札幌市は、2030年に開催予定の冬季オリンピック・パラリンピックを札幌へ招致すべく、立候補へ準備を進めています。

2030年に札幌でオリンピックが開催されると、1972年の札幌オリンピック以来、58年ぶり2度目の開催となります。

オリンピックが札幌で開催されるなんて、とてもワクワクしますね!

1972年の札幌オリンピック開催や札幌とオリンピックの関わりを振り返りながら、2030年に向けて現在の招致活動の進捗状況についてまとめてみました!

札幌に再びオリンピック・パラリンピックを!現在の招致活動、進捗状況まとめ

札幌とオリンピック

札幌は1972年に第11回オリンピック冬季競技大会として、かつてオリンピック開催をしたことがある街です。

今の若い世代の方には記憶がない、生まれていない、そもそも札幌でオリンピックがあったなんて知らなかった!なんて方もいるかもしれませんね。

しかし、1972年の札幌オリンピックが私たちに残してくれたものは、身近なところに沢山あり、今の札幌の街並みの礎になったとも言えます。

■札幌オリンピックでアイスホッケー、フィギアスケートの競技会場として、また閉会式に使用されたアイスアリーナ

オリンピック開催を機に現在の地下鉄南北線が開業(1971年)し、オーロラタウンやポールタウンなどの地下街がオープン(1971年)しました。大通り駅から札幌駅にかけて、札幌中心部のビルの街並みもその頃に出来たものです。

地下鉄真駒内駅周辺にはオリンピック選手村として選手の滞在拠点が整備され、のちに分譲・賃貸され五輪団地として現在に残ります。各国の報道の拠点となったプレスセンターは北海道青少年会館として利用されています。

■札幌オリンピックを機に整備された札幌の地下街。オーロラタウンやポールタウンはオリンピック前年度の1971年開業。

札幌中心部からも見えるジャンプ台(大倉山ジャンプ競技場)や手稲山のスキー場(サッポロテイネ)、真駒内公園にあるセキスイハイムアイスアリーナもセキスイハイムスタジアムも、札幌オリンピックの競技施設として作られたものです。

これらは現在でも、札幌市民の生活に欠かせないものとなっていますね。また、オリンピック以降も札幌は国際的なウィンタースポーツの街として広く認知されるようになり、国内外の競技大会が行われたり、優秀なアスリートも多く誕生しています。

そんなオリンピックを、再び札幌の地に呼ぼうというのが、2030年冬季オリンピックの札幌招致です。

■日の丸飛行隊の活躍の舞台、まるで札幌の街に飛び込んでいくような大倉山ジャンプ競技場。絶景が楽しめる展望台は夏にはたくさんの観光客も。

幻のオリンピック1940年の札幌オリンピック

1972年に開催された札幌オリンピックですが、実はそれよりも遡る1940年に札幌オリンピックの開催が決まっていたことは、あまり知られていません。

1940年にアジア初の夏季オリンピックとして開催が決定していた東京オリンピックと同時に、アジア初の冬季オリンピックとして札幌オリンピックの開催が決定していたのです(当時は夏と冬のオリンピックが同じ年に開催されていました)。

しかし、当時の日本は1937年に勃発した日中戦争が激化し、オリンピックの開催を返上してしまいます。こうして、1940年の札幌オリンピックは、東京オリンピックと共に幻となってしまったのです。

戦後復興と札幌のオリンピック招致

1945年に終戦を迎えた日本。

戦後復興が進む中、再びオリンピックを日本に呼ぼうと、東京がオリンピック開催に立候補をします。

1度目の立候補は1960年大会の開催でしたが、この時はローマに敗れてしまいます。次に、1964年の開催に立候補し、この時は1度目の投票で過半数を獲得。東京でのオリンピックの開催が決定しました。

1964年の東京オリンピックはアジアではじめてのオリンピック開催であり、第二次世界大戦に敗戦した日本が戦後急速に復興し、再び国際社会に復帰したシンボル的なイベントとなりました。

そんな中、札幌にも再びオリンピックを招致しようという機運が高まっていきます。1968年の開催へ立候補した札幌ですが、ことの時は投票の結果敗れてしまいます。1968年の冬季オリンピックは、フランスのグルノーブルでの開催になりました。

続く1972年の開催に再び立候補した札幌。投票の結果、ついに札幌オリンピックの開催が決定したのです。

■1972年札幌オリンピック開催時の記念硬貨

アジアではじめて行われた冬季オリンピックとなった1972年の札幌オリンピック。

スキージャンプ70m級(現在のノーマルヒルにあたる)では日本人選手が表彰台を独占する活躍を見せ、日の丸飛行隊として脚光を浴びました。フィギアスケートでは銅メダルを取ったアメリカのジャネットリン選手が「札幌の恋人」「銀盤の妖精」として日本中で人気になりました。

2030年・冬季五輪の札幌招致の現状は?

2030年、再びオリンピックを札幌へ!招致活動

2014年、札幌市は2026年に開催予定の第25回冬季オリンピックの招致を表明しました。

これは、2020年の東京オリンピック開催が決まった2013年の翌年の表明でした。

2026年の冬季オリンピックが札幌で開催されると、2018年の平昌オリンピック、2022年の北京オリンピックに続き、3回連続して東アジアでの開催となるため招致は難しいのではないかという意見もあった中、北海道新幹線の札幌延伸と、それに伴う中心部の再開発との歩調を合わせるべく経済界から要望の多かった2030年大会の招致へ変更を検討していました。

その後、2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震によりこの復旧対応に、後に本格化する招致活動、立候補への準備活動に影響があるとして、2030年への立候補に変更を決定しました。

気になる、現在の招致活動の進捗はどうなっているのでしょうか?

