北海道のお通夜、お葬式には、本州とはちょっと違った風習があるということを知っていますか?
もし本州から北海道のお通夜、お葬式に参列する場合や、お引越しで北海道に来て初めて参列する場合には、その違いにちょっと戸惑うことがあるかも。
お通夜からお葬式の流れや、香典の相場などについてまとめてみました。
本州とはちょっと違った風習がある、北海道でのお通夜。お葬式
生前お世話になった方との突然の別れ。
いつか訪れるその時、しっかりとお見送りして差し上げたいですね。
しかし、北海道のお葬式には、本州とはちょっと違った風習があるということを知っていますか?
いざという時にも戸惑わないように、参列の前にチェックしてみてくださいね。
本州出身の方へ北海道のお通夜、お葬式で戸惑わないために
初めて北海道のお通夜・お葬式に参列する方には、
- 本州からお仕事で北海道に移住してきた方
- 北海道に住んでいる知人・親戚の葬儀に参列する方
などなど、様々な状況があるかと思います。
北海道でのお通夜やお葬式に初めて参列された方は、そのちょっと変わった風習に戸惑うことがあるようです。
また、ルールや風習を知らなかったことで些細な行き違いがあり、その後の関係がギクシャクしてしまった、なんてこともあるようです。
北海道の独特な風習をあらかじめ知っておくことで、不要な誤解を防ぐことができますよ。
北海道のお通夜・お葬式でビックリすること5つ
香典はお通夜に持参。領収書が発行される?!
お通夜やお葬式に参列する場合、香典を持参しますね。
どちらか一方への参列であれば迷うことはないのですが、通夜と葬儀(告別式)の両方に参列する場合、どのタイミングで持っていくか迷うところ。
どちらが良いかは地域差があるのですが、北海道の場合はお通夜に香典を持参するのが一般的です。
受付で香典をお渡しする際、香典袋には必ず「氏名、住所、金額」を明記してくださいね。
これは北海道の通夜・葬儀の受付には芳名帳(記帳)がない場合がほとんどで、名前の書かれた香典袋をその代用とするためです。
香典をお渡しするとその場で開封され「領収書は必要ですか?」と聞かれたり、聞かれなくても領収書を発行してくれます。
本州の方は「香典に領収書?!」と不思議に思う方も多いですが、これも北海道の風習のひとつ。
香典を経費として精算したい故人・遺族の仕事関係者の方が受け取ることも多いのですが、そもそもの由来はかつて交通機関が今ほど発達していなかった昔、雪など天候の影響で参列できない方が他の参列者に香典を立て替えてもらうことが多かったため、と言われています。
香典返しは即日返し?!
香典をお渡しすると、49日を過ぎた頃に香典返しとお礼状が送られてくるのが本州では一般的ですね。相場は香典金額の1/2〜1/3程度の「半返し」で、カタログギフトも増えています。
しかし、北海道の香典返しは「即(日)返し」でその日のうちに受け取ります。
内容も、海苔やお茶など簡単なものが多いですね。これは香典の金額に関係なく、一律です。
さすがに過分な香典を頂戴した場合は、後日返しの返礼品をお送りする場合もあるようですが一般的ではありません。
即返しの香典返しを受け取るタイミングは、
- 受付で香典をお渡しした際
- お通夜、告別式後に会場を出る際
のどちらかになりますが、受付で香典をお渡したらその場ですぐに①香典返し、②領収書、③お礼状の3点セットで受け取る場合が多いです。
ウソ!お葬式で記念撮影?!
告別式が終わり、いよいよ出棺。
そのタイミングで、なんと祭壇前に椅子が並べられ、親戚一同の集合写真が撮影されます。
この集合写真には親戚一同おさまりますので、一般の会葬者は会場脇でしばし待機。
北海道でのお葬式に初めて参列したからは、さぞ驚くかと思いますが北海道ではかなり一般的です。
広い北海道に分散する親戚一同が会することは滅多になく、ウン十年ぶりに顔を合わせた、なんてことも珍しくありません。せっかくなので、故人の遺影の前で集合写真を撮っておこう、という北海道ならでは風習ですね。
撮影はお通夜後に撮影されることもある様です。
新聞のお悔やみ・訃報欄がすごい!
