北海道の地名には、漢字の「別」が含まれる市町村がとても多いですよね!
特に「〜別」という市町村は、地図をみていると北海道のいたるところで見つけることができて、その数は道内179市町村の中に、なんと19もあります。
なぜ、これほど「〜別」という地名が多いのでしょうか?
北海道にはなぜ「〜別」という地名が多い?その理由とアイヌ語地名について
北海道の「別(べつ)」がつく市町村はいくつある?!
北海道の各地を旅行していたり、北海道の地図を眺めていると、「別」という字が含まれる地名がとても多いことに気づいたことはありませんか?
北海道には「〜別」という地名が、なんと5市12町2村の計19市町村もあるんですよ!
・芦別(市)
・登別(市)
・士別(市)
・紋別(市)
・当別(町)
・秩父別(町)
・喜茂別(町)
・愛別(町)
・遠別(町)
・中頓別(町)
・津別(町)
・湧別(町)
・幕別(町)
・本別(町)
・陸別(町)
・初山別(村)
・更別(村)
これは北海道の全179市町村のうち10分の1以上にもなり、いかに多いかがわかりますね!
なぜ、これほど「別(べつ)」が付く地名が多いのかというと、北海道の地名のほとんどがアイヌ語に関係しているためなんですよ!
「別」が付く地名は「ペッ/ぺトウ」というアイヌ語に由来してる!
「別(べつ)」が含まれる地名(市町村名)の多くでその由来となっているのは、「(大きい)川」を意味するアイヌ語の「ペッ/ぺトウ」です。
アイヌの人々にとって川は、サケやマスなどの漁や丸木舟での移動など、生活に欠かすことができない存在でした。
そのため川沿いにはアイヌのコタン(集落)が数多くあり、それぞれのコタンは「〜ペッ/〜ぺトウ」などのように呼ばれていました。
現在の北海道の地名は、アイヌ語での地名がそのまま語源となっている場合が多く、「ペッ/ぺトウ」は転訛し「別(べつ)」という漢字があてられるようになったことが、北海道に「別」が含まれる地名が多い理由です。
以下、代表的な「〜別」の地名の語源についてまとめてみました!
① 登別(のぼりべつ)
『登別(のぼりべつ)』は北海道の中南部に位置し、日本でも有数の湯量を誇る登別温泉で全国的にも有名なまち。
地名の語源となったのは、「水の色の濃い・川」を意味するアイヌ語の「ヌプル・ぺッ」といわれています。
“水の色の濃い”とは、溶け出した温泉の成分が流れ込み、白く濁った登別川の様子のことで、まさに温泉地らしい地名といえますね!
② 当別(とうべつ)
『当別(とうべつ)』は、札幌中心部から北東に20〜30kmほどの位置にある田園風景が広がる自然豊かなまち。
地名の語源になったのは、「沼/湖・川」を意味するアイヌ語の「トー・ぺッ」といわれています。
これは、かつて当別川流域に沼が多かったことに由来するもので、その地には現在は水田が広がっています。
「トー(沼)」は北海道の地名によく使われているアイヌ語のひとつで、オンネトーやペンケトー、パンケトーなど「〜トー」という湖の名にも多く残されていますね。
③ 喜茂別(きもべつ)
『喜茂別』は、羊蹄山を擁し札幌から中山峠を隔てて隣接する内陸のまち。
地名の語源となったのは、「山に・入る・川」を意味する「キム・ウン・ぺッ」というアイヌ語といわれています。
その名のとおり、まちの面積の約8割を深い山々と森林が占め、平野部には田畑が広がり、じゃがいもやアスパラの生産が盛んです。
中山峠といえば、喜茂別産の男爵いもを塩ゆでして衣をつけて揚げた“あげいも”はあまりにも有名ですね!
「〜別」じゃないけど「ペッ/ぺトウ」に由来する地名もある!
「ペッ/ぺトウ=川」に由来する地名のほとんどが「〜別」となる一方で、少し違った形で地名がついている町もあります。
・標茶(町)
・標津(町)
・長万部(町)
・乙部(町)
『別海(べっかい)』は、「別」が含まれる地名のほとんどが“〜別”となっている中で、“別〜”になっている唯一の市町村名で、ペッ・カイ(川が・折れる)が語源です。
また、「べつ」の読みに「別」以外の字があてられている『標津(しべつ)』や『壮瞥(そうべつ)』だったり、語尾が「〜部(べ)」となっている『長万部(おしゃまんべ)』や『乙部(おとべ)』という地名も「ペッ/ぺトウ=川」に由来しています。
さらに変則的なのが『標茶(しべちゃ)』で、シ・ペッ・チャ(大きい・川の・岸)が語源となり、真ん中に「ペッ」が入っている珍しい地名のひとつです。
“大きい川”があれば“小さい川”もある!
「大きい川」に由来する地名があれば、「小さい川」に由来する地名もあります。
「小さい川」はアイヌ語で「ナイ」といって、現在の地名に「内(ない)」の字があてられている場所の多くは、これに由来しています。
ぜひ、北海道地図で探してみてくださいね!