人口200万人に迫る大都市、札幌。
これまで右肩上がりに増えてきた札幌の人口ですが、この傾向は今後も続くのでしょうか?
札幌の人口のこれまでの推移と、現在の人口増加の理由、そして今後について考えてみたいと思います。
人口200万人直前、増え続ける札幌の人口
全国で4番目に人口が多い大都市・札幌
私たちが暮らす札幌は、人口200万人に迫る大都市。
札幌で暮らしていると、そんなに大きな街とは思わないこと方が多く意外に思うかもしれませんが、札幌は全国でも4番目に大きい街です。
札幌市の人口のこれまでの推移
196万人を越えた札幌の人口
札幌市住民基本台帳人口
札幌の人口は2019年8月現在、1,969,676人。
これは横浜市の372万人、大阪市の269万人、名古屋市の229万人に次いで4番目に多い人口です。
近年は、その上昇は緩やかになってきていますが、現在も札幌の人口は増え続けています。
人口増加と札幌の街
札幌市の人口は1970年に日本で8番目となる100万人を突破し、1972年に川崎市、福岡市とともに政令指定都市になりました。
このとき、札幌市は中央区、北区、東区、白石区、豊平区、南区、西区の7つの行政区に分かれて施政、行政サービスが行われることになりました。
1984年に150万人を突破し、1989年にはそれまでの7区体制から白石区の一部を厚別区に、西区の一部を手稲区に分区され9区体制になりました。
さらに、180万人突破する前年の1997年に豊平の一部が清田区に分区されました。この頃から、札幌市は現在と同じ10区の体制になったんですね。
2008年には190万人を突破。その後も札幌市の人口は増え続け、2019年では196万人を超え200万に迫っています。
人口動態でみる、札幌の人口について
人口動態ってなに?
人口が増えたり減ったりする要因は、たくさんのことが考えられますが、主な要因は以下の4点です。
- 出生
- 死亡
- 転入(流入)
- 転出(流出)
これらはさらに、「自然動態」と「社会動態」の2つに分けて考えることができます。
① 自然動態
自然動態とは、出生と死亡による人口の動きのこと。
亡くなられる方よりも、生まれてくる赤ちゃんの方が多ければ人口が増える要因になりますし、少なければ人口が減る要因になりますね。
② 社会動態
社会動態とは、転入と転出による人口の動きのこと。
札幌からお引っ越しで出て行く方よりも、札幌に引っ越してくる方が多ければ人口が増える要因になりますね。もちろん、逆であれば人口減少の要因になります。
札幌の自然動態と社会動態の比較
札幌市住民基本台帳人口
札幌市の自然動態と社会動態を比較してみると、興味深いことに気づきます。
これまでずっと右肩上がりに人口が増えてきた札幌ですが、その増える要因は時代によって変わってきているようです。
2000年代は赤ちゃんが生まれる数が亡くなる方よりも多く、自然動態はプラスでしたが徐々に減少しているのがわかります。そして2009年からマイナスに転じ、出生数が死亡数を下回るようになりました。
一方、社会動態は毎年プラスで、ほぼ横ばい。2010年代からは10,000人前後の流入により増えていうのがわかりますね。
2011年には大幅な流入があったのは、東日本大震災により道外からの転入者数が大きく増加したことによるものと考えられます。
自然動態はマイナスになった2009年以降も、社会動態がそれを大きく上回るため、札幌の人口はいまでも増え続けているのですね。
札幌で生まれる赤ちゃんは減ってる?
札幌市住民基本台帳人口
札幌で生まれる赤ちゃんの数は減っているのでしょうか?
グラフを見ると、札幌の出生数は緩やかに減少していますが、ほぼ横ばい。
赤ちゃんは以前と変わらず、札幌の街に生まれてきてくれているようですね!
しかし、全体の人口が増えている中で出生数は横ばいなので、出生率は減少傾向です。
2017年度の札幌市の合計特殊出生率(※)は1.16で、全国平均の1.43を大きく下回ります。北海道全体でも1.29で、これは東京の1.21に次いで全国で2番目に低い数字。北海道・札幌の出生率はかなり深刻な状況と言えます。
(※合計特殊出生率とは、1人の女性が生涯出産する子供の数の平均)
一方、死亡数が右肩上がりですが、これは札幌の街の高齢化を示していると言えそうですね。
2009年を境に、死亡数が出生数を上回り、自然動態がマイナスになりました。
道内市外からの転入により増加する札幌の人口
札幌市住民基本台帳人口
札幌の人口は、転入により増加しています。
では、札幌へ引っ越してくる方は、どこから来ているのでしょうか?
道内・道外からの移動による増減を上記のグラフにまとめてみました。
札幌市の道外からの転入出は、常に転入よりも転出が上回っています。多くの札幌市民が北海道外に引越しをしている一方で、道外から札幌に引っ越してくる方はそれよりも少ない数です。これは、進学により道外に出てそのまま就職し戻ってこなかったり、就職・求職により道外に出る方が多いのが要因として考えられます。
しかし、道内(市外)からの転入数が非常に多く、転入数が転出数を毎年1万人近く上回っていて、その分札幌の社会動態はプラスになっているのですね。
これは北海道内の人口が、札幌に一極集中していることを示しています。
札幌への一極集中が進む北海道の人口
札幌に引っ越してくる人が多い訳
北海道の人口は減少している中、道内他市町村からの転入により人口が増えている札幌市。
なぜ、札幌への一極集中が進んでいるのでしょうか?
多くの人が札幌に来るのは、それぞれ様々な理由によると考えられますが、最も考えられる理由は以下の2点ではないでしょうか。
- 就職、求職
- 福祉、医療サービス
1点目は就職や求職によるもの。
北海道の産業構造は第3次産業に比率が高く、その傾向はますます進んでいます。卒業後の就職や転職などで雇用を求めると、第3次産業の企業が集まる札幌への移住が多いようです。
2点目は、福祉や医療のサービスを受けるための移住です。
充実した福祉や高度な医療サービスを受けるには地方の小さな町では難しいことも多くありますね。高齢化が進む中、こういったサービスを受けるために札幌へ移住する方も多いようです。
札幌の人口は200万人を突破する?
増え続けている札幌の人口は、200万人を突破することはあるのでしょうか?
自然動態については残念ながら、出生率の劇的な改善がない限り減少の傾向が続き、そのペースはますます加速しそうです。
道外からの転入も、道外への転出を上回る可能性は低いでしょう。
北海道の他市町村からの転入によって増えている札幌の人口ですが、道内他市町村においても人口は減少に向かっています。
北海道の人口は1997年の569万人をピークに減少に転じ、2018年現在533万人です。
今後も、道内他市町村からの転入が増加し続けるとは考えにくい状況ですね。
札幌市は2012年に策定した札幌市総合交通計画において、2015年をピークに札幌市の人口は減少に転じるとの見通しを示しました。
しかし、2019年現在でも札幌の人口は増加し続けており、この予測は一旦は外れたものの、今後数年以内には自然減少数が社会増加数を上回り、減少に転じることは間違いありません。
札幌の人口は、200万人を手前に減少するというのが大方の見方です。