ(猫はトイレ用の砂)、排泄物の処理用具
など、各自の備蓄をしておくことを推奨しています。
函館市の場合
函館市でも、避難所で同行避難が可能なようです。
「函館市避難所運営マニュアル」では、『ペットは原則として屋外にペットの飼育スペースを設けて係留しますが、あらかじめ施設利用計画により屋内に専用居室が確保できる場合は、飼い主とペットのグループを編成し、ケージやキャリーバッグに入れたペットに限り専用居室に持ち込むことを認めます。』とあります。
しかし、避難所の規模や体制によっては同行避難ができない場合があるかもしれませんので、事前の確認が必要となりそうです。
その他市町村について
その他の市町村についても、環境省のガイドラインに準じて避難所への同行避難が可能な場合が多いようです。
ただし、いずれの場合も「居住域から離れた屋外」とされているのがほとんどです。
また、実際の災害発生時には避難所の受け入れ態勢にバラつきが発生することも予想されます。
あらかじめ、お住いの地域の避難マニュアルなどを確認しておくと良いですね。
避難所では“マナー”や日頃の“しつけ”が重要に
万が一、ペットと避難所生活になった場合、多くの人がいる避難所では、マナーや普段のしつけ、健康管理が重要になります。
愛犬-愛猫が人の迷惑となってしまうことがないよう、気をつけたいですね。
⑴ 飼い主がちゃんと理解しておきたい“マナー”について
飼い主さんが理解しておかなければいけないことは、何より「皆んながみんな動物が好きという訳ではない」ということ。
私達にとっては愛らしい動物達でも、苦手だったり、恐怖を感じる方もいます。
また、動物にアレルギーを持っていて動物が近くにいるだけでも、「くしゃみ」や「鼻水」が止まらなくなったり、「喘息」や「皮膚炎」といった症状を発症する方もいます。
これらの観点より、避難所へ同行避難ができたとしても屋外や人間と離れての飼育になることが大前提です。
避難所で無理な要求やルールを守らない行動は、多くの人を困惑させてしまいます。十分に注意したいですね。
⑵ 日頃のしつけが重要!これだけは絶対に身につけておこう
- ケージやキャリーケースに慣れさせておくこと
- 決められた場所で排泄ができること
- 人や他の動物を怖がったり、攻撃的になったりしなこと
- (犬)無駄吠えをしなようにすること
- (犬)「おすわり」「まて」「おいで」などの指示を聞くようにさせること
ペットのと生活では、日常的に必要となる“しつけ”ですが、これらをしっかり身につけさせておくことは、万が一の際にも重要になりますね。
⑶ 日頃の健康管理は?
- 不妊・去勢手術
- 寄生虫の予防や駆除
- 各種ワクチンの接種
- (犬)狂犬病の予防接種
特に、ワクチンの接種や狂犬病の予防接種については、その証明書もペットの避難道具とまとめておくなど、同行避難する際にはすぐに持ち出せるようにしておく必要がありますね。