招致活動の最新情報!

2020年1月 秋元市長がIOCバッハ会長と会談

1月11日 秋元市長がスイスを訪れ、IOCバッハ会長と会談。札幌で開催となった東京オリンピックのマラソン・競歩の準備状況を説明すると同時に、2030年の冬季大会開催への意欲を改めて伝えたとのこと。

バッハ会長は、既存施設を使用した札幌での冬季五輪開催の能力を高く評価したと伝えられました。

2019年11月 2020東京五輪のマラソン・競歩の札幌開催が正式決定!

東京オリンピックのマラソン・競歩競技において、酷暑が予想される8月の東京での選手たちの「健康面」「ベストなパフォーマンスを発揮するため」への懸念を緩和させるため、札幌開催案が浮上。11月1日、正式に決定しました。

2030年冬季五輪招致を目指す札幌市にとっては追い風になるとも言われていますね!

2019年2月 地下鉄ホームに72年札幌オリンピックのテーマ曲が!

狙いは2度目の五輪招致 札幌の地下鉄 到着時にメロディ♪ 1972年テーマ曲 「虹と雪のバラード」
あの”懐かしい名曲”が札幌市営地下鉄のホームに流れます。狙いはズバリ、2度目のオリンピック招致です。
「虹と雪のバラード」。1972年の札幌オリンピックのテーマ曲です。
トワ・エ・モアの透き通った歌声を思い出す方も多いのではないでしょうか?
そのサビの部分のメロディが、4日から札幌市営地下鉄の駅で流れています。
札幌市は2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指しており、その機運を高める狙いです。
南北線・東西線・東豊線49の駅のうち26駅で、列車が到着する際に流されます。

北海道文化放送より

「虹と雪のバラード」は、日本のポップデュオ「トワ・エ・モワ」によって歌われた72年の札幌オリンピックのテーマ曲。この年のNHK紅白歌合戦でも歌われました。

その詩碑は72年の札幌オリンピックでジャンプ競技が行われた「大倉山ジャンプ競技場」に設置されています。

そんな「虹と雪のバラード」が10秒程にアレンジされた駅メロとして、さっぽろ雪まつりの開始日2月4日(東豊線は2月6日から)26駅で流されています。

札幌が「オリンピックのまち」であることを知ってもらうとともに、オリンピック・パラリンピック招致の機運を盛り上げていくための取り組みの一環とのこと。

2019年1月 虹と雪のバラード アレンジコンテスト

1972年の札幌オリンピックのテーマ曲「虹と雪のバラード」のアレンジコンテストが開催され、各賞の発表がされました!

このコンテストは、札幌市が「虹と雪のバラード」を若い世代の方にも親しんでもらい、オリンピック・パラリンピックに興味関心を持ってもらうため実施されたもので、応募資格は10~20代の若い世代の個人またはグループ(高校生以上)。

11月16日にエントリーが締切られ、1月10日に入賞が発表されました。

最優秀賞 : ぱれっと×岩佐亜由美
優秀賞 : いつかの土曜日
入賞 : G和田ジャン×nicholas

札幌市HPより

優秀作品に選出された作品は改めてレコーディングの機会が提供され、今後様々なPR活動で使用される予定とのことです。

2018年9月 2026年の招致を断念、2030年を目指す方針に変更

2018年9月6日の北海道胆振東部地震の発生により、この復旧対応に専念するため、この後に本格化する招致活動、立候補への準備活動に影響があるとして、2030年への立候補に方針を変更することを決定し、国際オリンピック委員会(IOC)に伝えたそうです。

北海道を襲った大地震、被災地では今も避難生活が続いています。札幌で液状化の被害に遭われた住宅も復旧の目処が立っていないと聞きます。今後、本格化していく招致活動を進めていくのにあたり、札幌市民、道民の機運を高めるのも難しい状況ですね。

2018年5月 2026年招致から2030年招致への変更を検討

2018年5月10日、2030年度の開業を目指す北海道新幹線の札幌延伸やそれに伴う札幌市中心部の再開発と歩調を合わせ、2030年の冬季オリンピック大会の招致を望む声が経済界を中心に多いため、札幌市が地元の要望を踏まえて、目標を2030年大会に変更したいとの意向を日本オリンピック委員会に伝え、開催是非の検討をしていくことになったそうです。

北海道新幹線の札幌延伸については、札幌の新幹線駅をどこに作るのかという議論が続いています。国内外から札幌へのアクセスを考えると札幌まで延伸された後の開催の方が良いのは間違いありません。また、スキーなど一部の競技はニセコでの開催が検討されていますので、そちらへのアクセスも新幹線で新設される倶知安駅のアクセスが良さそうです。

2014年11月 オリンピック招致を表明

2014年11月、上田文雄市長(当時)が2026年の冬季オリンピック大会の招致を表明しました。

開催が実現すると、札幌では1972年の開催以来54年ぶり2度目の開催となります。日本での冬季オリンピック開催は1998年の長野オリンピック以来28年ぶり3度目の開催ですね。