全国紙の新聞を読むことが多い首都圏の方でビックリするのは、北海道の地方新聞の「お悔やみ欄」。
全国紙にも訃報欄はありますが、大きな企業の社長さんや役員の方、社会的に大きな功績のある方が中心ですよね。
でも、北海道の地域紙は一般の方の訃報が掲載されています。それも、およそ1ページのスペースに北海道内全域のお悔やみ情報がびっしりと記載されているのです。
北海道の年配の方にはこまめにチェックされている方も多く、なかなか会うこともなくなり年賀状だけのやりとりになっていた古くからの知人・友人の訃報を新聞で知り弔問に訪れる、ということも少なくありません。
火葬後の「繰上げ法要」は四十九日まで?!香典は「御仏前」で用意しておこう
告別式が終わると出棺、その後は火葬場で火葬と収骨があり、再び葬儀会場に戻ると「還骨法要」があります。
ここで改めて僧侶からの読経があり、「精進落とし」の会食で一連の葬儀が終了となるのが全国的に普通の流れですね。
しかし、北海道ではこの還骨法要で初七日から四十九日までを「繰上げ法要」としてまとめて行うのが一般的。これは広い北海道で頻繁に法要で集まるのは難しいために行われる様になったもの。
ちなみに、この繰上げ法要でも香典を持参するのがマナーです。
注意が必要なのは、お通夜・告別式での香典は「御霊前」ですが、四十九日までの繰上げ法要での香典は「御仏前」になるということ。
これは、仏教では故人は亡くなってすぐは霊としてこの世を彷徨い、49日目に仏様になると考えられているため。
初めて北海道の葬儀で繰上げ法要まで参列した方には「用意していなかった!」「御霊前で用意していた!」という場合があるので気をつけましょう。
北海道のお葬式、ナゾな風習の理由は?
お葬式には日本各地、それぞれ変わった風習が残っているもの。
それにしても、北海道のお葬式には独特な風習が多い気がしますね。
これは「広くて雪が降る北国の北海道」ということが深く影響しています。
今でこそ交通機関が発達し各地への道路も整備されている北海道ですが、かつては町から町への移動には大変な時間がかかったり、雪が降る季節には移動すらままならなかったという時代が長くありました。
そんな中で、北海道の冠婚葬祭には合理的に物事を進めようという暗黙のルールが根付いている様です。
また、開拓時代の北海道ではご近所さんはみんな開拓民として入植してきた仲間という意識も高く、何かあっても「お互いさま」という相互扶助の精神が根付いているのも理由のひとつと考えられているんですね。
北海道のお葬式に関するQ&A集
Q1:お通夜と告別式、どちらに参列するのがいい?
もし、お通夜と告別式のどちらかにしか参列できないのであれば、お通夜に参列するのがベター。
これは、北海道の葬儀では告別式よりもお通夜に重きを置いているご遺族の方が多いため。
親族・近親者であれば、お通夜から告別式、繰上げ法要まで参列するのが当たり前ですが、お仕事や学業などの都合でどうしても参列できないこともありますね。
この場合、お通夜からできれば告別式まで参列するのがベターです。
近親者ではなく、故人の知人・友人で参列を考えている方も、どちらかへの参列ならばお通夜に参列するのが良いですね。
Q2:香典の相場はいくら?
北海道のお葬式・お通夜での香典の相場は、本州よりもちょっと低めです。
自身の年齢や故人との関係にもよりますが、自身が30代〜40代であれば、
・祖父母(義祖父母):10,000円〜30,000円
・親:50,000円〜100,000円
・親戚:5,000円〜10,000円
・知人、友人:3,000円
位が目安になります。
自身の年齢が20代であれば3,000円〜10,000円くらいで考えると良いでしょう。
ここで1点、注意が必要なのですが、近親者であれば火葬後に斎場に戻り、繰上げ法要にも参列される場合も多いですが、ここでも香典が必要です。
繰上げ法要での香典の目安は5,000円〜10,000円位が一般的です。
また、四十九日法要までの繰上げ法要になる北海道では、香典の表書きが変わります。
宗派にもよりますが、49日目に仏様になると考えられている仏教では、お通夜・お葬式では「御霊前」、四十九日法要では「御仏前」になるのが一般的です。告別式と同日に四十九日の繰上げ法要がされる北海道では2種類の香典袋を用意しておく必要がありますね。
ちなみに浄土真宗の場合は亡くなるとすぐに仏様となられますので、どちらも「御仏前」で大丈夫ですよ。
Q3:遠方からの参列、宿泊はどうしたらいい?
訃報を聞いて急いで北海道までやってきたけど、宿泊先の手配が出来なかった…という事もあるかも。
北海道の葬儀は、宿泊設備がある斎場・葬儀場で行われることがほとんどなので、ご遺族に相談されてみては?
最近の葬儀場はシャワーやアメニティも充実しているので、快適に宿泊ができる様になっています。
しかし、故人と最後の一夜を過ごす遺族への配慮も欠かせませんし、遠方からの参列であれば疲れも出ますので、お通夜後にでも外部のホテルを探された方が良い場合もありますね。
親族でない方は、特別な事情がない限りホテルなど宿泊施設を手配しましょう。
地域によって違いがある冠婚葬祭
地域によって、微妙に違いがある『冠婚葬祭』
冠婚葬祭とは、「冠:成人式」「婚:結婚式」「葬:葬儀」「祭:法事」のこと。この中でも、今回ご紹介した「お葬式」以外にも、「結婚式」にも北海道の歴史的な背景から独特な文化、他地域との違いがあると言われています。
はじめて北海道の冠婚葬祭に参列する時、また道民が本州の冠婚葬祭に参列する時には、その文化の違いを知っておくことが大切ですね。